日本教育新聞(2006.11.13)
◆生き物との出合いや別れを通して 「学びをつむぐ」◆
「学びをつむぐ生活づくり−保育環境としての自然を見直す」をテーマに園内外の
自然環境や飼育動物などと継続的なかかわりを大切にしてきた東京学芸大学附属幼
稚園小金井園舎(加藤富美子園長)。10月28日に開かれた研究協議会では、地域の
人たちや学校獣医師に支えられ、ニワトリの死や新しいヒナとの出合いなどを体験
しながら、互いの発見を伝えあったりしながら「学び」をつむぐ姿が見られた事例
が報告された。
〜学校獣医師、地域と連携〜
同園では大学、家庭・地域との連携を継続的進めて保育環境としての「自然」の
改善・創造などに生かそうと、アヒル池づくりや学芸の森・子ども水プロジェクト
への参加、六角木材遊技の開発、米作りなどに取り組んできた。
5歳児は飼育していたニワトリのシロちゃんとの別れや新しくヒヨコを育てる体
験などを通して、学びを紡ぐ姿が見られた。同園では、学校獣医師の益田矩之さん
に月に1回程度、なるべく保育時間中の午前中に往診に来てもらい、子どもたちに
直接、話し掛けてもらった。
アイガモのヒーちゃんが、オタマジャクシで食中毒気味になった事件をきっかけ
に、動物の体調などに気を使うようになった園児たち。
8年間飼育したニワトリのシロちゃんが加齢で亡くなる前も「あんまり餌を食べ
なくなった」などと体調の変化に気付いて、益田先生に症状を説明した。
その後、隣接する附属小学校からヒヨコをもらったが、片目が開かず、体重も15
グラムしかなく、成鳥用の餌をすり鉢で細かくするなど、観察力が高まり、ヒヨコ
の気持ちになって育てようとする姿が見られた。
〜専門家の指導で 池、水田作り〜
アイガモのヒーちゃんが泳げる池や水田・畑作りでは、池や水田の専門家から、
子どもも職員もさまざまなことを学ぶことができた。
動植物など自然との触れ合いを通して発見したことは、学級や学年で互いに伝え
合い、情報を共有する場も工夫している。
協議会では、附属小金井小の関田義博教諭が「獣医師などの専門家の指導で飼育
環境を改善することができた。現在、子どもも主体的に参加できる水辺づくりを進
めている。大学にいる専門家の力を借りて、子どもにとってより良い環境づくりに
努めたい」と、地域連携の大切さをあらためて指摘した。
[2007/02/12 22:10:04]