軽妙な犯罪映画


『カレードマン大胆不敵』(1966年/監督:ジャック・スマイト)

世界中の賭博場で使用されているカレードスコープ社のトランプの原版に、自分だけにわかる印をつけた主人公(ウォーレン・ベイティ)が、一目惚れした娘(スザンナ・ヨーク)の父親がスコットランド・ヤードの警部だったため、賭博場で大勝ちしている秘密がバレ、麻薬王の資金を奪うように警部から頼まれ、麻薬王にポーカーの勝負を挑む……

 若き日のウォーレン・ベイティの小粋なサスペンス・アクション映画です。ユーモアとオシャレ感覚に充ちた、このような小品が60年代には結構あったんですよね。

 素晴らしいコメディエンヌぶりを見せたスザンナ・ヨークという女優さんを、私は不覚にも知らなくて、出演作品を調べたら、意外やシリアスな作品ばかりじゃないですか。少々子供っぽく、あどけなさが残った、いたずらっぽい彼女の顔は、軽いコメディ・タッチの作品に似合うと思うのですが、スマイト監督がうまく見つけだしましたね。

 ところで、ジェーン・バーキンが出演していたらしいのですが、どこに出ていたか気づきませんでした。

 

『ホット・ロック』(1971年/監督:ピーター・イェーツ)

刑期を終えて出所したドートマンダー(ロバート・レッドフォード)を迎えたのは義弟のケンプ(ジョージ・シーガル)だった。ケンプは金庫破りの名人で、盗みのプロであるドートマンダーにサハラストーンと呼ばれるダイヤを盗む計画をもちかける。ダイヤの所有を主張する某アフリカ大使から10万ドルの報酬で依頼されたのだ。ドートマンダーは運転手のマーチと爆薬作りのアランを仲間に加え、博物館に盗みに入る。宝石は盗んだものの、ダイヤを持ったアランが捕まってしまう。ドートマンダーはアランを脱獄させるが、隠し場所にはダイヤはなかった。隠し場所を知っていたアランの父・グリーンバーグ(ゼロ・モステル)が盗み出して銀行の貸金庫に預けていたのだ。グリーンバーグはダイヤを自分のものにしようとしており……

次々と見せ場のあるトボけた味わいのあるサスペンス映画です。殺伐とした暗い犯罪映画は好きじゃないのですが、明るくユーモアあふれる犯罪映画は好きですねェ。

 

『オーシャンズ13』(2007年/監督:スティーブン・ソダバーグ)

ラスベガスに建設する巨大ホテルの共同経営を約束していたバンク(アル・パチーノ)に裏切られたルーベン(エリオット・グールド)が心筋梗塞で倒れ危篤状態になる。ルーベンの復讐のためにオーシャン(ジョージ・クルーニー)はラスティ(ブラッド・ピット)やライナス(マット・デイモン)たち仲間を集め、バンクの巨大ホテルを潰すために立ち上がる。しかし、途中で資金不足になり、ベネディクト(アンディ・ガルシア)に援助を頼むが、バンク自慢の宝石を盗むことが条件となる。ライナスがバンクのパートナーであるアビダイル(エレン・バーキン)を誘惑するために近づくが、オーシャンのライバルであるナイトフォックス(ヴァンサン・カッセル)がライナスの行動を見張っていた……

シリーズ3作目で仲間が13人いたかは、数えていないのでわかりません。面白ければ、そんなことは如何でもよいことで、一応満足できる内容です。

お気に入りのエリオット・グールドが味のある演技を見せてくれましたからね。アル・パチーノとアンディ・ガルシアが出演していたので“ゴッド・ファザー”ネタが出てくると思っていたのですが、グールドがちゃんとやってくれましたよ。

 

『トプカピ』(1964年/監督:ジュールス・ダッシン)

女盗賊のエリザベス(メリナ・メルクーリ)は、凄腕の泥棒ウォルターを口説いて、イスタンブールのトプカピ宮殿にあるサルタンの短剣を盗む計画をたてる。二人はセドリック(ロバート・モーレイ)たち特技を持った仲間を集め、ギリシャにやって来る。小悪党のシンプソン(ピーター・ユスチノフ)を使って、盗み道具を隠した自動車をイスタンブールまで運ばせるが、国境の検問で機関銃や手榴弾が隠されているのが発見され、シンプソンは逮捕されてしまう。武器の密輸がテロリストの組織と考えたトルコ国家警察の大佐は、釈放の交換条件としてシンプソンに一味の行動を探るように命じる。イスタンブールについたシンプソンは、仲間のひとりがケガをしたことからエリザベスとウォルターに秘密を打ち明けられ、盗賊一味に加わることになり……

映画館で私がリアルタイムで観た最初の泥棒映画ね。最近の泥棒たち(SFXによって超人的)と違って、生身の面白さがありますよ。小鳥がとまっただけでも警報が鳴る床にある陳列ケースから盗み出すのですが、このアイデアは色々な作品で使われることになりました。

原作はエリック・アンブラーの『真昼の翳』ですが、ユーモアの中にスリル満点で、再見でも初見の時と同じ興奮を味わいましたよ。マノス・ハジダキスの音楽も良く、傑作は旧びませ〜ん。

 

『ザ・エッグ/ロマノフの秘宝を狙え』(2009年/監督:ミミ・レダー)

大泥棒のモーガン・フリーマンが、アントニオ・バンデラスを仲間にして、ロマノフ王朝の秘宝“フェベルジェのイースターエッグ”を盗む泥棒映画です。

フリーマン逮捕に執念をもやす警部ロバート・フォスターの目をかわしながら、ハイテク警備に守られた博物館からどうやって盗むかが見どころね。バンデラスは、フォスターの依頼をうけてマイアミからやってきた刑事だったのですが、さらにドンデン返しがあって、最後まで楽しめる作品になっていました。

バンデラスがフリーマンに好きな映画は『トプカピ』と言ったのは嬉しくなりましたね。『トプカピ』と比べると、泥棒シーンはハイテク対応で今イチ緊迫感がなかったのですが、やたら殺人シーンの多いアクション映画より、私は泥棒映画が好きで〜す。

 

 

トップへ     目次へ