記事タイトル:西日本新聞動物と接し「命」学ぼう ― 獣医師会と行政 学校飼育で連携 


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お名前: nakagawamihoko   
 

050731北九州での研修会

西日本新聞(2005/07/31付記事より)
<視点・論点>
動物と接し「命」学ぼう ― 獣医師会と行政 学校飼育で連携
北九州市 今春から支援事業
相談4件「浸透これから」

ウサギやニワトリ、ハムスターなど学校での動物飼育を通して、子どもたちは命の尊さ
や思いやりを学ぶとされてきたが、最近は、動物に接した経験がない教師や児童も増え
ている。そんな学校飼育を支援しようと、北九州市獣医師会(西間久高会長)は同市
教委と連携して4月から「学校飼育動物支援事業」を始めた。ただ利用率はいまひとつ。
九州各地でも広がりつつある、子どもと動物のふれあいをサポートするこの取り組みの現
状を探った。 (北九州支社・中山憲康)

・ 導入以後4件のみ
 北九州市の支援事業では、市内40の動物病院が登録して、飼育相談や診察を受ける。
各小学校には、市教委を通じて病院の連絡先と依頼用紙を配布した。
 6月上旬、市内の小学校から「春先からウサギが急増して対応に困っている」という
相談が寄せられた。増えたのは、今年初め、飼育小屋の前に捨てられていたウサギ2匹を
一緒に飼い始めたから。雄がいたため雌が次々に妊娠し元の2倍の約30匹となった。
 さっそく獣医師会で協議し、ウサギの雌雄を区別して分離。現在は避妊手術なども検討中だ。
 同市獣医師会の動物愛護委員会副委員長で学校飼育担当の吉岡宏さんは「数が増え過ぎ
ると、衛生面など飼育環境が悪くなる。事前に相談があったら、先生や子どもにも適切なア
ドバイスができたのに」と残念がる。
 だが同制度の導入後、学校からの依頼数は、まだ四件だけ。「どうすれば、認知しても
らえるのか」と吉岡さんは頭を悩ませている。

・ 訪問実績を重ねて
 支援事業が浸透しない点について、獣医師会と行政の連携に取り組む全国学校飼育動物
獣医師連絡協議会主宰の中川美穂子さん(東京都)は「信頼関係を築くには、学校訪問
の実績を重ねるしかない」と指摘。「現状では、北九州市教委が、獣医師会を学校に派遣
することを認めたことに大きな意味がある。成果は今後に期待したい」という。
 日本小動物獣医師会によると、獣医師と連携する自治体数は1989年以降、関東を中心に
年々増え、2004年には106に。県単位での連携もあるため、関係する市町村数でいえば
730(当時)と全自治体の二割を超えている。
 この分野で先進県とされる群馬県では、学校現場での動物ふれあい授業に約1500万円の
予算を組んでいるほか、1990年代前半から獣医師会との連携を進めた福岡市も、99年
からは飼育指導や診察、治療費用として年間100万円の予算を計上。北九州市は予算措置
まではしていないが「利用件数が増えた場合は、将来的には財政的な措置も検討したい」
(同市教委指導部の中島由紀子指導主事)という。

・ 成長に果たす役割
 北九州市と獣医師会が27日に共同で開いた「学校の動物飼育講習会」には、同市立の
小学校数(134校)を上回る役160人が参加。動物との触れ合いが、子どもたちに、
命に対する尊厳の念を芽生えさせた他県の実例や動物の選定、数、正しい飼育法、感染症に
対する対処法などを学んだ。
 福岡県も同様の講習会を管内の教育事務所ごとに近く実施する予定。佐賀県や熊本県など
他県の行政職員の参加もあり、九州でも取り組みが広がりそうだ。
 映像ゲームやインターネットの普及でバーチャル(仮想現実)の世界が、小学生の間でも
広がっている。吉岡さんは「だからこそ、本物の命に接する動物の飼育体験が子どもの成長
に果たす役割が相対的に大きくなってきている。この取り組みをしっかり根付かせたい」と
訴えている。
[2005/09/28 01:15:27]

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