記事タイトル:嶋野道弘、宮川八岐両視学官のお話から 


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お名前: 中川美穂子   
@滋賀県大津市での学校飼育動物講習会報告での宮川視学官のお話から、
 
平成15年8月27日、大津市生涯学習センター
 大津市獣医師会、滋賀県獣医師会主催
 大津市教育委員会共催

「学校教育における動物飼育」宮川八岐視学官(特別活動(飼育委員会など) 担当)
「ゆとりある飼育と教育的異議」中川美穂子


滋賀県では、昨年の1月に獣医師向けの勉強会が開かれていますが、今年の1月に一般教
員向け勉強会が開かれています。今回で3回目です。

宮川視学官はお忙しいなか、教員の方々に「中川から声がかかると、日程さえあえばどん
なに忙しくても一緒に仕事をすることにしている。」、「中川は教育者や子供
の事情
もよく知っているので、質問は中川にするように。」と言ってくださいました。
 おかげで、視学官が次の仕事のために退席なさった後、教員の方々は、全身で私の
話を聞いてくださり、県獣の担当の須藤正之先生は「やはり文科省の方が来てくださって
良かった」と喜んでおられました。

後日参加なさった49名の園・学校の教員の方のアンケート回答を送っていただき
反省材料とさせていただきました。
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なお 
 本来飼育は家庭教育の分野でしたが、子ども達の周りから動物がいなくなり、
家庭もお母さん達が自己実現に忙しくなってから、子ども達の体験そのものが少
なくなった事情、しかも家庭に、「動物を飼いなさい」「必要な体験を与えなさ
い」とは誰も命令できないことなどを踏まえて、宮川視学官は教員の方々にお話
になりましたが、その一部をご了解を得てお知らせいたします。       
                 
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宮川視学官のお話 抜粋
・    子供たちの教育は人格形成を目指すものでなければならない。
(ゆたかな人間性や社会性を培う)
・委員会活動や学校行事は、子供たちの人格形成に非常に有効であるから、おろ
そかにしてはならない

子ども達には知識と計算などの技術を教え込む、覚えさせるだけでは、不足であ
る。その子ども達の体験不足を補うため 小学校教育の中で、平成元年版学習指
導要領では、低学年で理科社会を一緒にした生活科を、また平成10年版学習指
導要領では3年以上には、子ども達が自分で物事を考えるために総合的な時間を
創設し、平成14年には全ての学校で全面的に実施することになった。

 体験の伴わない知識は知恵、つまり生きる力がつくとはなりえない。つまり、
体験不足の頭でっかちの子ども達、青年が育つのを何とかしたいと、日本の本来
の教育の良さ(人格教育を基礎として、技術や知識を与えて人間を育てる)を引
き継いで、今の教科、道徳、特別活動に加えて総合的な学習の時間が組まれた。
なおこの人格教育の評価は要録(通信簿に記入)に「行動の記録」に書かれてい
るが、昨年度から「生命尊重・自然を愛護」が追加されている。 

学校は公的な人格形成機関であり、本物に触れる教育を施し、教科書では学べな
い「感性を養う」ことに力を注がなければならない。つまり学校教育全体で体験
活動を尊重すべきだ。各学校で工夫してじっくり行って欲しい。

その中で飼育活動も、人の土台をつくる重要な役割りを担っている。関わるカリ
キュラムは、理科、生活、総合、そして道徳や特別活動(委員会活動)にわたる。
しかし、飼育について不得意な先生方も多いのだから、今、「開かれた学校」を
文部科学省は提唱しているので、ぜひ地域の専門家の助けを得て、良い飼育をす
るように努力して欲しい。


                   
[2003/10/07 11:38:16]

お名前: 中川美穂子   
@嶋野視学官 8月3日の浜松市「学校飼育動物講習会」でのお話しのさわり

 教員に向けられた視学官のお話の中から、飼育に関わるところをメモしました
 (内容がまとまっていませんが ご了解を得てお知らせします。中川)
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(最近は人間が壊れてしまったかと思うようなことが見られている)
日本の教育は黒板・机だけではなく、環境(緑、生き物)を通して、行うことに意
味がある。
飼育は狭いものではなく、きわめて大きな人づくりの基本ともいうべきものである

@教育には 学力育成と心の教育がある
 子どもたちに学力育成するのが教育者だが、現在量的な減少だけで学力が下が
ると懸念されているが、知識・技能をたくさん持てば良いということではなく、
判断力、知力、思考力、学ぶ意欲などを含めて学力という。
 つまり算数教育において、計算スキルを持っている子が単に計算蛾を上手にするとい
うことだけではなく「計算を知っていると便利だ」とう言うことが目標である。(例と
して、地面に映った影から大樹の高さを計算で出すことを、友達の背の高さとその影の
関係から計算法を思い付いた子が、計算を知っていれば、木に登らなくても高さを知る
ことが出来る。凄いことだ、と子どもが感動した話をなさいました。)知恵、活用、工
夫を培い、生活に即すことが大事である。

