5日目(シンガーポール〜関空)
定刻から少し遅れの0時すぎにシンガポールのチャンギ空港を離陸したシンガポール航空986便はしばらく上空を旋回していた。おかげで宝石を散りばめたようなシンガポールの街の夜景を長い間上空から眺めることができた。夜景を眺めながら、これで「深夜スーパー超特急」も終わりかと思うと悲しくなってきた。でも、なんとか無事5日間を乗り切った安堵感もあり、複雑な心境でもある。機内はしばらくすると寝静まり始めたが、なんだか眠れない。シンガポール航空はサービスがよく、座席にそれぞれ1台ずつモニターが付いていて、ゲームやらニュース、映画などがみれる。早速、ゲームをやろうとするとボタンが壊れていて常に上のボタンを押した状態になっている。はじめかなりやりにくかったが、それはそれでおもしろくなってきて少しハマってしまった。ゲームに疲れてチャンネルをまわすとまた「タイタニック」をやっていた。タイのカオサン通りでもちょこっとみたが、ここでもまたみてしまう。映画も終り、やることがなくなった。Mはもちろん横で死んだように寝ている。仕方ないのでこの5日間のことでも思い出して整理してみるかという気になりしばらくの間この5日間のことを回想していた。短い期間だったがいろんな出来事や多くの出会いがあった。もっとゆっくり時間をかけて旅すればもっとたくさんの出来事や出会いがあったのだろう。それだけが心残りだ。今度は本当の「深夜特急」の旅に出てみたい。とうぶんは行けないと思うが、少しずつ準備をしていって「深夜特急」に乗るつもりだ。そのときはまた、旅行記でも書こうと思っているので読んでやってください。そして、あなたも、あなたなりの「深夜特急」に飛び乗ってみませんか?
深夜、機体が結構揺れた。フィリピン付近を飛んでいて、下に大型台風があるらしくかなり気流が悪いらしい。少し心配になってきたが眠気のほうがまさり、ウトウトし始めた。揺れにまかせて、起きているのか寝ているのかわからないもうろうとした状態が続いた。しばらくすると機内がパッと明るくなった。朝食の時間だ。席の前にあるモニターには大きく日本列島が映し出されている。たった5日間だけだったが、その地形が妙になつかしく思えた。帰って来たという実感がわく。Mも横でなにを考えているのかわからないが、ボーっとしている。飛行機は定刻通り7時に関空に着陸した。