今回の調査は、すべて獣医師のついている学校です。
飼育委員会の飼育の学校(4年の飼育無し群)と、4年生に飼育を位置づけ
て全員で飼育する学校の2つの群に分けました。
それで獣医師は学校で助言と支援・子どもへの話を「飼育する子達」に話を
します。4年飼育有り群には4年生に、4年飼育無し群の学校には飼育委員会(5,
6年生)に話しています。
つまり、学年飼育の子(飼育有り群)には 獣医師の支援と、4年の担任から、
指導がなされているのです。
飼育有り群には、総合にいちづけて教育課程に沿った飼育活動をしている学校も多
かったのです。
それで、家庭での飼育にかかわらず、教師の指導と獣医師の支援のもとに飼育体
験をした子が社会性を増したと考えられます。
なお、獣医師や教師が教えたのは、「命」とか「かわいがれ」との言葉でははなく、
動物と接触させて関心を湧かせて、動物が自然に気になる対象にさせる環境を整えた
ことです。
子どもたちは「何をしてあげらるか」「どうしたら喜ぶか」を考えながら付き合うよ
うになります。話せば長くなりますが、唐木先生も言われるように、愛される一方の
子どもが、愛を与える側になるわけで、これが良かったのだろうと思います。
勿論、命に休みはない、と子どもに伝えるために、
休日の世話は親が子どもと一緒に担当する学校が多かったです。
それで 驚ろいたのは、どちらの群も一年間道徳教育をうけていたのに、飼育を
しない群の子どもたちは、人に優しく、席を譲る、並んでいても急ぐ人が来たら順
番を譲ってあげる、 などの意識が 一年後も横ばい、もしくは下降していたのです。
これは、言葉による道徳教育の限界を示しています。
やはりこどもには、あいての気持ちを考えて、健康を気遣いながら、糞の掃除など、
ひぇー というような労働をさせて
その後、嬉しそうに餌を食べる動物達を眺めて、嬉しいと感じさせる体験、また言葉を
持たない小さな動物を庇って、世話をさせる体験が必要なのだろうと、つくづく思いま
した。
[2007/01/24 17:23:53]