記事タイトル:新潟市講演会報告:嶋野視学官のお話、生活科の飼育事例他 


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お名前: 中川美穂子   
新潟での講習会報告は、講演会案内の頁から入る講演会記録H15にかいてありますが、
その中から視学官のお話と飼育事例を掲載します
  
内容「動物飼育のシンポジウム」

  1 「学校教育における動物飼育のあり方」 嶋野道弘(文科省視学官)

   学校で飼育が必要な理由付けとして、理科、総合、生活科、道徳、特別活動など
広く学習指導要領の裏付けを話された。

(嶋野視学官のお話)
 「動物飼育は教育環境の一環」という伝統的な考えは「不易」であり、これからも変
わらないだろう。しかし時代とともに望ましい方向にする必要がある。

 昔は動物と共生していた。トリが二本足などの話は、考える間もなく分かっていたこ
と。今は、考えてしまうことが問題である。

 現在は環境がかわり、子供達は体験不足のために、自然環境から離れ、直接向き合う
ことが少なくなっている。知識と実際の知恵とが遊離している。また将来の人格や生活
を形作る原体験が不足している。そればかりか、動物にふれないまま、ロボットが臭く
なく、手がよごれないし、死なないからよい、などと考えることは、肝心な部分を落と
してしまう。知識と行動が解離してしまい、生命の意識が薄くなる。改めて飼育の必要
性を考える必要がある。
 飼育を通じて主観的な捉え方(可愛いいから〜せずにはいられない。僕が餌をやった
から食べる。うれしい)と同時に、客観的な捉え方(科学的な見方・お腹がすいていた
から食べる)などが実感できるように、動物子ども、また子ども同士などとの関わりを
深くさせ、身体の振る舞いを大事にしたい。

 発達段階から言えば、生活科(小学校1、2年生)の柔軟でかっ達な時期に触れあわせ
るのが望まれる。生活科の指導要領には「動物を飼ったり植物を育てたりして」と書か
れているが、本物と間接とは異なるのだから、「飼ったことにして」とは書いてない。
 また飼育は、理科や道徳、特別活動(飼育委員会活動)にも関係している。

 小学校教育における動物は、
*生命に関する知識理解を学び親しみを持ち、生命に対する畏敬の念をもつ教材であ
る。
*共に育ちあうよき仲間でもある。

 学習指導要領には、飼育数や飼育種などは、一律には規定してないが、現況、実態に
より(無理せず、責任をもって、長くつきあう)ことができるように、考えたい。課題
をどう解決するかが重要である。

 そのために、まず学校長が飼育する意義や目的、飼育に関する考え方を打ち出す必要
がある。そしてあやふやにならないように、毎年度初めに、学年や飼育目的を確認し、
学校全体で最低限「飼う」ことを、工夫していくこと。とくに衛生管理や健康管理、環
境の維持管理は必要なことで、地域獣医師会との連携を学習指導要領解説書生活科編に
解説してある。

現在の獣医師会の支援は良い方向にある。

 また、休日の世話について、地域全体の支援システムつくりを期待したい。「動物
が飼える社会づくり」をめざして、地域の意識を高めていくことが望まれる。

なお、教師が飼育経験を持たないまま担当になるのは心もとないため、地域の獣医師
との連携、教員の研修が求められる。
 
3、 生活科における飼育活動 長沼 智弘(新潟大学附属小学校教諭)
「生活科のなかで、モルモットの飼育を行って、学校教育に定着させた実践について」

 新潟市の紫竹山小学校では、8年前から宮川保獣医師など新潟市獣医師会の支援によ
り、生活科でモルモットの飼育を行っている。1年生の二学期から世話を担当し、2年生
の二学期に1年生に渡すサイクルである。

 その中で、子供達の気付きや成長が見られて教育的意義を認められている。
(その様子を紹介された)
この飼育システムはこの学校の生活科の一環として定着している。

 なお、モルモット達は昼間は教室外のオープンスペースで飼われているため、これに
関わった上級生もすべていつでも接することができる。それで、モルモットが死んだと
きは、悲しみを全校で共有することが出来る。 
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質疑応答から
質問(教頭先生)「飼育が良いのはわかったが、休日はどうするのだ。地域の人が預
かってくれるのか」

 回答「子供のために大人が(困難にたち向かう姿)を見せるのが大事。工夫事例が
学校飼育動物と生命尊重の指導」の本に校長先生が書いておられる。ぜひ読んで参考に
して欲しい」
 
                         
[2004/01/08 09:48:37]

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