記事タイトル:栃木県、学校の飼育特集 下野記事 


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お名前: 中川美穂子   
下野新聞の投稿欄から
 特に最後の投稿を読んで見てください 
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平成15年10月13日
命粗末にする身勝手な人間         宇都宮市  小川 恵美(主婦 34歳)
 
 8日付本紙「小学校のウサギ 猛獣の生き餌に」に深い衝撃を受けた。飼育の仕方は不
十分、増えて手に負えなくなったウサギは動物園に持っていき、結局は猛獣の生き餌にな
るという。
 わが家も3年前に増え過ぎを理由に学校から引き取った。犬を飼い続けてきた私は、育
てる喜びも死のつらさも知っている。しかし、ウサギはデリケートな動物で飼育が難しい
ことを思い知った。当初引き取った人に様子を聞くと、すぐ死んでしまった、育てられず
あげてしまった、話そうとする子どもの口をあわててふさぐ親もいた。
 学校飼育動物対策委員会矢部真人委員長の「大変な思いで世話をしてこそ子どもにとっ
て意味がある。努力もせずに息絶えていく動物を見て、良い経験になるはずがない」とい
う言葉に救われたが、身勝手な人間と命の情操教育の在り方の矛盾を思い知った。


平成15年10月16日
人と動物の命どちらも尊い         宇都宮市  天谷 洋(無職 60歳)

 8日付本紙記事に言いようのない怒りを感じた。小学校が情操教育の一環として、命の
大切さを学び、思いやりや責任感をはぐくむ目的で飼育しているウサギを、「増え過ぎ」
を理由に、猛獣の生き餌として動物園に持ち込んでいるという。
 こともあろうに子どもたちの健全育成を担う立場の学校で、動物の命が粗末に扱われて
いたことは、その精神が疑われる。学校の飼育困難な実情も分かるが、これで子どもたち
をどう指導できるのか。
 拙宅には小鳥が16羽いて、毎日餌の取り換えやかごの清掃などに1時間はかかる。言
葉が話せない小鳥たちの観察を怠らず、病気と思えば病院で診察してもらうこともある。
動物の世話は大変で困難だが、それでこそ心を許して甘えてくるからかわいい。命の尊さ
は人も動物も同じである。

     
平成15年10月24日   
動物すべてに大切な命あり      宇都宮市  荒井 賢治(動物園園長 39歳)

 8日付本紙に、宇都宮動物園では学校で増えすぎたウサギを引き取り餌にしていると載
りました。その日は朝から苦情の電話で仕事になりませんでした。ほとんどが一方的に怒
鳴りまくり、中には脅迫めいたものまでありました。
 記事に対する抗議なのか、ライオンのおりの中にウサギの縫いぐるみを入れた人がいま
す。ライオンは縫いぐるみについている異物を食べてしまいました。もしこれが原因でラ
イオンが具合を悪くしたら、担当の飼育員はどんな思いになるのか、どうして考えてくれ
ないのでしょうか。
 薄っぺらな動物愛護を語る方に言いたいのは、ウサギは大事でもライオンの命は考えて
くれないのかと。動物園で働く人たちは、その中が動物たちにとって決して良い環境でな
いことは知っています。すべての動物たちの命の大切さを知っています。それをぜひ皆さ
んに分かっていただきたいと思います。
[2003/11/03 10:13:15]

お名前: 中川美穂子   
@続報です

2003年10月24日付 下野新聞より 

管理改善へアンケート/学校のずさんな動物飼育 

宇都宮市PTA連合会Cブロック ・門題解決にはサポート必要

学校飼育動物のずさんな管理が問題視されている。その現状を受け、宇都宮市PTA連合
会Cブロック(広瀬麻紀ブロック長)は、近隣の小学校に対し飼育状況についてのアン
ケートを実施するなど、改善に向けた取り組みを始めた。広瀬ブロック長は「学校だけで
解決できない問題もあると実感した。PTAも飼育をサポートできるような体制づくりに
努めたい」と話している。

