ミリタリー・アクション


『深く静かに潜航せよ』(1958年/監督:ロバート・ワイズ)

太平洋戦争中、豊後水道で日本の駆逐艦“秋風”に自分の潜水艦をやられたリチャードソン中佐(クラーク・ゲーブル)は、責任をとって待命させられていたが、再び潜水艦の指揮をとることになる。彼は駆逐艦“秋風”へのリベンジを考えており、哨戒海域へ向かう途中での訓練は激しさを増していった。副長のジム(バート・ランカスター)は、中佐の目的を薄々感じはじめていたが……

潜水艦と駆逐艦の虚々実々の戦いは、見ていてハラハラ、ドキドキ。さすがロバート・ワイズですね。トリック戦法が出てきたりして、これは戦争映画というよりサスペンス映画ですよ。メッセージ色の強い戦争映画は嫌いなのですが、アクション映画として気楽に観ることのできる戦争映画は嫌いじゃありません。悪役が日本であってもね。

 

『亡国のイージス』(2005年/監督:阪本順治)

訓練中のイージス艦が現状の自衛隊の体制に疑問を持つ副館長の宮津(寺尾聡)と将校たち、及び彼らを利用するヨンファ(中井貴一)率いる某国のテロリストに乗っ取られる。下級隊員は強制退去させられるが、先任伍長の仙石(真田広之)は、テロリストに捕まっている部下の如月(勝地涼)を救出するために艦に引き返す。イージス艦のミサイルの弾頭には化学兵器が搭載され、東京が標的となっていた。彼らは、政府に防衛庁の秘密機関DAISの存在とアメリカとの密約を国民に公開するように要求するが……

細部には問題があっても全体的には面白い作品でした。邦画特有の人情への執着がなく、サスペンスが途切れなかったのが良かったですね。ちょっと太目の真田広之が中年パワーを炸裂させたアクションを見せてくれて嬉しくなります。

それにしても、イージス艦というのは、この映画のように無敵な存在なのですかね。アメリカと違って国土の狭い日本なら、国全体をイージス艦のようにしたミサイル防衛システムが可能な気がしますね。

 

『ローレライ』(2005年・東宝/監督:樋口真嗣)

太平洋戦争末期、絹見(役所広司)は潜水艦・伊507の艦長として浅倉大佐(堤真一)から特殊任務を命じられる。それは、テニアン基地から飛び立つ原爆搭載機の阻止だった。伊507には“ローレライ”と呼ばれる特殊兵器が装備されており……

“ローレライ”がナチスによって研究開発された超能力少女(香椎由宇)とは、マンガが原作かと思いましたよ。妻夫木聡が操縦する特殊潜航艇に乗って、高性能レーダーの役割をするんですな。いわば人間コウモリです。敵艦からの魚雷や爆雷はスイスイかわし、発射する魚雷は百発百中。軍上層部に恨みを持っていても東京都民を犠牲にしようと考えている軍人なんていないと思いますよ。あまりにも現実味のない話なのでシラけました。フィクションでも、ありそうな話でないとねェ。

50年前の『深く静かに潜航せよ』と比較するわけではありませんが、CGが進歩しても映画が面白くなるわけではありませ〜ん。

 

 

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