東亜武侠映画


MUSA−武士−』(2001年/監督:キム・ソンス)

1375年、高麗は明朝と友好関係を築くために使節団を南京に派遣するが、蒙古のスパイとして疑われ流刑される。流刑地への旅の途中で蒙古軍が襲撃してきて、明兵が殺され、彼らは解放される。しかし、故郷に帰るには灼熱の砂漠を越えなければならなかった。オアシスの村に辿り着いた彼らは、蒙古軍が明王の姫(チャン・ツィイー)を捕えていることを知る。使節団のチェ・ジョン将軍(チェ・ジンモ)は姫を救い出し、南京へ戻って使節の役目を果たそうと決意する。死んだ副大使の奴隷だったヨソル(チョン・ウソン)と徴兵部隊の隊長チン・リブ(アン・ソンギ)の活躍で姫を救い出すが、蒙古の大軍が彼らを追ってくる。蒙古軍に町を焼かれた難民を加え、明軍の砦に向かうが、そこも既に廃墟となっていた……

徴兵された兵士たちが、難民たちに故郷の思い出を重ね合わせ、戦って死んでいくところはホロリとさせられたりして、表面的にはアクション満載の東亜武侠映画として楽しめます。だけど、蒙古軍に対するこだわりに、私は現在の日韓関係を感じましたね。明が元を倒すまでは、元寇で日本に攻めてきた兵士の大半が高麗兵であったことでもわかるように、高麗は蒙古の支配を受けていました。ちょうど、太平洋戦争で日本が敗れるまで韓国が日本の植民地であったようにね。

支配している方は、支配されている方の怨みをそれほど感じていないんですよ。蒙古の将軍が、ヨソルや高麗兵を甘くみていたのは、そういうところにあると思います。徴兵部隊は、チェ・ジョン将軍と比べて蒙古に対してそれほどこだわりを持っていなかったのですが、戦う時は国民一丸となって戦うというメッセージになっているんですね。

韓国の国民感情を、日本の為政者はもっと知るべきです。そういえば、蒙古斑という赤ん坊のお尻に出る青痣のようなものは、日本人とモンゴル人の特有なものなんだよなァ。

 

『グリーン・デスティニー』(2000年/監督:アン・リー)

リー・ムーバイ(チョウ・ユンファ)は、中国全土に名の知れた剣の名手だったが、戦いの日々を清算するために、女弟子のショーリン(ミシェル・ヨー)に頼んで愛刀“グリーン・デスティニー”を師の友人だったティエ氏に預ける。しかし、愛刀は謎の黒覆面に奪われる。その黒覆面は、リー・ムーバイの師匠とショーリンの夫を殺した碧眼狐の弟子で……

 ワイヤー・アクションをたっぷり楽しみました。カンフー式チャンバラもね。

女性が剣士の道を目指すというのが、日本の時代劇の感覚からすると感情移入ができず、内容的にはピンときませんでした。しかし、古風なシガラミがもたらす悲劇を、ヨーヨー・マが物悲しく奏で、音楽的には満足、満足です。

 

『風雲ストームライダーズ』(1998年/監督:アンドリュー・ラウ)

泥菩薩の予言により、風(イーキン・チェン)と雲(アーロン・クォック)という名の子どもを弟子として育てた雄覇(千葉真一)は、天下一の武術家の地位を得る。しかし、その予言は彼の前半生のもので、後半生の予言は、育てた二人によって自分が倒されるというものだった。雄覇は、二人を戦わせるために策略をめぐらすが、自分たちの親が雄覇によって殺されたことを知った二人は……

題名の“風雲”って、人の名前だったんですね。(笑)

原作はマンガで、内容もマンガそのもの。CGとワイヤーで超現実的なアクションを見せてくれます。

好みの問題でしょうが、私としてはジェット・リーのような生身のアクションが好きだなァ。

 だけど、千葉真一の悪役ぶりは愉しかったですよ。ただ、彼独特の笑い声が吹替えだと今イチ。

 

『決戦・紫禁城』(2000年/監督:アンドリュー・ラウ)

皇帝暗殺を背景に、二人の剣豪が紫禁城で雌雄を決する……

これまた、ワイヤーによるチャンバラ・アクション。内容もひどい。

役者の演技が、てんでバラバタで、シリアスな物語性とおフザケが全然マッチしていないんですよ。皇帝密使009って、何なんだ。ラウ監督にユーモアのセンスはありませんね。

ところで、若い剣豪になっていたイーキン・チェンは、香港での人気はバツグンらしいですね。ハリウッドに進出するのも時間の問題と思っていたのですが……

 

『ヘブン・アンド・アース』(2003年/監督:フー・ピン)

13歳の時に遣唐使として唐にやってきた来栖(中井貴一)は、25年振りに故郷へ帰ることになる。司令官の娘・文殊(ヴィッキー・チャオ)を護衛して長安に向かう来栖に、最後の仕事として皇帝よりの命令書が届く。それは、命令に背いて敵対国・突厥の婦女子を逃がして逃亡している李(チアン・ウェン)の殺害だった。李は天竺から長安に運ばれてくる経典の護衛をしていた。来栖は李の一行に加わるが、突厥を仲間にしている馬賊の安(ワン・シュエチー)に襲撃され……

内容は今イチの感ですが、戦闘シーンは見応えがあります。CGを使わない生の迫力があります。逆にCGによる仏舎利が奇跡を起こすシーンが安っぽくなって、シラケるんですね。

最近、遣唐使・井の墓が見つかったように、この物語の主人公のような若くして唐に渡り、中国の土になった遣唐使が何人かいたんでしょうね。タイミング的にはピッタリの素材だったのに、話題にならなかったのは残念で〜す。

 

 

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