西部劇を彩る女優たち


西部劇は男の世界で、出演する女優は添物的存在なのですが、強烈な印象を残した女優もたくさんいます。そうした女優を私の独断と偏見で紹介していきたいと思います。

 

ヴァージニア・メイヨ(Virginia Mayo)

『見知らぬ渡り者』より

1922年11月30日、ミズーリ州セントルイスの生まれ、本名ヴァージニア・ジョーンズ。

ブロードウェーのコーラスガールから、その魅力をサミュエル・ゴールドウィンに認められ、ダニー・ケイの恋人役として売り出しました。朝日新聞の訃報記事に掲載された彼女の代表作は、『我等の生涯の最良の年』・『虹を摑む男』といった1940年代のMGM時代のものばかりでしたね。

確かに、脚線美と匂うようなセクシームードは捨てがたいですが、私としてはワーナーに移って西部劇に出演している彼女の方に思い入れがあります。西部劇においても独特のセクシームードを漂わせていました。『大荒原』では魅力的な歌声(挿入歌「I Leaned On A Man」)を聞かせてくれます。

でもって、私の一番のお薦めは『死の谷』ですね。孤独な無法者を愛し、自ら求めて死を選ぶ女。一見浮気女のように見えても、心底惚れた男のためには愛を貫き通す女。これぞ私にとって理想の女性でした。蛇足ですが、彼女はハリウッド女優にしては離婚経験がないんですよ。

<作 品>

49年『死の谷』、51年『死の砂塵』、52年『八人の男を殺した女』(別題:血ぬられし欲情)、53年『地獄の狼』、56年『硝煙』・『誇り高き男』、57年『大荒原』・『見知らぬ渡り者』、58年『死の砦』、59年『決闘ウエストバウンド』、65年『西部の愚連隊』、67年『ユタ砦』

 

クレア・トレバーClaire Trevor

クレア・トレバーといえば、『駅馬車』のダラス役が真っ先に思い出されますね。鉄火肌の酒場女がよく似合っていましたよ。それは典型的な“グッド・バッドガール”でした。“グッド・バッドガール”とは、西部劇の重要なキャラクターでして、「妖婦の魅惑的な性質と、やさしい女の誠実とが一つの瓶詰めになって」いる“みかけは悪いが、シンはいい女”なんですよ。本人はダラス役を嫌がっていたそうですが、“姉御肌”は地だったそうです。

駅馬車で共演したジョン・ウェインとは、その後、『アリゲニー高原の暴動』と『暗黒の命令』でも共演しています。それにしても、最近悪女は増えたけど、ダラスのような女性はいなくなりましたねェ。

<作 品>

33年『断崖の砲火』、34年『野に咲く金色の花』、39年『駅馬車』・『アリゲニー高原の暴動』、40年『暗黒の命令』、41年『掠奪の町』・『無法街』、43年『無頼漢』、51年『荒野の三悪人』、 55年『星のない男』

 

ジョーン・ドルー(Joanne Dru)

1923年1月31日、バージニア州ローガン生まれ。『赤い河』でモンゴメリー・クリフトとジョン・ウェインの大格闘を、拳銃をブッ放して止めた負けん気の強い烈しい気性のヒロインが強く印象に残っています。『黄色いリボン』で見せたさわやかな印象も忘れがたいですが、顔だちからして本質的には『赤い河』のヒロイン像ですね。

『赤い河』で共演したジョン・アイアランドと、前夫ディック・ヘイムズとの間にもうけた三児を連れて再婚。アイアランドとは、その後、『復讐の谷』、『殺し屋家業』の西部劇共演作があります。

<作 品>

48年『赤い河』、49年『黄色いリボン』、50年『幌馬車』、51年『復讐の谷』、53年『殺し屋家業』、54年『レッド・リバー』、58年『開拓者の血』

 

 

 

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