サスペンス映画


『シャッターアイランド』(2009年/監督:マーティン・スコセッシ)

連邦保安官(レオナルド・ディカプリオ)が、精神を患った犯罪者が収容されている精神病院から脱走した女性患者の捜査に、病院がある孤島シャッターアイランドにやってきます。ディカプリオの目的は他にもあって、アパートに火をつけ最愛の妻を殺した犯人がこの病院に収容されていると知り、復讐しようと考えていたんですな。

予備知識がなかったので、最初は孤島という密室を舞台にした純粋なミステリーと思っていたのですが、途中からディカプリオの夢の中に色々な事象が出てきて、もしかしたらと思ってきました。結局、当らずとも遠からずという予想のラストでしたね。

スコセッシは、1950年代のミステリーの雰囲気をうまく映像表現しており、ベン・キングズレーやマックス・フォン・シドーといった胡散臭い役者を配して、謎を膨らませていくことに成功しています。原作を読んでいても、それなりに楽しめるような演出になっているんじゃないかな。138分を退屈させずに見せるのは、スコセッシの力量といえるでしょう。

 

『華麗なる相続人』(1979年/監督:テレンス・ヤング)

世界的大製薬会社のオーナーが山で死亡し、娘のオードーリー・ヘップバーンが会社を相続します。オーナー一族には、ジェームズ・メイスン、ロミー・シュナイダーと愛人のモーリス・ロネ、イレーネ・パパスと夫のオマー・シャリフがいて、彼らは金に困っていて株式公開をオードーリーに迫るんですな。父の死が事故でなく、殺人だったことがゲルト・フレーベの警部から知らされ、オードーリーも何者かに命を狙われます。父の腹心だったベン・ギャザラを愛したオードーリーは彼と結婚しますが……

原作がシドニー・シェルダンで、これだけの役者を揃え、エンニオ・モリコーネの音楽に、テレンス・ヤングが演出とくれば、スリル満点のサスペンス映画になって当り前のはずが、全然ハラハラしません。ポルノ殺人との関連も今イチ不明瞭だし、クライマックスも盛り上がりに欠けます。“名馬も老ゆれば駄馬”という見本のような映画で〜す。

 

『テイラー・オブ・パナマ』(2001年/監督:ジョン・ブアマン)

パナマに左遷された英国諜報員(ピアース・ブロスナン)が、政府要人の御用達となっている洋服の仕立屋(ジェフリー・ラッシュ)を使って、パナマの政情や運河に関する情報を集めるのですが、仕立屋の嘘の情報のために国際的危機が発生するというスパイ・サスペンスです。

原作はジョン・ル・カレで、脚本にも協力しています。ブラック・ユーモアが満載で、仕立屋の情報を嘘と知りながら、知らぬ顔して本国へ報告するピアース・ブロスナンがいいですね。ブロスナンは、ジェームズ・ボンドより、女好きでいいかげんな男の方が似合っています。

バカなのは上層部で、事件をひきおこした当人たちがハッピーエンドという結末はグッドね。最近は、この手の軽い作品が少なくなったので満足で〜す。

 

 

『ブレイブワン』(2007年/監督:ニール・ジョーダン)

愚連隊に恋人を殺され、自分も重傷を負ったヒロイン(ジョディ・フォスター)が、町のならず者に自ら制裁を加え、愚連隊に復讐する物語です。身を守るためというより自殺用に拳銃を手に入れた主人公が、コンビニ強盗に遭遇して強盗を殺し、地下鉄で無法を働くチンピラも殺し、最初はビクビクだったのが段々自信を持って行く過程をジョディ・フォスターが巧く演じています。犯人を追っていた刑事(テレンス・ハワード)が、主人公をどうするかなどサスペンスもあって、それなりによく出来た作品といえます。

だけど、この作品、男を女に変えただけで、『狼よさらば』(1974年/監督:マイケル・ウィナー、主演:チャールズ・ブロンソン)とプロットが同じですよ。『狼よさらば』はシリーズ化されましたが、これもシリーズ化されるのかな。銃をガンガンぶっ放すアクション中心の『スーパー・ブレイブワン』なんちゃって……

 

 

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