タイトル:あの人の言葉・・・ 


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お名前: はいろ@   
まだまだ社会人になりたての頃だった・・・
一生懸命頑張ってた。知識と経験はまだまだだったけど、これだけは誰にも負けないっ!
・・と一つのことをポリシーを持って毎日実践し、いつの間にかそれがプライドみたいな
ものとなり、自分自身の自信になっていた。本当にそれだけは誰にも負けていなかったと
今でも自負していた。
ところがその時、そのことに気づいてくれる人がいなかった。
いや、気づいているのかどうかわからなかったけど、だれもそれを認めてくれていない
気がしていた。
誰でも出来ることなのに、やる気だけであれば出来ることなのに。
それを出来ていない人に言いたかった。叫びたかった。悔しかった。
とてもはがゆい気持ちだった。・・・まだ若かった。

ある日同期の女性と飲む機会があった。同期といっても4つも上の人だった。
飲んで飲んで、酔った勢いで不満をぶちまけた。今思えば単なるわがままのようなことを。
おれはその女性にぶちまけた。
彼女はただ黙って聞き続けた。おれのわがままを聞き続けた。おれの目を見てうなずきながら。
おれは全てをただ吐き捨て、そして吐き捨てただけで満足感に浸った。いやまだ足りなかった。
そんなおれを知ってかどうかわからないけれど、少しの沈黙の時の流れを優しく包むように
口を開いた。一つもいやな顔をせずに聞いていた彼女の口が・・・開いた。
「どこかで誰かが見てくれてる人がきっといるよ。自分が信じて思うことを続けることは
とても素敵なことだよ。あなたの良さを見つけてくれる人にきっといつか出逢えるさ。」

とても恥ずかしかった。
ただ目立ちたいだけだったんだと思った。気づいてほしいだけだったと思った。
誰でも良かったんだ。ポリシーなんかじゃないと思った。
人に良く見てもらいたいだけだったと思った。その時言えなかった。
彼女は微笑みながらこちらを見つめている。
尊敬だった。男とか女とかそんなものじゃなかった。
人間として、彼女を尊敬し、目標ともなった。

その日からおれは変わった。変わるように努力した。
ただ一つだけ変えちゃいけないものがあった。なくしちゃいけないものがあった。
自信だ。
長い間信じて思うことを続けていたことが、自分自身の糧となって財産になっていた。
そしてそれを続けた。信じて続けた。

昨年彼女は結婚した。遠い土地に転勤したおれのことも呼んでくれた。
とても素敵だった。いつまでも幸せにいてほしいと願った。
仕事を辞め専業主婦となった。残念だった。もっと多くの人に彼女に出逢って欲しかった。
もっと多くの人が彼女の言葉に出逢って欲しかった。
でもこの言葉は伝えずに胸の奥にしまった。
彼女に伝えたところでどうせ返ってくる言葉は一つだ。

いい人にはなりたくない。都合のいい人はもってのほかだ。
ただ他の人から見て、目標としたい・・・・
そんな人間になりたい。
[2000/06/03 00:52:33]

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