ホームズ映画


『シャーロック・ホームズ』(2009年/監督:ガイ・リッチー)

平和孝氏の資料によると、最初のホームズ映画は1900年に製作されたと云われる上映時間35秒の覗き穴式映画『Sherlock Holmes Baffled』とのことで、映画の誕生と同時期なんですね。わずか35秒なので筋らしい筋はないようで、劇映画としては1905年の『The Adventure of Sherlock Holmes』になるようです。誘拐された女性をホームズが救う8分の短編で、ホームズを演じたのはモーリス・コステロという役者さん。以来、日本ではあまり公開されませんでしたが、欧米ではホームズ映画が数多く作られ、数多くの俳優がホームズを演じています。

でもって、この『シャーロック・ホームズ』ですが、ロバート・ダウニー・ジュニアがホームズを演じています。これまでのホームズとはイメージのギャップが大きかったですね。テレビシリーズ『シャーロック・ホームズの冒険』でイメージを固定化したジェレミー・ブレッットと大きくかけ離れていましたからね。

ロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウ

内容もオーソドックスな推理物でなく、冒険アクションといった感じです。女性誘拐連続殺人犯のブラックウッド卿(マーク・ストロング)を逮捕する冒頭シーンからアクション満開。絞死刑になったブラックウッドが墓場から蘇り、またしても殺人事件が発生します。ブラックウッドを追って、ブラックウッドの手下たちとの大格闘、ワトソン(ジュード・ロウ)も拳銃を撃ちまくり、推理の手助けでなくアクションで手助けします。

ブラックウッドは黒魔術の力とみせて、新兵器で議会を乗っ取ろうとしているんですな。新兵器の秘密を探るために、モリアティに命じられて近づいてきたアイリーン(レイチェル・マクアダムス)にホームズが出し抜かれるのは少し情けないですが、ホームズも生身の男ということですかね。ブラックウッドを倒して新兵器は回収しますが、重要部品をモリアティに奪われます。本作では姿を見せなかったモリアティですが、続編(2011年に全米公開予定)で登場するのでしょう。

絞死刑のトリックなどホームズ物としてはウ〜ンですが、映画的面白さは色々あって楽しめました。ハードボイルド・ホームズなのだよ。

 

『シャーロック・ホームズの冒険』(1970年/監督:ビリー・ワイルダー)

左:コリン・ブレークリー

右:ロバート・スティーブンス

辻馬車がテムズ河で溺れていたという美女(ジュヌビエーブ・パージュ)を、ホームズ(ロバート・スティーブンス)とワトソン(コリン・ブレークリー)の家に運び込んできます。彼女が221Bと書き込まれた荷物預り証を持っていたからなんです。彼女は行方不明になった夫を捜しにロンドンに来て、何者かに襲われたとのこと。ホームズは事件に興味を持ち、活動を開始するんですな。次々と手がかりをたどっていくうちに、兄のマイクロフト(クリストファー・リー)がホームズに事件から手を引くように忠告します。事件の背景には政府の新兵器開発計画があり、ホームズは事件を解決するのですが……

冒頭で、死後50年開封禁止となっていたワトソン博士の遺品から未発表のホームズの冒険談が発見され、この物語が始まります。ワイルダーとI・A・L・ダイアモンドのオリジナル脚本はドイルの雰囲気をこわすことなく、ホームズの私生活を再現していますよ。ワイルダーは洒落たコメディで有名ですが、ユーモア満点にサスペンスを盛り上げています。ネス湖の怪獣とその正体もわかるしね。主演のロバート・スティーブンスとコリン・ブレークリーが地味なのが難点ですが、当初はピーター・オトゥールとピーター・セラーズで企画されていたとのこと。両ピーターで観たかったですね。

音楽はミクロス・ローザ。

 

『迷探偵シャーロック・ホームズ/最後の冒険』(1988年/監督:トム・エバーハード)

偽札を発行して英国経済を混乱させようとするモリアティ教授(ポール・フリーマン)の陰謀を、ホームズ(マイケル・ケイン)とワトソン(ベン・キングスレー)が防ぐ物語ですが、ワトソンが名探偵でホームズは世間を欺くために使っていた役者という設定が面白かったです。

演出面は如何ってことはないのですが、二人(マイケル・ケインとベン・キングスレー)の演技が抜群で、上出来のパロディ映画になっていましたよ。

画像は、マイケル・ケイン(左)とベン・キングスレー(右)

 

 

 

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