 最近の事件を調べていると、実物に触れずに錯覚してしまうことがあるように
思える。カブトムシが死んだら電池を入れ替えようとした子など、命を理解して
いない。(教科書だけでは得られない)本物に係わることが、本質を理解し知恵を増や
すことでゆとりが出来充実感をさそう。

@よき生活者としての学びが重要である、(心の育成)
  現在の子どもたちは、知識をよくもっているが、体験不足つまり、生活と結
びついていないことが、問題である。
よき市民としての学び・共生共存の時代:国に何をしてもらうかではなく、国に
何が出来るか、(ケネディ)という考えを小さいときから培う必要がある。
これには動物を飼うことが大きな切り口になり、体験を通して養うことが出来
る。動物を飼うことは、社会に参加していること、つまり社会参加を経験するこ
とに繋がる、知識だけでは大きなギャップができる。また動物はかかわり方で相
手に反応を示す、そのキャッチボールが、さまざまな力を培う。
 
「動物を育てることは子ども自身が育つということ、たかが動物、されど動物で
ある。」

@実際の飼育について学習指導要領には

1動植物を飼ったり育てたりしてと書いてあるが、これは「飼ったことにして」というのではない。
   映像やビデオなど教育教材はあるが、本物に触れることが必要である
2飼育種についての規定はない、各学校で選ぶことができる、
3子どもとかかわりを持たせる
  餌やりなど、子どもの働きかけに対する 動物の反応をみるキャッチボール
である
   これらが 知識、ふるまい、 知恵をあふれさせ、生活が豊かになる想像
力を養う

  (例・亀をスポーツカーに見立て、芝生を滑らす事例を見たことがあるが、
亀の腹がこすれて傷がついていた。これは、子どもの主体性はあるが、亀に対する問い
がない、問いとは、こうしたらどうなるかの想像力がない、キャッチボールが成り
立っていない)
  
@飼育は重要な役割を持つ
学校教育と動物の関係 (市民に理解をしてもらい、協力してもらう時代)市民
に意義を理解してもらい地域と連携してゆっくり確実に行う
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・学校教育について
学校 総則:(教育基本法)には人間尊重の精神と生命尊重の精神が大きく書か
れている。

 生活科:飼ったり育てたりして 、それらの育つ様子、変化の様子に関心を持
ち、親しみを持ち、大切にするようにする
理科:身近な動物や植物を育てたりして、
   学年により、成長 季節、発生、呼吸、消化、腎肝、体のつくりなど
道徳:自然、生命をかけがえのないものと知る、
 資料を具体的にして 教科を生活に結びつける必要がある。(事件発生の予防)
他:特別活動・総合の時間など、子どもの課題として取り上げている
――――――――――――
これらについて、飼育からも考えることが出来る
 指導者の意図とすることに、子どもたちを計画的に出会わせさせることが、教
育である
 動物に関する知識と理解、成長、発生など 生命について動物とかかわらせる
    動物が死んで 泣く子・大人も子どもの悲しみを共有する・・子どもの
気持ちを治める
また、関心をつちかう・責任感・協調性など

いろいろ理論があるがまず体験をさせることが重要である
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飼育の課題への対応 
 ・今までも教材だったがこれに共に育ちあう仲間の意味を加える存在とする

・良い飼育を維持するために、飼育の基本を全職員で認識することが必要
 また無理せず、責任を持って長く付き合い、続かせることが必要で、人事移動
がある学校としては、(飼育が衰退しないように) 年度始めに飼育の意義を確
認すべき、であり、年度末の評価に入れておくべきである

・動物の健康や環境の維持に目を向けるべき
  子どもも手を洗って動物に触る心遣いが必要、 双方向の注意
・    長期休業の世話・幸い週5日制なので解決しているだろう
しかし、生き物なので1日1回は声をかけてやりたい、
  つまり、見回れる環境に、つまり身近に動物を置くことが良い
また
・専門家との連携・獣医師の支援について、各地でよい事例を聞いている。
  学校獣医師を活用することをすすめて欲しい
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日本小動物獣医師会 学校飼育動物対策委員会 (動物介在教育支援) 
              副委員長 中川 美穂子
( お茶の水女子大学 子供発達研究センター 客員研究員)
   電話 0422−53−7099

「学校飼育動物を考えるページ」http://www.vets.ne.jp/~school/pets/
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[2003/10/07 11:34:20]

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