 Cブロックは、同市東部の十九小学校と六中学校の計二十五校のPTAで組織。アン
ケートは、ブロック内の峰小が八月にウサギのホームステイを始めたことをきっかけに、
ほかの小学校についても現状を把握しようと実施した。九月下旬に十九小学校へ送り、全
校から回答を得た。
   アンケート結果によると、十八校がウサギを飼育。年間飼育経費は、六万―三万円
が最も多く九校だった。
 経費は学校負担が大半だが、教師のポケットマネーを充てているという回答もみられ
た。
半数以上の学校が悩んでいるのは、休日や長期休暇中の飼育体制。十校が、前日に餌を多
めに置くだけで休みの日は面倒をみていなかった。
 また、動物が病気やけがをした場合、獣医師に相談した学校は六校だけだったが、獣医
師をアドバイザーとして必要としている学校は八校あった。
 今後の飼育課題については、最も多い十三校が、飼育小屋の場所や環境改善を挙げた。
次いで、休日の管理体制、飼育経費の工面などがみられた。
 同ブロックはこのほど清原地区市民センターで、アンケート結果を公表するとともに、
動物の飼育が子どもに与える影響を理解するため獣医師を講師に研修会を実施。PTAと
小中学校の教師ら約八十人が参加した。教育関係者から「人通りのない場所に飼育小屋が
あることが問題」「子どもと動物が、より密接に触れ合える機会をつくりたい」などの感
想が出た。
 同ブロックは今後、アンケート結果をもとに、実際に飼育改善の実践校を決めて、具体
的な問題解決にあたることを検討している。
  講師を務めた県獣医師会の矢部眞人副会長は「PTAと教師、地域が互いに協力しな
いとこの問題の解決は進まない。PTAのこうした主体的な動きは改善に向けた大きな一
歩」と評価していた。
[2003/10/28 21:45:13]

お名前: 中川美穂子   
下野新聞の続きです。10月21日(火)記事
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学校ウサギ”間引き”問題/ 全校に適正飼育求める 県教委

 県内小学校の一部が「増えすぎ」を理由に、動物園へウサギを持ち込んでいたこと
を受け県教委は20日、市町村教委に適正飼育を求める文書を送付した。各教委は近
く小学校に通知する。
 小学校では、情操教育の一環としてウサギを飼育している学校が多い。しかし、昨
年は数校が宇都宮市上金井町の宇都宮動物園にウサギを持ち込み、猛獣のえさとなっ
たケースもあったとして問題化していた。

 県教委は1日、同動物園で事実関係の聞き取り調査を行った。複数の小学校がウサ
ギを持ち込んだ事実を確認した上で、「学校における小動物の適正な飼育について」
の文書を、市町村教委に送付した。

 文書には各学校での配慮事項として、「飼育可能な適切な動物を選ぶ」「飼育動物
の怪我や病気への対応策は、職員間で共通理解する」「動物の増え過ぎに注意」の3
項目が記されている。
 また具体的に近隣獣医師との連携を図りながら、雌雄を分けての飼育や必要に応じ
て避妊、去勢手術を行う。さらに里親制度など地域との連携などを求めている。

 県教委は「適切な飼育がされていないために、児童が教師不信になるなど、子供の
心を傷つけることがあってはならない。生命尊重の考えに立って各学校で命を大切に
する飼育に努めて欲しい」と説明している。
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(中川)
 栃木県では、最初に県獣が先生方に向けて講習会をしたとき、教育関係者はご講演
をお願いした嶋野視学官がお声をかけてくださった方お一人だけしか、参加なさいま
せんでした。
しかし、その後も県獣は
毎年講習会を開き、文科省の視学官や教科調査官、総括研究官の方々のご協力をいただい
て、進んできました。

今回、教育委員会は良くその内容を理解なさった通達を出しておられます。まさに、
獣医師会のご努力の成果が現れていると思います。

 最初の講習会のときに、ご一緒した嶋野視学官が「栃木は慎重な県だけど、良いと
分かったらきちんと実行します」とおっしゃっていたことが思い出されます。
[2003/10/23 09:25:10]

お名前: 中川美穂子   
栃木県獣医師会は2001年度から県教委に働きかけ、連携をすすめながら繰りか
えし文科省の方や中川、群馬県からの講師を呼んで教員向けの学校飼育動物講座を開
いておられます。

 今年も1月27日に道徳の永田繁雄教科調査官と中川を講師に、また小学校の先生
方の事例報告もしていただく公開講座を予定なさっておられます。

地道な活動がこのような丁寧な特集記事につながったことと思い、敬意を表します。
[2003/10/14 11:44:20]

お名前: 中川美穂子   
栃木県 下野新聞記事 平成15年10月8日 
 以下の記事と同じ日に、動物園で猛獣の餌になる学校のウサギの記事が出ていました。
抱き合わせにしたものと思われます。
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「命の情操教育 裏では悲劇も」
―誤った飼い方、日常的な死、予算が不足、傷治療できずー

@県内小学校 動物飼育の実態
 今年5月に文部科学省は「学校での動物飼育マニュアル」を、全国の小学校に配布した。
これが一つの契機となり動物を通して、命の大切さを子どもに伝えようとする動きが広
まっている。県内でも9割を超える小学校で飼育されているが、その環境が劣悪だとの指摘
を受ける例も少なくない。誤った飼い方でウサギが日常的に死ぬ。予算がなく、傷ついた
動物も治療できない。さらに、増えすぎたウサギを猛獣の餌に提供する学校さえある。県
内の一部とはいえ、こうした現実は真に“教育的”な飼い方といえるのだろうか。小学校
の動物飼育の実態を探った。(学芸部 小林睦美)

