記事タイトル:和歌山市での学校の動物飼育講習会報告 


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お名前: 中川美穂子   
  平成15年12月25日(木) 午後1時〜5時     
      会 場:ホテルグランビア和歌山
      内 容:1.事例発表  「和歌山市立いさおひがし有功東小学校の取り組み」                                   
               「総合学習の一環としての動物愛護教室について」                    
       2.講演   「心の教育に役立つ動物飼育のあり方」 
       3.総合討論
   主 催:和歌山県・社)和歌山県獣医師会  
   後 援:和歌山県教育委員会
 

 最初に県畜産課の鈴木源一畜産課長が事業の主旨説明と「BSE関連で日本の牛肉の安
全性について」が挨拶としてありました。(「ちょっと関係ありませんが、アメリカで
BSEが発生したが、日本の牛肉は全頭検査しているので、安心して食べてください」)

1. 事例発表
?『有功東小学校の取り組みについて』 片桐 清司(和歌山市立有功東小学校校長)
 校長先生のモットーは「子ども一人一人に居場所をつくる」「ヤギを好きな子が必ず
しも犬を好きとは限らない。学校では意図を持って生活環境に動物を置いておく」との
ことで、以前から地域の支援を得て、ウサギなどの小動物のほかに、ヤギの飼育、鯛の
飼育、ポニーの飼育、犬の飼育までやっておられ、それぞれに子どもたちのグループが
かかわっていることを発表なさいました。ビデオでは校庭を駆け回ってボールを拾って
くる犬の様子を紹介なさった。「しかし、動物の好きな学校と評判がたち、捨て犬、
猫、鶏を持ち込まれてるのですよ、」とお話になりました。
 
?『総合学習の一環としての動物愛護教室について』 手塚澄枝(和歌山県動物愛護セ
ンター医療技師)
 愛護センターの方は、6年生に総合学習の時間で犬を素材に、命を感じる、動物を飼
う、人とのかかわり、感染症などを11回にわたって授業したことを報告なさいまし
た。子ども達への影響の事例として、子どもが家庭で動物の話をする機会が増えたこ
と、ある犬を欲しがっていた子が「犬は飼いたいけど今は飼わない。責任が果たせるよ
うになったら飼う」と親に言ったことを挙げられました。

 (これについて、「子どもを育てるのには犬はとてもよい影響がある。子どもに犬の
いる環境を与えるように、面倒を引き受けてあげるように親を説得して欲しい。子ども
も犬も大人がしつけるものであり、親は子供を育てるためにいるのだから」とお願いし
ました。)

2. 講演
 中川は、有功東小学校の事例はとても素敵で、岡山にも自然に犬や猫など動物を受け
入れている小学校があり、そこの卒業生には難しい理科系の大学にパスするほど優秀な
方が多い。しかし、多くの学校ではそのような情熱がない場合が多いので、「どこで
も、誰でもできるような必要最小限の飼育を丁寧に行う」話を紹介しました。

3.総合討論  司会/ 玉井公宏和歌山県獣医師会会長
        和歌山県教育委員会 学校教育局 健康体育課健康教育班 
              棚田修司指導主事 
        和歌山県獣医師会 藪添賢二副会長(臨床部)開業部会長     
        和歌山市立有功東小学校 片桐清司校長 
        和歌山県農林水産部 農業生産局畜産課 上杉秀樹衛生班長 
        和歌山県動物愛護センター 手塚澄枝医療技師 
        中川美穂子

 司会の玉井先生が、みな様が忌憚なく意見が言えるように、とビールに見立てた氷入
りお水を各人に配り「酒の席の話」と、意見交換を促したせいか、本音が相次ぎまし
た。

●(他地域の獣医師)「学校から避妊を頼まれたが、子どもたちの為にいい加減なこと
はできないので、3万円といったら、それ以来何も言ってこなくなった。」
 (学校)「やはり3万円はとても無理なので、学校は二度と獣医師のところに行かな
いだろう」
 (中川)「先生や獣医師が心配するのではなく、同じ立場に立って、「学校からその
ような要望があり、獣医師も応じたいと思うが、そう対応しきれないのでどうしたらよ
いでしょうか?」と教育委員会に相談をしてみたらいかがか。しかし、大体のところ
は、獣医師が負担してやっていますけど、話し合うことは大事でしょう」
 (教育委員会)「宿題をいただいた。要望があれば考えざるを得ないだろう」

●(獣医師会)「7年前に感染症など飼育動物の調査をしたが、学校からの回収率が悪
く、動物病院の支援を必要としていないようだった。しかし、この数年、県の事業とし
て動物由来感染症監視体制整備事業教育現場型で学校に関わってみると、先生方が困っ
ているのに気がついた。」
「開業会員の協力意志を調査したら、45名中23名が協力すると答えてくれたので、
地区担当者名簿を学校に案内できた」

●(獣医師)「エキゾチックより、医療がいきとどく犬を学校で飼えば良いのではないか」
 (中川)「犬は特定の人と繋がる動物で、飼い主がはっきりせず、夜も無人のところ
においておかれる学校には耐えられない。精神的に不安定になった危険な場面もある。
またしつけも必要。ある先生の犬を、毎日学校につれてくるのが、良いだろう。また、
小さな子どもには「動物からの働きかけが少なく、気持ちを考えてあげなければならな
いエキゾチックのほうが適している」
  (校長先生)「そのとおりだと思う。実は、今いる犬は子どもの前では餌をやらない
ようにしている。子どもに歯を剥く。この犬は少数の人以外には、あまり言うこと聞か
ない。放すときは、原則として子供のいないときにしている。ただ、教員室の人間関係
に有効であったので、この犬を飼うことにした。」

●県保健所職員「この学校の動物飼育の話しは、いわゆる動物愛護教育とは、異なると
思った。」

 尚、講演会後、役員の方々、和歌山市の開業会員の方々と話し合う場を持っていただ
きました。

 参加者総数:71名
    〔県獣医師会・役所18、県内開業16、県外獣医師7(大阪府、大阪市)
     教育関係者23(小学校16)、そ獣医学生1、教育学部学生1、動物看護
士2、他3〕
[2004/01/28 17:14:45]

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