記事タイトル:命を育てるということを理解しない大人 


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お名前: 中川美穂子   
<栄養失調児>校長見かねて、こっそり牛乳飲ます

 家で与えられる食事はコンビニエンスストアの期限切れのおにぎり、菓子パン――。
栄養失調が疑われる児童に、校長がこっそり牛乳を飲ませている小学校がある。校長は
「家庭のしつけまで学校が引き受けるのはどうかと思うが、(劣悪な食事の)限度を
超えている」と嘆く。食育基本法が昨年夏施行され、国は朝食を取らない小学生をなくそ
うと呼びかけるが、法の理念とかけ離れた現実に学校現場から悲鳴が上がっている。
 この学校は東京都内の公立小。校長によると、04年春の新入生に体がやせ細り、
元気のない男児がいた。授業中きちんとした姿勢を保てず、ぼんやりしていることも
少なくなかった。
 昨年4月、男子児童に話を聞くと、コンビニを営む両親から販売用のおにぎりや菓
子パンを毎日のように与えられているという。校長は栄養を補うために、給食の牛乳
を冷蔵庫に保管、他の児童に知られないよう校長室で毎日飲ませた。
 その後も児童の食生活に改善は見られず、賞味期限切れの食品を与えられていること
も分かった。児童も好き嫌いがあり、校長がスープを与えても飲まなかった。栄養失調
も疑われたため、見かねた校長は今年3月、保護者を学校に呼び出し、「今は成長期で、
脳がつくられる大事な時期。きちんとした食生活をさせないと困る」と諭した。
 母親は「(食事を)作っても食べない」と戸惑った。「食べるように(食材を)小さ
く切るなど工夫していますか」とたたみ掛けると、両親は互いに責任をなすり合い、け
んかを始めたという。
 同校には数年前、「一日の食事はおにぎり1個」という児童がいたが、栄養状態が切
迫したため施設に保護してもらったという。校長は「家庭の機能低下は現場で実感して
いる。状況は悪化の一途だ」と憂える。今も男児と別の児童計2人に牛乳を飲ませている。
 政府は食育基本法に基づき今年3月、食育推進基本計画をスタートさせた。そこでは
「朝食を欠く国民の割合の減少」を目標に掲げ、10年度までに朝食を取らない小学生
をゼロにするとの数値目標を盛り込んだ。
 都教委の昨年の調査で「朝食を必ず取る」と答えた小学生は79.7%、中学生は
70.2%。逆に「食べない」「食べないことが多い」という小学生は5.1%、
中学生は11%だった。【高山純二】 

(毎日新聞) - 5月22日3時7分更新
[2006/05/22 11:53:17]

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