アメコミ・ヒーロー


『ザ・スピリット』(2008年/監督:フランク・ミラー)

殺された警官が悪党の人体実験で黄泉帰り、不死身のヒーローとなって活躍する物語です。主人公のスピリット(ガブリエル・マクト)は傷を負ってもすぐに元通りになる超人で、同じ能力を持つ悪の帝王オクトパス(サミュエル・L・ジャクソン)を捕えて身体の秘密を解明しようと思っているのですが、これがメチャ強い。バラバラにしない限り死なないのですからね。この二人の闘いに、エバ・メンデスやスカーレット・ヨハンソン、サラ・ポールソンなどの美女が彩りを添え、コミック的映像表現と相俟って、結構楽しめました。

原作は1940年代のアメコミらしく、主人公のスタイルはクラシックです。サミュエル・L・ジャクソンがナチスの格好で主人公を痛めつけるのは、40年代コミックの悪党像を踏襲していますね。ハリウッドの個性派スターはコミックの悪役がお好きなようで、サミュエル・L・ジャクソンも楽しんで演じていま〜す。

 

『ウルヴァリン:X−MEN ZERO』(2009年/監督:ギャヴィン・フッド)

不死身の身体を持つローガン(ヒュー・ジャックマン)と兄のビクター(リーブ・シュレイバー)は戦いの毎日を送っていたが、彼らの超能力に目をつけた政府機関のストライカー(ダニー・ヒューストン)のもとで特殊任務につくことになる。しかし、そんな生活に嫌気がさしたローガンは組織を抜けるが、ビクターが追ってくる。ビクターに最愛の女性を殺され、ビクターと戦ってやぶれたローガンは、ストライカーによって最強の戦士となる手術を受ける。それは、ストライカーが企んでいた陰謀だったが……

“X−MEN”シリーズの前段階にあたる物語です。シリーズ1作目でウルヴァリンが、なぜ記憶を失って現れたのかがわかりますよ。『明日に向かって撃て!』の後に、役者は変更していましたが、ブッチとサンダンスが相棒になった経緯がわかる『新・明日に向かって撃て!』が作られたようなものですな。

この作品でも、主役のローガンはヒュー・ジャックマンで同じでも、敵役のストライカーは違っていましたね。ラストでパトリック・スチュアートが出てくるんですが、実物でなくCG画像のような気がします。

内容はCGアクションを楽しむだけです。ウルヴァリンって不死身なだけでなく、齢もとらないんだ。

 

『ウォッチメン』(2009年/監督:ザック・スナイダー)

世界中で起きた歴史的事件の陰で活動していたウォッチメンと呼ばれるスーパーヒーローが、法律によって活動を禁止させられることになる。それから8年後、ウォッチメンだったコメディアンが何者かに殺され……

別次元のアメリカを舞台にしたSFアクションです。原作はグラフィック・ノベル(日本でいえば小松崎茂の絵物語のようなものか?)とのことで、分類上アメコミに含めてもかまいませんかね。

別次元のアメリカでは、世界中で起きた歴史的事件の陰でウォッチメンと呼ばれるスーパーヒーローたちが活動していたんですよ。ところが法律でウォッチメンの活動が禁止され、彼らは姿を消します。それから8年後、米ソ間に核戦争の危機が訪れている中、ウォッチメンだった一人が殺されるんですな。ウォッチメンの正体を知っているのはウォッチメンだけで、殺害の真相と裏に隠された陰謀の謎が物語の軸となって展開していきます。

従来の正義対悪という図式でなく、とにかく暗く陰鬱な物語です。アメコミヒーローのアンチテーゼとなっているんですね。好き嫌いが分かれますね。

163分という長さは、ウォッチメン(コメディアン、シルク・スペクター、DR・マンハッタン、オジマンディアス、ナイトオウル、ロールシャッハ)の紹介や、この物語の世界観を理解させるために必要だったと思うのですが、やっぱり長〜い。

 

『アイアンマン2』(2010年/監督:ジョン・ファブロー)

前作のラストでアイアンマンであることを公表したトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)に対して、政府がパワードスーツを没収しようとするんですな。政府としては強力な武器となるんで当然の措置ね。トニーは軍事目的に使われることを嫌い、誰もパワードスーツの開発ができないことを理由に断るのですが、一撃で金属を真っ二つにできる武器を身につけたウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が現れたことから、さあ大変。アイアンマンとなってウィップラッシュを捕まえますが、トニーと敵対する軍事企業のジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)がウィップラッシュを脱獄させます。ハマーはウィップラッシュにパワードスーツを開発させようとしますが、ウィップラッシュの方が一枚上手で……

ストーリー、役者、音楽、CGのどれも悪くなく、新元素によりパワーアップしたリアクターが○から▽になるなど、演出もヒジョ〜にわかりやすく、誰でも楽しめる娯楽作品になっています。アメリカで大ヒットしたのがわかる気がしますね。

ミッキー・ロークのマッチョぶり(天才科学者にとても見えないのが難)にも満足したし、スカーレット・ヨハンソンのアクションにも大満足。今までこれといって印象に残っていなかった彼女ですが、この作品で完全にインプットされましたよ。

 

 

 

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