*県央地区にある小学校のウサギ小屋。
 今年4月、乾燥した土の中から、土まみれの干からびた塊が次々と掘り起こされた。
 小さな手足のついた塊。生まれたばかりの子ウサギの死がいだった。巣が崩れ、生き埋
めになったのか、まだ毛も生えておらず、目も開いていない。見つかった死がいは両手で
数え切れなかった。
 学校では、子どもたちの情操教育の一環として動物を飼育している。命の大切さを学
び、思いやりは責任感をはぐくむことが目的だ。
 実際に小学校の学習指導要領での、1,2年の生活科、3−6年の理科や道徳で、動物と
の触れ合いなどを通して、命の尊さを伝える授業が組み込まれている。
 県農務部が2001年7月に行った「学校飼育動物の衛生検査に関する調査」によると、当時
の県内公立小学校(宇大付属小は除く)で回答した431校のうち、98.6%で動物が
飼育されていた。
 飼育動物の総数は約6000匹(羽)。最も多いのはウサギやハムスター、モルモットなど
の「げっ歯類」で全体の44%を占める。体が小さく、手間がかからないことから、多数
飼われているようだ。
 教育的効果を期待して飼育される動物たち。しかし、宇都宮市内の小学校長は「子ども
の成長にいい影響を与えるのは分かっていても。現実となると世話も思うようにできてい
ない」と明かす。
 実際に、県獣医師会那須支部が01年、町内13小学校を対象に実施したアンケートでも、
殆どの学校が、飼育に問題を抱えていることが浮き彫りになった。
 最も多い悩みは動物の怪我や病気で、「どうしたらよいか分からない」「治療費がな
い」という理由が目立つ。
   (獣医師の支援で飼育方法が整理されれば、怪我は殆どなくなる・中川)
 土、日曜や祝日、夏休みなどの長期休暇中の管理面の負担が大きく、休日は飼育担当が
いない学校も。また、10校が獣医師ら専門家によるアドバイスやサポート体制を求めてい
た。

* 教師が小さなダンボール箱を抱え、宇都宮動物園を訪れる。箱の中には数匹のウサギ
がうごめいていた。「増え過ぎてしょうがない」。淡々として表情でやり取りを済ませ、
箱を預けて帰る教師。
 「悲惨な飼育環境」から逃れることはできたが・・・・。数日後、ウサギたちは生きた
まま猛獣舎に放り込まれ、ライオンの餌となった。
 動物園側は手狭な飼育環境から、学校側に餌とせざるを得ない現状を毎回説明してい
る。「学校で育てられてきたウサギを、猛獣舎に入れたくはない。だから学校でしっかり
飼育してほしいのですが、持ち込みは後を絶ちません」

@「県内の取り組み」 ウサギをホームスティ・県教委はふれあい教室
 県内でも、学校飼育動物への関心は、徐々にではあるが、高まりつつある。
 ウサギの飼育の分散化を図り今夏から、児童が自宅で面倒をみる“うさぎのホームス
ティ”を始めた宇都宮蜂小。夏休みには13匹がホームスティした。
 飼育した児童からは「今年の夏は、とてもいい思い出になりました」「家族が増えてよ
かった」「返すと時はとても寂しかった」「学校でも一生懸命やりたい」などの感想が寄
せられた。
 「子どもたちが愛情を持ってウサギを育てていた様子を知り、とても感動しました」と
深沢節子校長。同校は今後も土・日曜や夏・冬休みだけなど児童の希望に沿ったホームス
ティを続ける。
 一方、県教委は、県獣医師会と協力して2001年度から飼育支援のモデル事業を実施。地
域の獣医師が指導役を務め、飼育方法をアドバイスするほか、小動物のふれあい教室など
を開き好評を得ている。
 本年度は8市町約81校が対象となっている。
 しかし同事業は長期的な視野に立って行われる継続事業ではない。このため、県獣医師
会は「関心のない教師が多ければ、(単年度で実施しても)単なるイベントに終わり、意
味がない」と定着の進まない現状を心配している。

