EP映画


『監獄ロック』(1957年/監督:リチャード・ソープ)

傷害致死罪で刑務所入りしたビンス(エルヴィス・プレスリー)は、同囚のハンク(ミッキー・ショーネシー)から音楽の手ほどきを受ける。出所したビンスは歌手になるべく、飛び入りで酒場の舞台に立つが客の反応は冷ややかだった。そんな彼の才能を見出したのがレコード会社で働いているペギー(ジュディ・タイラー)だった……

プレスリーが地のままで演っているような映画です。この頃のプレスリーって、本当にセクシーですよね。純真さと傲慢さが同居している不思議な魅力がプレスリーにはあります。

 

 

『恋のKOパンチ』(1962年/監督:フィル・カールスン)

陸軍を除隊したウォルター(エルビス・プレスリー)は、故郷のクリーム谷でボクサーになる。自慢のパンチで連戦連勝。マネージャーは町のボスに脅されているホテルのオーナーで、八百長試合を強要するが……

歌って恋をして、やたら強くて、片っ端から相手をKOしていくというプレスリーのワンマン映画です。これがEP映画の特徴なんですけどね。

チャールズ・ブロンソンの輸入DVDに収録されていた予告篇で、ブロンソンが出演しているのは知っていましたが、おナカのあたりがダブつき気味のプレスリーより、トレーナー役のブロンソンの方がはるかに強そうでしたよ。

 

『ラスベガス万才』(1963年/監督:ジョージ・シドニー)

カー・レーサーのラッキー(エルビス・プレスリー)は、ラスベガスで開催されるグランプリ・レースの優勝を狙っていたが、エンジンを買う金が足らず、カジノで必要資金を稼ぐ。その帰途、イタリアのスピード王マンチーニ伯爵(チェーザレ・ダノーヴァ)に会い、互いにライバル意識を燃やす。そこに現われたのがラスティ(アン・マーグレット)で、二人は彼女の魅力にたちまち惚れて……

プレスリーの音楽映画の最高作!(ちなみに、二番は『ブルー・ハワイ』)

プレスリーは主題歌「ラスベガス万才」の他に、「テキサスの黄色いバラ」「サンタルチア」など9曲歌っていますが、体育館で見せた踊りと「アプリシエーション」を歌うアン・マーグレットの方が抜群にいいです。まさに旬の味でしたね。プレスリーがカスんでいましたよ。プレスリーとしては普通のできなんですが、イキのいいマーグレットの前では引き立て役にすぎませんでした。プレスリーがこれ以後、旬の女優と共演しなくなったのがわかるような気がします。

マーグレットもこの頃のように、歌って踊っているうちは良かったのですが、演技派を目指すようになってダメになりましたねェ。

プレスリーとマーグレットが休日にウエスタン・スタイルで遊んでいたけど、ラスベガスの近くに、あんなテー マ・パークがあったっけ?

 

『ハレム万才』(1965年/監督:ジーン・ネルソン)

映画スターで歌手のジョニー(エルヴィス・プレスリー)は、中近東での試写会で、ある王国に招待されるが睡眠薬を飲まされて暗殺団に拉致される。暗殺団は国王暗殺を計画しており、ジョニーは隙をみて脱出に成功する。逃げる途中で、国王の娘シャリマール姫(メリー・アン・モブリー)と知り合い互いに心惹かれあう。ジョニーは盗賊のザッシャと舞踊団に紛れ込むが、暗殺団に見つかり、舞踊団の子供たちが人質にとられる。ジョニーは、国王暗殺に加わる破目となり……

19本目のEP映画。セットだけで18日間で撮り終えたというお手軽映画です。自らを地でいくような役柄で、プレスリー・ファン向けのお遊び作品ですね。

演出的にも演技的にも見るべきものはありません。相手女優も格下すぎて、逆にプレスリーが引き立たなくなっていますね。『ラスベガス万才』で共演したアン・マーグレットに喰われたため、以後の作品で相手女優のレベルを下げたことが、プレスリーにとってマイナスになったような気がします。

 

『フランキーandジョニー』(1966年/監督:フレッド・デ・コルドバ)

フランキー(ドナ・ダグラス)とジョニー(エルビス・プレスリー)はショーボートの芸人で恋仲だが、ジョニーはいつもギャンブルで負け、借金づけの生活をしていた。金髪の美女が幸運を運んでくるというジプシーの占いを信じて、ショーボートにやってきた金髪美女に近づくが……

アメリカに古くから伝わる民謡「フランキーとジョニー」の恋物語を劇中劇として折り込み、古き佳き時代のショーボート生活を描いています。私生活と劇中劇の二重構造を持っているのが、この作品の特長ですね。

これと同じような作品に『キス・ミー・ケイト』がありました。シェークスピアの『じゃじゃ馬ならし』をミュージカル化して上演する劇団の物語で、ヒーローとヒロインは私生活でも『じゃじゃ馬ならし』のストーリーを地でいくカップルでした。

劇中、実弾の入った拳銃でプレスリーが射たれるのですが、首からさげたペンダントに弾が当って命が助かるというのはよくあるパターンで、すぐに『荒野の1ドル銀貨』が浮かんできましたよ。

 

『ダブル・トラブル』(1967年/監督:ノーマン・タウログ)

英国公演中の人気歌手のガイ(エルヴィス・プレスリー)は、彼のファンであるジル(アネット・デイ)に恋をして結婚するつもりだったが、ジルが17歳と知って躊躇する。ガイは、ジルと別れてベルギー公演に旅立つが、ジルが追いかけてくる……

日本未公開のEP映画。ジルの遺産を狙っている叔父がさしむけた殺し屋や、密輸ダイヤをガイのトランクに隠したマヌケな悪党コンビがドタバタする、あまり笑えないコメディーです。

プレスリーが歌う曲目は多いのですが、彼の歌だけ聴いていてもねェ。相手役のアネット・デイ(この作品でデビュー)に魅力がなく、内容的にも見るべき所はありません。アネット・デイという女優さん、その後の作品で見たことがないのですが、如何しちゃったんでしょうね。

 

 

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