記事タイトル:群馬県学校獣医師制度化と飼育研究会京都大会記事 


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お名前: 中川美穂子   
新聞記事2題をおとどけします

 1.群馬県・公立小学校に学校獣医師指定
 2.京都で開催した全国学校飼育動物研究大会について
    生活科・カリキュラム見直しも
    管理職も(飼育に関して)力量をつけるべき
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1.読売新聞(2006.9.9)群馬県

<動物飼育 生かそう教育に>
〜各小学校に「獣医師」指定 / 県教委 新人教師に「育て方」講座〜

 小学校での動物飼育を教育に生かし、命の大切さを学んでもらおうと、県教委は
9月から、県獣医師会と連携し、新たな取り組みを始めた。各校ごとに「学校獣医
師」を指定するほか、10月からは新人教師の研修にも獣医師による動物飼育講座
を取り入れる。

 県内の公立小学校では1998年度から、県の委託を受けた県獣医師会が獣医師を学
校に派遣し、飼育動物の診療や相談に応じる「動物ふれあい教室」を実施しており
、2004年度には223校が実施した。
 
 しかし、同教室は学校によって実施回数が年1〜5回と差があり、派遣される獣
医師もその都度異なる場合が多く、「児童が気軽に相談することができない」との
声が出ていた。また、動物についての知識不足から、児童の質問に十分答えること
ができない教師も少なくないという。
 一方、県獣医師会側でも、「動物をただ飼育するのではなく、命の大切さを学ば
せる機会にするべき」と、総合的な学習の時間など教育課程に組み入れるよう県議
会に陳情していた。
 
 こうした現状を受けて新たな取り組みを始めることにしたもので、「学校獣医師」
は、公立小学校全346校のうち254校で指定。獣医師会所属の約130人が
1人当たり1〜8校を担当し、場合によっては授業も行う。
 新人教師の研修は、今年度採用された83人全員が対象。10月と来年1月の
2回に分け、獣医師から、動物の適切な飼育方法や動物のとの触れ合い方などを学ぶ。

 県教委委員長職務代行者も務める桑原保光・県獣医師会学校動物愛護指導委員長
は「特定の獣医師が各学校とつながりを深めることで、児童にも獣医師の顔と名前
が一致し、動物もより身近に感じられるようになるはず」と期待している。
(転載終わり)
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2.日本教育新聞(2006.9.11  幼稚園・保育園面) 

−感性揺さぶる飼育体験に−
日本小動物獣医師会が公開講座(第5回全国学校飼育動物研究大会)
「羊毛から作品、家庭でも鈴虫の世話 / 当番活動で責任感」

 「感性を揺さぶる飼育体験―動物の力を教育に」をテーマに、日本小動物獣医師
会(松林驍之介会長)の学校飼育動物市民公開講座が8月19日、京都市で開かれ、
幼稚園現場からも動物飼育の実践事例が報告された。太平寺幼稚園の北口裕之理事
長からはヒツジを飼育したり、教室内でのウサギ飼育などに取り組み、羊毛を素材
にフェルトや編み物に挑戦し、保護者にも「ゲームを買うより、鈴虫を飼おう」と
呼び掛けた。上賀茂幼稚園の加茂麻由佳教諭は「当番活動を通して、命を育てるこ
とへの責任感が出てきた」と報告した。

 大阪・堺市の学校法人北口学園・太平寺幼稚園の北口裕之理事長は、獣医師でも
あり、園内でヒツジ(コリドール種)、ウサギ、カモ、ニワトリ、カメ、金魚、
川魚、鈴虫、ザリガニ、カブトムシなどを飼育してきた。ヒツジ(綿羊)は、餌代
などの維持コストが比較的安く、人畜共通の病気が少ない、おとなしく飼育や観察
が容易、羊毛を園内の制作活動などに活用できるなどの長所がある。

