ホラー西部劇


『ジェシー・ジェームズとフランケンシュタインの娘』(1965年/監督:ウィリアム・ボーダイン)

フランケンシュタインの孫娘が、西部にやってきて祖父の残した人造人間の実験を続けているんですな。そこへジェシー・ジェームズ(ジョン・ラプトン)が負傷した相棒の治療にやってくるんですが、プロレスラーのような頑丈な身体は実験に最適ということで相棒をモンスターにしてしまうんですよ。

ジェシーに恋した孫娘はジェシーに振られ、その腹いせにモンスターを使ってジェシーを殺そうとする陳腐な西部劇です。最低西部劇にノミネートされているのも無理はありません。

主演のジョン・ラプトンを初めとして、60年代のテレビ西部劇でよくお目にかかる傍役連中が出演していま〜す。

 

『ブラッドレインU』(2007年/監督:ウーヴェ・ボル)

吸血鬼と人間の混血娘レイン(ナターシャ・マルテ)がデリバランスという西部の町にやってくるんですな。そこはビリー・ザ・キッド(ザック・ウォード)を首領とする吸血鬼集団が支配していて、パット・ギャレット(マイケル・パレ)とレインが吸血鬼退治するゲテモノ西部劇です。吸血鬼が出てくる有名?な西部劇として『ビリー・ザ・キッド対ドラキュラ』があるんですが、今度のキッドは吸血鬼ね。

監督はマカロニウエスタンがお好きなようで、マカロニ的テーマ曲に乗って主人公が現れ、スタイルもマカロニ的です。内容がオソマツなのもマカロニ的です。この手の映画は嫌いじゃないので、私としては楽しめましたけどね。

ラストで町を去るレインにパット・ギャレットが行き先を尋ねるんですが、吸血鬼クラントン一家が暴れまわっているトゥームストンだってさ。次はワイアット・アープと吸血鬼退治だァ。

 

『キリング・ボックス』(1993年/監督:ジョージ・ヒッケンルーパー)

南北戦争のさなか、カタムクリークで南軍のアラバマ51連隊が全滅する。1年後、同じ場所で北軍の小隊が惨殺される。現場にアラバマ51連隊の紋章のついたバックルが残されていたことから、ハーリング(エイドリアン・パスダー)はハワース将軍(マーティン・シーン)に調査を命じられる。ハーリングは、アラバマ51連隊の唯一の生き残りであり彼の旧友でもあるストレイン(コービン・バーンセン)と、惨殺を目撃した黒人奴隷レベッカ(シンダ・ウィリアムス)を伴って旅立つが……

閉じ込められていた悪霊が死んだアラバマ51連隊の副官に乗り移り、死者を甦らせて人間に復讐を開始するんですな。この悪霊というのが、アフリカから奴隷商人に乗り移ってやってきたもので、レベッカの先祖がカタムクリークの洞窟に封じ込めたとのこと。砲撃で出口が開いたんですね。レベッカは喋ることができませんが、テレパシーで悪霊たちの弱点をストレインに伝えます。日光、銀、清水が弱点なんて、バンパイアじゃないか。でもって、銀で作った弾丸と銃剣で悪霊退治をするのです。恐怖感があまりなく、スプラッターも中途半端な退屈なホラー西部劇です。

ちなみに、“キリング・ボックス”とは、四方を敵に囲まれ全滅になる状態とのこと。それと蛇足ですが、エイドリアン・パスダーは『HEROES』のネイサンだと気づきました。

 

『ゴーストライダーズ』(1987年/監督:アラン・L・スチュアート)

サットン牧師に処刑された西部の無法者クレモンツが、100年後に自分たちを殺した子孫に復讐するために、仲間をひきつれて蘇ります。西部史の教授であるジム・サットン(ビル・ショー)は不吉な予兆を感じ、息子のハンプトン(ジム・ピーターズ)に危険を知らせます。ハンプトンと教授の教え子コリー(リッキー・ロング)とパム(キャリ・パウエル)、それにコリーの仕事仲間トミーが教授の家を訪ねますが、既に釣り人二人が彼らに殺され、トミーも殺されます。ハンプトンが所持していた拳銃で無法者を射っても、すぐに生きかえり……

撃っても、撃っても死なない相手と、どう戦うかというところにスリルとサスペンスが生まれるのですが、演出がドヘタなので、恐怖も迫力も感じません。蜘蛛が巣にかかった虫を殺す、といったような思わせぶりな意味にないシーンが多く、ダラダラしていて退屈なだけなんです。100年前から家に伝わる旧式銃でクレモンツを撃ったら、全員消えてなくなりエンド。はっきり言って、メチャクチャつまんない映画で〜す。

 

『ゴーストタウン』(1988年/監督:リチャード・ガーバナー)

砂漠で行方不明となったケイト(キャサリン・ヒックランド)を捜索にきた保安官のラングレイ(フランク・ラッツ)は、西部開拓時代のゴーストタウンに迷い込む。町は白骨死体がゴロゴロしており、住民たちの亡霊が現れる。娼婦の亡霊とセックスしたラングレイは、無法者のデブリンが町の保安官ハーパーを殺し、ゴーストタウンとなった現在も支配し続けていることを知る。ケイトはデブリンの愛人だった女と瓜二つで、デブリンに拉致されたのだった。ラングレイはケイトを救出し、無法者たちと戦うが……

いくら撃っても殺すことができないという悪霊と、どう戦うかが当然見どころになっています。子分たちは殺された保安官の怨みのこもった拳銃で倒すことができるのですが、ボスだけは倒せません。でもって、どうやって倒したかというと、保安官が付けていたバッチ(銀の星)を手裏剣のように投げつけ、見事眉間に命中。ボスは灰となって崩れさりました。星空の用心棒じゃないか。

ボスの顔に弾丸が頬を貫通した時の傷痕があるのですが、不気味というより笑えるメーキャップでしたよ。カラスや蛇などを配置し、SFXもそれなりに工夫して、凡作ですが観るに耐える作品になっていま〜す。

 

 

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