スキー・スケート映画


『白銀は招くよ!』(1959年/監督:ハンス・クエスト)

駐在所の廃止が噂となり、見習い警官のアンダールは愛しあっている旅館の娘ローズルと別れるのが嫌で、食物盗難事件をでっち上げて本部に報告する。本部ではスキーの名手である警官フロリアン(トニー・ザイラー)を村に派遣する。フロリアンはスキーに来た12人の娘と知りあい、リーダーのエファ(マルギット・ニュンケ)に惹かれるが……

トニー・ザイラーは1956年度冬季オリンピックで滑降、回転、大回転の3種目で優勝し、世界的なスポーツヒーローとなりました。ルックスが良かったこともあり、2年後に映画デビューし、これは第3作目です。

トニー・ザイラーがマルギット・ニュンケに恋をし、事件も解決するというコメディタッチの気軽な映画です。チャチャチャのリズムにあわせてスキーの指導をしたり、恋人を追いかけて急斜面を片足だけで滑ったりと、スキーの妙技を色々見せてくれます。おまけに自慢のノドで主題歌もサービス。この軽快な主題歌は、映画公開と共に大ヒットしましたね。

 

『白銀に躍る』(1961年/監督:ゲザ・フォン・ツィフラ)

舞台装置の設計者ハンス(トニー・ザイラー)は、スケート場でフィギュアの練習をしているインゲ(イナ・バウアー)を見て心が惹かれる。ハンスはスケート初心者を装ってインゲにスケートのコーチをしてもらうことに成功する。インゲはミュージカルスターを夢見ており、ハンスは自分が働いている劇場を紹介する。翌日、劇場に行ったインゲは支配人室に通され、いきなり公演の主役に抜擢されるが……

トニー・ザイラーがイナ・バウアーに恋をし、計画したアイスレビューも成功するというコメディータッチの他愛ない物語です。見せ場はトニー・ザイラーのスキーと、イナ・バウアーを中心としたアイスレビューですが、ザイラーは片鱗を見せる程度です。

この映画のことは、荒川選手の“イナバウアー”が最初に話題になった時に知っていて、イナ・バウアーの“イナバウアー”を期待したのですが、ほんの少ししか出てきませんでしたね。それにしてもフィギュアスケートの技術は格段に進歩を遂げていますが、アイスレビューのシーンは技術云々を越えた楽しさがありま〜す。

 

『空から星が降ってくる』(1962年/監督:ゲザ・フォン・ツィフラ)

規定科目の審査に嫌気がさしたアイスフィギュアの選手ヘルガ・ヘルト(イナ・バウアー)は欧州選手権をボイコットして引退してしまう。ヘルガをアイスレビューのスターとして迎えようと、興行師のバルシュは甥のハインツ(トニー・ザイラー)を伴ってヘルガの家を訪ねるがヘルガは不在で母親に断られてしまう。バルシュはデザイナーのヘルガ・ヘルトと契約を結び、資本家のマルコにヘルガが参加する旨を伝える。1週間以内にヘルガと契約することによって、マルコから資金援助を受ける契約になっていたからだ。しかし、マルコがやってきて……

トニー・ザイラーが、興行師の叔父を手伝って、イナ・バウアーをアイスレビューにスカウトする物語で、ザイラーのスキー・シーンもありますが、『白銀に躍る』と同様にイナ・バウアーを中心としたアイスレビューがメインになっています。

バウアーのソロでの見せ場はあまりないのですが、アイスレビューは前作より素晴しいものになっていますね。そこだけ見れば、ハリウッド作品に勝るとも劣らないと思いますよ。

 

『黒い稲妻』(1958年/監督:ハンス・グリム)

セント・フロリアンのゲレンデで働くミヒャエル(トニー・ザイラー)はスキーの名手で、地元の人たちは彼を“黒い稲妻”と呼んでいた。スキー洋品会社の社長令嬢ウシー(ワルトラウト・ハース)はミヒャエルを恋していたが、ミヒャエルはホテルの秘書をしているグレートル(マリア・ペルーシ)を愛していた。セント・フロリアンでスキーの国際大会が開かれることになり、各国の名選手がやってくる。優勝候補のタナー(ディートマール・シェーンヘル)のワックスが盗まれ、ミヒャエルの山小屋から見つかったことから、ミヒャエルが犯人と間違われ……

トニー・ザイラーは1956年のコルティナ・ダンペッツォ冬季オリンピックで、アルペン3種目で金メダルをとったスキー選手で、黒いスキー・ウエアーでジグザグの鋭角滑降する姿から“黒い稲妻”と称せられました。

物語などは如何でもよく、ザイラーのスキーの妙技を楽しむ映画ですね。冒頭の滑降シーンから始まり、バンドネオンを弾きながら大勢の仲間を従えて滑るレビュー・シーン、警官との追いかけシーン、ラストのスキー大会シーンとスキー・ファン伝でなくても楽しめる作品になっていま〜す。

 

 

 

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