テレビから映画へ


『遊星王子』

『遊星王子』(1959年・東映/監督:若林栄二郎)

テレビ放送が妨害され、謎の宇宙船から地球飛来を予告する映像が送られてくる。正体は銀星のまぼろし大使(岡譲司)だった。まぼろし大使の目的は真城博士(明石潮)が発明したロケット燃料を奪うことだった。着陸した宇宙船を警官隊が包囲するが、宇宙船の怪光線の前には警官隊は無力だった。しかし、そこへ円盤に乗って現れたのが日本の平和を愛する遊星王子(梅宮辰夫)だった。遊星王子はまぼろし大使を追い払うが、まぼろし大使は真城博士の助手を洗脳してロケット燃料の機密を奪おうとする。真城研究所を襲ったまぼろし大使と遊星王子の死闘の結果……

 

『遊星王子・恐怖の宇宙船』(1959年・東映/監督:若林栄二郎)

世界の一流化学者を銀星の奇巌城に拉致したまぼろし大使は、彼らを通じて地球へ降服を勧告してきた。そして、計画の邪魔になる遊星王子の正体が靴磨きのワクさんと知ったまぼろし大使は、ワクさんを殺そうとする。必死に逃れたワクさんは遊星王子に姿を変えて、科学者救出のためにまぼろし大使を追って銀星へ……

 

テレビドラマ(宣弘社の製作で1958年11月4日〜59年9月4日に日本テレビ系列で放送)の映画化です。1時間前後の上映時間で、2本立ての添物として作られたものです。ちなみに当時の併映作品は、第1部が東千代之介主演の『ふたり若獅子』で、第2部が中村錦之助主演の『独眼流政宗』でした。

テレビ版『遊星王子』は広島では放送されなかった為、私はオンタイムで観ていません。CATVで観た時はつらいものがありましたね。SFXが進歩した時代に初見で観たので、学芸会的扮装をした出演者の真面目な演技とセリフがシュールすぎて思わず笑ってしまいましたよ。子供の頃観ていたら、きっと迫力を感じ、憧れのヒーローになっていたんでしょうけどね。

映画版はテレビ版より映像はスケールアップしています。遊星王子のコスチュームもね。大人も子供も楽しめるように作ったのでしょうが、内容的にはテレビ版と大差ありませんね。当時だったら笑うような内容じゃないのですが、現在ではクスクス笑ってしまいます。

遊星王子は異星人なんですが、普段は日本人青年=ワクさんとして、身寄りのない誠少年や君子ちゃんと暮しているんですな。現在の異星人トミー・リー・ジョーンズは屋台のラーメン屋のオヤジですが、遊星王子は靴磨きね。王子といってもどこかの星の王子でなく、“ハンカチ王子”や“ハニカミ王子”と同じような愛称ですね。きっと地球に来るまで色々な星を旅していたんでしょう。この時は王子でも、梅宮辰夫はその後、“夜の帝王”になりましたねェ。

戦い相手のまぼろし大使は銀星人で、大きな鼻が特長ね。ヘルメットにアンテナのついているコスチュームはアメリカのC級SFに出てくるような感じで満足、満足。銀星の独裁者とのことなんだけど、独裁者なら大使でなく総統か主席じゃないですかね。漢字が読めない総理もいることだし、大使でもいいか。遊星王子に追跡されて、宇宙空間でロケットから煙幕を出して追撃から逃れるなんて、常識では考えられないことをする指揮官ですからねェ。バカバカしさがわかっていながら、真面目に演技している岡譲司って、この手の映画が好きな俳優のようですね。C級映画でも手を抜かない日本のレイ・ミランドだァ。

 

『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(2008年・松竹/監督:八木毅)

小学生の頃、テレビでウルトラマン(ウルトラシリーズ)を観て、ウルトマンの存在を信じていた3人(長野博・つるの剛士・吉岡毅志)が、現実の生活に子供の頃の夢を捨て、平凡な生活を送っていると、人間を絶望に追いこもうとする魔物が怪獣を使って横浜を襲うんですな。

そこへ、地球を守るためにやってきたウルトラマンメビウス(五十嵐隼士)の怪獣と戦う姿を見て、3人がウルトラマンティガ・ウルトラマンダイナ・ウルトラマンガイアに変身します。さらに、横浜で暮らしていたウルトラマン・ウルトラセブン・ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)・ウルトラマンAも甦り、ウルトラ8兄弟が地球を守るわけです。

ウルトラシリーズをしっかり観ていたのは、『ウルトラQ』から『ウルトラセブン』までなんですが、『帰ってきたウルトラマン』と『ウルトラマンA』も何本か観ています。

でもって、この映画には初期のウルトラマン4兄弟が出てくるとあって録画したのですが、ハヤタ隊員を初めとして懐かしい顔がいっぱい出てきて嬉しくなりましたね。内容的には陳腐なストーリーで褒められたものではありませんが、現在50歳前後のウルトラマン第一世代にとっては、懐古趣味を満足させてくれるでしょう。

 

 

 

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