西洋チャンバラ


海賊キッド(1945年/監督:ローランド・V・リー)

マダガスカルの沖で英国船を襲って、乗組員を殺し財宝を奪った海賊キッド(チャールズ・ロートン)は、貴族になりすましてイギリス国王の前に現れる。今度はインドから帰国する英国大使の船に狙いを定め、大使の船の護衛を引受けるためだった。国王はキッドに護衛船の出航を命じ、キッドは囚人の中から乗組員を選ぶ。そして選ばれた囚人の中に、キッドに父を殺された貴族の息子アダム(ランドルフ・スコット)がいた……

海洋活劇を期待したのですが、派手なアクション・シーンはありません。チャールズ・ロートンではアクションはムリですからね。策謀家ぶりを臭〜い大芝居で見せてくれます。

ランドルフ・スコットはロートンの部下とのチャンバラ・シーンがあるのですが、その貧弱なこと。上体だけで腰から下が動いてないんですよ。スコットは、剣ではなくて拳銃ですね。

大使の娘になったバーバラ・ブリトンが花を添えていますが、見どころのない海賊映画でした。怒りの大放屁チャブ台返し!

 

シャンハイ・ナイト(2003年/監督:デビッド・ドブキン)

アメリカ西部で保安官をしているウェン(ジャッキー・チェン)に、中国にいる妹リン(ファン・ウォン)から父親が英国人のラスボーン(アイダン・ギレン)に殺され、中国皇帝の証“龍王の玉”を盗まれたという手紙がくる。ウェンは預けている金をニューヨークにいるロイ(オーウェン・ウィルソン)から受取り、ロンドンに行くつもりだったが、ロイは一文無しになっていた。ウェンとロイは着の身、着のままロンドンにやってくるが……

『シャンハイ・ヌーン』の続編で、今度は英国王室一家暗殺の陰謀に巻き込まれます。コナン・ドイル、チャーリー・チャップリン、切り裂きジャックが登場して、わかりやすいパロディ・ギャグが色々でてきます。この辺の作り方は、前作『シャンハイ・ヌーン』と同じですね。

悪党のラスボーン卿は、『シャンハイ・ヌーン』の悪党保安官ヴァン・クリーフが西部劇の悪役でならしたリー・ヴァン・クリーフからきていたのと同じように、西洋チャンバラの有名な悪役バジル・ラスボーンからきています。ラストの対決でチャンバラにおいて圧倒的な強さを見せたのは、バジル・ラスボーンに敬意を表したからでしょう。バジル・ラスボーンの剣技は素晴らしかったですからね。といっても、最近の若い人は知らないでしょうが。

ジャッキー・チェンも齢のせいか技のキレが鈍くなっており、ドニー・イェンとのカンフー対決はドニーに押されっぱなしでした。それにしても、スタントなしのジャッキーのアクションは素晴らしいですよ。

 

ハイランダー3 超戦士大決戦(1994年/監督:アンディ・モラハン)

パート3ですが、時代設定はパート1とパート2の間にあたります。

首をはねられない限り、不老不死でいられるハイランダーのマクラウド(クリストファー・ランバート)を倒し、世界最強の支配者になることをもくろむケイン(マリオ・バン・ピープルズ)は、戦国時代の日本での闘いで、霊山の洞窟に封じ込められてしまう。しかし、400年後、産業開発が洞窟を崩し、ケインはよみがえる。ハイランダー最後のひとりの座を巡ってマクラウドとケインの壮絶な闘いが繰り広げられる……

日本刀を使ってのチャンバラですが、外人特有の腰高な立回りは、如何ともしがたいで〜す。

それと、日本人らしき人物が大勢出てきます(日本が舞台なのだから当り前)が、まともな日本語になっていません。相変わらず日本人魔術師といったら、マコが出演していますね。日本趣味を盛り込むのはいいですが、表面をなぞっているだけでは、やはりB級映画だァ。

 

13ウォーリアーズ(1999年/監督:ジョン・マクティアナン)

北方の未開地(バイキングの故郷ノルマンを感じさせる)の大使となって赴いたアントニオ・バンデラスが、13人目の戦士となって、霧とともに出現する魔物と戦う物語。

この手の西洋チャンバラは好きなので退屈はしませんでしたが、内容は今イチ。

魔物の正体が、自ら熊の化身と信じている野蛮人らしいのだが、判然としません。酋長を倒すと、魔物の群れが退却するなんて、昔の西部劇映画に出てくるインディアンと同じだよ。西部劇のスクリーン登場は期待できないけど、西洋チャンバラは『グラディエーター』がアカデミー賞を獲ったこともあり、今後増えるかも……。

大使の従者役でオマー・シャリフが出演していましたが、目立たなかったなァ。『ゲバラ』(1969年)あたりまでは、ビッグネームだったんだけどねェ。今では忘れられた存在ですね。

 

シラノ・ド・ベルジュラック(1990年/監督:ジャン・ポール・ラブノー)

17世紀中葉のフランス。権力と虚栄を憎む青年隊の騎士シラノ・ド・ベルジュラック(ジェラール・ドバルデュー)は大きな鼻のため容貌は悪かったが、文武両道の天才だった。彼は従妹のロクサーヌ(アンヌ・ブロシェ)を愛していたが、その容貌を恥じて打ち明けることができなかった。同じ隊のクリスチャンもロクサーヌを愛しており、彼女もクリスチャンに気があるようで、シラノは計らずも二人の恋のとりもちをする羽目になる。スペインとの間に戦争が始まり、シラノとクリスチャンは戦場へ……

フランス映画史上最高の製作費で映画化しただけあって、17世紀の雰囲気を伝えるリアルな衣装とセットで厚みのある作品となっていました。

ジェラール・ドバルデューは流石に巧いですね。アンヌ・ブロシェも清楚で良し。

原作はエドモン・ロスタンの戯曲で、日本でも新国劇が『白野弁十郎』の題名で翻案しています。島田正吾の一人芝居の名演技もあって、本場パリでも評判となりました。でもって、『白野弁十郎』を映画化したのが、三船敏郎の『或る剣豪の生涯』(1959年・東宝/監督:稲垣浩)でした。

シラノ・ド・ベルジュラックって、実在した人物なんだよなァ。

 

 

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