アクション映画いろいろ(邦画編)


『虎の子作戦』(1963年・日活/監督:柳瀬観)

ある新興都市の犯罪捜査に行った特命刑事が行方不明となり、一発の旦那(宍戸錠)をリーダーとする5人のハミダシ刑事が招集される。実業家として町では有名な大熊(上田吉二郎)が黒幕と思われたが証拠がない。5人は変装して、大熊の関係先に潜入するが……

大金持ちだけどスリルを楽しむために刑事となった作戦担当の宍戸錠、技術担当のパラボナ(山田吾一)、変装名人の忍術(桂小金治)、格闘名人の六段(垂水吾郎)、プレイボーイのシャネル(小高雄二)の五人と、その上司が殿山泰治で、ヒットラーそっくりの扮装の悪党が上田吉二郎とくれば、完全にコメディ・アクションです。笹森礼子だけがマジに演技して浮いています。

この手のオフザケ映画は好きなので愉しめましたね。脚本部分には問題ないのですが、アクション演出がもたついているのでスラップステッィクの笑いの切れ味が今イチ悪かったです。

柳瀬観という監督を私は知らないのですが、プログラムピクチャーとしては上出来作品ばかりなのに、作品数が少ないのは何故ですかねェ……?

 

『若くて、悪くて、凄いこいつら』(1962年・日活/監督:中平康)

実業界の大立者・佐倉総一郎(清水将夫)とヒョンなことから知り合った、浩(高橋英樹)・新子(和泉雅子)・俊夫(和田浩治)・和正(山内賢)・篤子(清水まゆみ)の5人の若者は、総一郎が所持している極秘メモと死んだと思われていた総一郎の娘・圭子(進千賀子)を巡って、財界のボスや殺し屋(葉山良二)と戦うことになる……

設定が現実離れしたマンガチックな能天気映画です。原作が柴田錬三郎で、現代アクションといっても娯楽時代劇の調子なのでピントはずれになっているんですね。

主演は高橋英樹で、下手な主題歌(作曲は黛敏郎)を聴かせ、下手な演技を見せてくれます。“継続こそ力なり”で、現在では見違えるほど演技が上手くなりましたけどね。

 

『ろくでなし野郎』(1961年・日活/監督:松尾昭典)

教会建設活動をしている友人を訪ねて神父の佐伯権太郎(二谷英明)がパルプ工場建設で賑う町にやってくる。しかし、友人は事故死しており、ホテルに泊まっている謎の男・鶴木(長門裕之)から町の事情を知らされる。そのホテルには兄を捜しにきた黒田マキ(芦川いづみ)も泊っていた。友人の協力者だった井上も、町を牛耳っている軍司(安部徹)に殺され……

“ろくでなし”といっても、宍戸錠でなく、二谷英明ね。ジョーさんとのコンビで、『ろくでなし稼業』、『用心棒稼業』と出演したあと一本立ちした作品です。赤木圭一郎が事故死し、裕次郎が骨折で入院して主演がまわってきたんですな。名づけて、ダンプガイ。

西部劇調の主題歌を日活のお約束(主題歌は主演者が歌う)通り二谷が歌っていますが、お世辞にも上手とはいえません。内容は、ブーム・タウンを舞台にした西部劇タッチで楽しめました。

 

 

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