 同園では、2頭の雌のヒツジを年長児が当番を組んで世話をしている。初めのこ
ろは大きなヒツジを怖がっていた園児も、普段から世話をする活動を積み重ねるこ
とで、「うんこが汚い!」といっていた子どもも「きれいに掃除してあげよう」と
いう気持ちが強くなっていく。
 ウサギをケージに入れて教室内飼育をするようになってから、集団生活になじめ
ない子どもが教師と一緒に餌をあげることで、泣きやんでいろいろと話をするよう
になった。
 保護者にも変化があった。「ゲームを買うより、動物を飼いましょう」と園で育
てた鈴虫を家庭でも育ててもらうことで、親子のきずなが深まったほか、少子化の
中でも入園希望が増えるなど、動物飼育なども含めて豊かな心を育てるという園の
考え方に賛同する保護者が増えている。


 「チャボの死 命の重さを知る」

 京都市立上賀茂幼稚園では、園庭の一角に比較的広い小動物広場がある。広場に
はトンネル付の石山があり、ウサギやチャボが生活している。年長児は1学期、動
物が好きな子どもと教師で掃除などをしていたが、興味のない子どもは「臭いから
イヤ」と飼育小屋に寄り付かなかった。そこで、掃除をしていた子どもを各グルー
プに入るように編成し、掃除の仕方などをほかの子どもに伝えるなど、当番活動の
方法を工夫していった。
 当番活動を継続していくことで動物の気持ちになって考えたり、「チャボの口っ
て小さいから、餌も小さく切ってるの」とチャボに心を寄せて餌の用意をするよう
になった。鳥インフルエンザの時も教育委員会からの指示を受け、保護者や園児に
説明しながら、動物から遠ざけるのではなく、手洗いやうがいを徹底して世話活動
を続けた。
 加茂教諭は「大切に世話をしていたチャボの死は命の重さを子どもたちが感じる
機会になった。自由な場での動物とのかかわりとともに、飼育当番活動も、その中
でどういう力が育つのかを、明確にして援助していきたい」と話す。


「専門家との協力体制を」
 −行政や現場から提言 / カリキュラム見直しも−

 日本小動物獣医師会の市民公開講座では、講演や総合討論などで行政や現場、獣
医師から動物飼育の現状や課題について提案された。

 文部科学省の田村学・教科調査官は、小学校低学年の生活科で身に付いた力の
トップは「生き物への親しみ」であることを学会調査の結果などで紹介しつつ、
「動物飼育の教育効果を上げるには、地域の獣医師さんなどの専門家との連携・協
力体制づくり、幼児教育と連携して小学校の生活科・『総合的な学習』のカリキュ
ラムを見直すこと、体験活動や気付きの質を高める学習など学習活動の改善が課題
になっている」と指摘。

 京都市立久我の杜小学校の寺田博幸校長は「子どもとともに大人も生き物に触れ
て命の大切さを学べる体験の場が必要ではないか。京都市では、獣医師会と連携し
て教員の夏季研修に生き物体験教室を実施してきた。飼育をすればよいというので
はなく、それを教育活動として意味があるように組織的に教材化するなど、管理職
もこの点での力量を付けていくべき」と問題提起した。京都市獣医師会の和田茂雄
理事は「獣医師会として、飼育マニュアルづくりや授業ゲストティーチャー派遣な
ど学校現場をサポートしてきた。ただ、子どもたちの実態を知っているのは先生た
ち。ゲストでわれわれが参加するときは担任の先生がリードしてほしい」と注文した。

 最後に唐木英明・東京大学名誉教授が「人間が生きていくために、自己保存に必
要な恐怖、種の保存に必要な愛着は欠かせない感情。特に愛着の感情はそれを呼び
出す対象や練習が必要で、動物はこの対象としてふさわしい。バーチャルな体験で
は愛着は育たない。
飼育体験が体験のままで終わることなく、学習につながるような方法を考えていき
たい」とした。
(転載終わり、紙面のほぼ全面の記事で、写真が3枚もありました)

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全国学校飼育動物研究会 
 事務局長 中川 美穂子
T0422-53-7099 F0422-56-9086
  mihi-n@mua.biglobe.ne.jp
「学校飼育動物を考えるページ」
http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
「学校飼育動物研究会」 
http://www.vets.ne.jp/~school/pets/siikukenkyukai.htm
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お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター研究協力員
全国学校獣医師連絡協議会(CAS)主宰 
日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会 (動物介在教育支援) 
社)日本獣医師会 学校飼育動物委員会 副委員長
 (202−0023 西東京市新町5−16−29)
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[2006/10/13 03:15:14]

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