大学時代にジャズをやっておりまして、基礎演習という自分の好きな題材を選んで研究成果を発表するという授業でジャズの成り立ちやそこからの派生についてやったもんでそれにからめて知っていることをお答えします。 まず、現在のロックもジャズも系譜をさかのぼればブルース(コード進行が決まった変化をするので特定できます)が基になります。これは簡単明瞭に極論すると「黒人の演歌or民謡」ですね(そのセンスで賛美歌唄ったのがゴスペル)。 で、これは私が今思っただけで確証は全然ありませんが、カントリーは「白人の演歌」ではないかと、アイルランドのチェックのスカートはきながら演奏しているチンドンヤみたいなあれに音楽的に非常に似ている気がします。まあ、イギリス渡来なんでしょう。 ロックの方はよく知らないのでジミヘンがブルースからロックを生んだ(極論ばっかでもうしわけないですが、、)と言われていることを指摘するに止めます。 さて、かつてフランス領だったルイジアナ州(たしかそうだったはず)にフランス人が置いてった楽器をてきとーに吹きはじめた貧乏黒人が歓楽街でブルースのコードでてきとーにアドリブ演奏することでジャズが生まれたわけですが、ジャズの奏法の区別によるジャンルの違いは割愛して70年代まで話をとばします。 みなさんの知っているジャズのイメージはアナログな「あれ」だと思いますが(モダンジャズ)、電子楽器(シンセとか)が登場するに至ってそれまで何度もジャズに革命を起してきた「ジャズの帝王」マイルスデイビス(故人)がいちはやくそれを取り入れ音楽界全体に影響を与えます(「アガルタ」が記念碑的作品ですかね)。ポリス以後のスティング、マドンナ、プリンス、EW&Fのモーリスホワイトあたりがマイルスに傾倒していてなかがよかったみたいです。 基本的にこのジャンルをフュージョン(アナログとデジタルの混合の意)と呼びますが、ここからの派生が現在の雨後のたけのこのようなジャンルの派生につながっていると思います。 で、アシッドジャズ、ハウス、ヒップホップ等々(スカもかな)フュージョンの派生なのですが、もはや音楽的内容でのみ区分けることは不可能だと思われます。 私に言わせれば、アシッドジャズは「イギリスの」フュージョンジャズ、ハウスもヒップホップももとはジャズにラップの要素が混じったフュージョン、ヒップホップにいたっては黒人スラム文化ヒッピー的なものなら音楽でなくても広義のヒップホップでしょう(タグの落書きとか)。スカの場合は音楽的なジャンルわけですが、、(ビートマニアのスカをやった後、スカパラのバック演奏を聞けば「ずチャッ、チャッ、チャッ、チャッ」というリズムに気が付きます) リーバイスさんやスペードのJさんのおっしゃる様にくだらないジャンルわけが多すぎます。混乱する理由は、 1、音楽的には同一だが地域色だけで細分化(ユーロビートはヨーロッパのテクノ、アシッドジャズはイギリスからの輸入盤にかっこいい名前をつけて売ろうとしただけ) 2、非常に曖昧もことした文化的イメージが音楽に関係なく付着(日本の自称ヒップホップアーティストは必ずあの半ズボンを履かなくてはならんのか?(笑)) 3、音楽的に些少な違いなのにかっこよさげな名前を付けて流行にして売ろうとする輩の存在(昔、コムロがHEY3で「次はジャングルだ」と言ってましたが、ドラムが一定のパターンを細かく早く打つだけのことをジャングルと言うらしいです。でも、浜チャンの歌そのもののメロディーは単なる歌謡曲にしか聞こえない。ファンの人ゴメン。トランスも一定の電子音を繰りかえして「倒錯」させるクラブ文化なんで2と3の融合かなー) もう、自分でもわけわかんなくなってきたのでまとめます。 ジャンルという言葉で本来区別されるべき対象は狭義には音楽的なもので、ジャズとロックとクラシックみたいに明瞭であり、さらにつっこんでもクラシックのなかのオーケストラと室内楽程度のものでしょう(形態(人数)が違うだけですが、その意味では「伴奏ナシ」という形態のアカペラもジャンルでしょうね) しかし、実状は上に挙げたような理由からジャンルの意味が拡大してわけがわかんなくなっていると、、、故に「こういう曲を何々と言うんだ」と「聴かされて」ああ、そうかと自分のなかでジャンル分けを消化することはほぼ不可能と私は思います。(半ズボン履いてなんかしゃべってるなと思ったら、「ああ、ヒップホップのつもりか、、」と思えばよいかと、、)曲の内容以外の要素で分けたものが多すぎますから、、、 ちなみにR6B(リズムアンドブルース)は本来ブルースコードのメロディーにすきななリズム(ジャズでブルースやるとたいがい4ビートとか決まったものになるのですが)をつけたポップス(歌謡曲)のことだと思うのですが、、和田アキコはともかくくらきまいもR&Bなんだそうで「聴かせるねー」っぽい雰囲気のみで最近はそういうらしいです。ウタダもR&Bの歌姫なんて言われてましたけど、ブルースに関係ない曲も多いので今じゃあ雰囲気が少し黒人音楽系のかっこいい音楽のことをR&Bと言うのではないかと思います。(AUTOMATICとか、私も好きですが) あと、レゲエは完全にリズム分けですよね、あっちの民族独特のリズム。 似たような民族独特のもので分かり易いのが沖縄音楽でしょう、こちらはリズムではなく音階が西洋音階の私たちが聞きなれた「ドレミ」と違う間隔で音程が変わっていきます。聞きなれた曲を沖縄の音階を使って演奏すると突然琉球チックになったりします。これらのジャンル分けには明瞭な「違い」が認められるのでジャンルの中でもでかい顔を出来るほうかと思います(笑) 最後にスペードのJさんに私の敬愛する帝王マイルスの言葉を知ってもらいたく、ここに書き留めます。 「オレの音楽をジャズと呼ぶんじゃねェ、ポップス(時代の最先端)と呼べ!!」
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