@先進県群馬では
「県が小学校へ獣医師派遣 群馬大 教員の卵対象に実習」
 全国では今年6月現在、28都道府県で、94自治体が、獣医師との連携を図った飼育支援事
業を行っている。
 先進地とされているのは群馬県。1998年に「学校に獣医さんを置きます」という新聞広
告を流し、全国で初めて、県の事業として希望する小学校に獣医師の派遣を始めた。
 獣医師は教師と協力し、児童たちに動物に関する知識や触れ合う喜びを教えているほ
か、学校で飼われている動物の治療も行う。派遣人数や回数に制限はなく、獣医師と学校
が話し合って決める。
 事業は2008年度までの10ヵ年計画。本年度までに、351校のうち235校が参加した。県も
事業の成果を評価し、初年度500万円だった事業費を、昨年度は3倍以上の1660万円にアッ
プした。
 群馬県獣医師会の学校動物愛護指導委員会、桑原保光委員長は「各学校にも事情がある
ため、活動は無理強いしない。しかし年々、活動の輪が広まり、理解ある教師も増えてい
る」と、手応えを感じている。
 こうした動きと連動するように、群馬大は動物を教育に生かすことのできる教員養成に
力を入れている。
 2000年から、教育学部の必修科目「生活科」に獣医師を講師とする飼育講座とふれあい
実習を開設した。
 実習では、学生たちは決まって「キャー、かわいい」「ふわふわしてる!」「あった
かーい」など小学生と同じ反応を見せるという。中には動物に一度も触れたことがなく怖
がる学生もいるが、獣医師が工夫して、少しずつ慣れさせている。
 学生たちの感想は、「苦手だったが、抱けるようになって、うれしかった」「怖がる必
要なんてなかった。小さいころに教えてほしかった」「教師になったら、室内でウサギを
飼いたい」など好意的なものばかり。
 同県は、県政の大きな目標に「子どもを育てるなら群馬県」を掲げ、教育で自然や動物
との触れ合いを重視している。将来的には、制度として学校に委嘱獣医師を導入したい意
向だ。

@栃木県獣医師会学校飼育動物対策委 矢部眞人委員長に聞く
 「世話をしてこそ意味― 学校だけでの対応に限界」
 学校で動物を飼う必要性、そして動物が子どもの成長に与える教育的効果とは。日本小
動物獣医師会理事で、県獣医師会学校飼育動物対策委員会の矢部眞人委員長に聞いた。

―管理ができないなら、学校で動物を飼わない方がいいという意見もあります。
「集合住宅やアパート住まいが増えたため、ペットを飼えない家庭も多い。そうした子ど
もたちも動物と触れ合う機会となるので、学校で動物を飼うことの意義は大きいですね」

―動物が果たす教育上の役割は。
「残虐な犯罪者の多くが、青年期に動物虐待を経験していると聞いています。感受性の豊
かなうちに、動物と深く付き合う、思いやる経験があれば、子どもは命の尊さを考えるよ
うになるでしょう」
(中川/記者はどうしても、動物を大事にするように教えれば、犯罪者にならないと考
え、そのような記事にしがちですが、本当は
 感情を人と共有できる動物にひどいことができる人はその時点で、問題を抱えていると
いわれています。動物を虐待を繰りかえす人は、自分が虐待されていた人、動物への感性
が未熟な人、精神病の兆候を持つ人などと 分類されるそうです。特に病的な場合は、徴
候は幼児期から現れます。つまり、動物をいじめる現象は、そのような問題を抱えている
子どもをピックアップできる指標となります。どれも、弱いものへの危害を加える可能性
があり、危険ですのですぐに親ごさんを含めてケアーをする必要があります。
 と言うことです。)

―ウサギを飼育している学校は、かなり多いですね。
「ウサギは繁殖能力が高いため、飼うのが難しい面もあります。メスは生後4ヶ月で交尾で
き、年8回も子を産むことができるのです。増えすぎによる親ウサギのストレスで、生まれ
た子ウサギが殺されるケースは、たくさんあります」

―子ウサギの死を放置し、それで子どもに生死の営みを教えている教師もいますが。
「大変な思いで世話をしてこそ、その動物に対して抱く思いや、動物の生死が、子ども
にとって意味のある経験となるのです。努力もせずに息絶えていく動物を見て、良い
経験になるはずがないじゃないですか。子どもが、死は簡単に起きるもの、錯覚してしまう。
全く逆効果です」
(中川/これは、死を簡単に起こしても良いと錯覚するとの意味だと思います。
子ども達には、
 死は簡単におきるから、大事にしていつもよく見てあげて世話する必要があると教
えていると思います。私も子どもたちに「皆さんだって、親御さんがご飯を作ってくれな
かったらすぐ死んじゃうのよ」と話したりしています)

―劣悪な環境を改善し、教育的効果を高める方策は。
「学校だけで対応するには、教師の知識や市町村の予算面からみても限界がある。群馬県
のように県が主体となり、獣医師を学校に派遣するような支援事業を薦めるべき時です」
                              (終わり)
[2003/10/14 11:42:32]

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