根 子 岳 紹 介

熊本県・阿蘇郡・高森町・大字上色見


阿蘇の大カルデラの中に険しく切り立つ根子岳。 それは忽然と眼前に現れる。 

一見おどろおどろしい神秘的なその様に目と心が引きつけられ、

時を忘れてしばし呆然と見とれてしまう。

 冬には厳寒の風雪にじっと耐え、春には緑の木や草を温かく育み、夏には明るい太陽に照らされ光り

輝き、そして秋には一年の実りを一緒に喜んでくれる優しい父であり母である。

 根子岳は阿蘇五岳の内、高岳の1592m、中岳1506mに次ぐ1408mの山。 山の頂がギザギザに切り立つ異様な様は強烈なイメージを与え、町の内外を問わず多くの人に親しまれています。



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 民話 「根子岳の化け猫」から 

むかーし 昔、熊本の高森と一の宮にまたがる根子岳には化け猫屋敷があってな。

恐ろしか 大猫が住んどったげな。

そこらあたりの猫は歳をとったら、死ぬ前にみーんな その猫屋敷に行って

そこで最後の奉公ば せにゃんということになっていたてったい。

高森の飼い猫「クロ」も「もう長く生きられない」と悟ってな、

可愛がってくれた家の人達との別れを悲しみながら、根子岳に登っていったそうな。

家の人たちゃ 毎日「クロー クロー」と捜したが見つからん。

みんな とってん 悲しんだそうじゃ。

それから、ちょっとして そこん家で一番クロば可愛がってくれとったご主人が

根子岳ば越えて 一の宮に行くことになったげな。

そして行きよったら、いつも山にゃ慣れとったはずのご主人さんが道に迷うて、

いつの間にか晩になってしもうたげな。

「こりゃー困ったばい」と途方にくれとると、向こうの方に明かりが見えたげなたい。

そん ご主人な こん晩 ひと晩 泊めてもらおうて思うて 

そん光はめざして どんどん 歩いて行ったてったい。

着いてみると、ものすごー ふとかー屋敷じゃったげなが、

屋敷に入っていくと きれいか おなごん人が出てきてな

「そらー おおごつでしたなー 遠慮せんで ゆっくり泊まっていってください。

疲れなったろうけん風呂に入ってください。」て えらーい 親切に言うてくれたげな。

ご主人さんな 嬉しゅうなって 風呂に入ろごつしよったてったい。

そしたら 「いかーん! 風呂に入ったらいかーん!」て ふとかー声がしたげな。 

そしたら、なーんのこつか いっちょん解らんだったご主人さんの前ん 

別のきれいかおなごん人が出て来て 「わたしゃ 可愛がってもろうたクロです。

ここん来たらいけまっせん。すぐに逃げてください。

風呂ん入ると ご主人も猫になるとです。」て 言うたげな。

うったまがった ご主人な そん屋敷ば飛び出して びゃんびゃん逃げたげな。

そしたら、後ろから「待てーー!」ち 大猫が追いかけて来たてったい。

そん猫は、口は耳まで裂けち、目がつり上がっとる ふとかー猫じゃったげな。

手にはヒシャクと手桶ば持って、水ばかけながら走ってきたげな。

水が手やら足に ちょこっと かかったばってん ご主人な 死にものぐるいで逃げたてったい。

しばらく 逃げち走りよると 下の部落が見えてきて、そこん家に飛び込んだげなたい。

「あー助かった!」 ご主人さんな ホッとしたばってん、

なーんと水ばかけられた手やら足にゃ 猫ん毛が生えとったてったい。

 そして、ご主人さんな 「逃がしてくれたクロがひどい目にあわさるるとじゃなかろうか」て

心配しよったところ、すぐに後ろからニャーニャーて声がしてクロが走って来たげな。

そるから また、クロはご主人さんたちから可愛がられち 

ずーーっと 仲よう 暮らしたげな。 めでたし めでたし。 

ありがとう クロ!  お帰り クロ!


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