シンギングカウボーイ


ロイ・ロジャース

『ソング・オブ・テキサス』(1943年/監督:ジョゼフ・ケーン)

ロデオチャンピオンだったサム・ベネットが寄贈した小児病院での子供たちの慰労を終えてロデオショーに帰ってきたロイ・ロジャースは、落ちぶれたサムに出会う。チャックワゴン競走の相手がサムだった。サムの乗る馬車は興行主カルバートの手入れが悪く、レース途中で事故をおこす。ロイはカルバートの悪どさに嫌気がさし、ロデオショーを辞め、仲間と牧場で暮らすことにする。サムの娘からの手紙を見たロイは、サムを牧場に誘い、娘のために表面上はサムを牧場の共同経営者にする。サムの娘スー(シェイラ・ライアン)は父が共同経営者だと信じ込み、度重なるカルバートの牧場への嫌がらせから、牧場の権利をカルバートに売ってしまう。ロイは権利を取り戻すために、カルバートが提案したチャックワゴン競走に出場するが……

4頭の馬がひく幌馬車(チャックワゴン)レースというのが珍しかったですね。ラストの競走シーンは『ベン・ハー』みたい。ロイはザ・サンズ・オブ・パイオニアーズをバックに自慢の喉を聴かせ、愛馬トリッガーと颯爽とした乗馬シーンを見せてくれます。ロイが格好いいので〜す。

 

『進め駅伝ライダー』(1939年/監督:ジョゼフ・ケーン)

ポニー・エキスプレス・ライダーのロイ・ロジャヤースが、インディアンの襲撃をかわしてセント・ジョンの町の事務所に郵便物を届けて外に出てみると、駅馬車が暴走していた。愛馬トリッガーに跨り、駅馬車を止めて乗客のアン(メアリー・ハート)を無事救出。ロイはアンに惹かれるが、アンの兄ブレットは新聞記者だが南軍のスパイだった。ロイを買収して北軍の郵便物をすりかえようとするが正義感の強いロイには通用しなかった。ブレットの上司ランターは私欲のために、ポニー・エキスプレスの給料を奪った無法者のジョンソン一味を使って、北軍の軍資金を奪おうとする。ロイが軍資金の銀行引換証を運ぶことになるが……

アクション中心の作品で、ロイは2曲しか歌っていません。時代設定もまともです。スピード感もあり、楽しめるB西部劇で〜す。

 

『ジェシー・ジェイムズ時代』(1939年/監督:ジョゼフ・ケーン)

銀行組合に雇われたロイ・ロジャースは、ジェシー・ジェイムズ兄弟の捜査にミズーリにやってくる。ジェシーが襲撃したというワイアット銀行の預金被害者ウィティカー(ジョージ・ギャビー・ヘイズ)とロイは親しくなり、ウィティカーの孫娘メリーがジェシーの顔を知っていたことから二人は協力してジェシーの行方を捜すことになる。鉄道警察のウォーシントンはジェシーにかかった賞金を狙って効をあせり、ジェシーの母の家を焼いてしまう。怒ったジェシーは銀行襲撃を計画するが、メリーがジェシーを見つけ、ロイが未然に防ぐ。傷を負ったジェシーをロイは助け、ジェシーと話すうちにワイアット銀行襲撃がジェシーでなくワイアットの犯行と気づく。ロイはワイアットを逮捕するために……

ジェシーの母親の家が焼かれ、ジェシーはロイの仕業と誤解するのですが、ロイがジェシーを助けたことから友情が芽生えるというのはお定まりの展開です。効を焦ってジェシーの母親の家を焼いた鉄道警察官はジョン・デナーだと思うのだが、クレジットにありませんでした。これまた、ロイは2曲しか歌っておらず、初期のロイ西部劇は歌が少ないで〜す。

 

『西部の星空の下で』(1938年/監督:ジョゼフ・ケーン)

旱魃で水不足となり、牧場主たちが悪徳水利会社の所有するダムに押しかける。水利会社の警備員が牧場主に向けて銃撃するのを見たロイ・ロジャースは、相棒のスマイリー・バーネットとダムの水門を壊して水を川に流す。ロイは保安官に逮捕されるが、町長に釈放される。ダムを水利会社の管理から州政府の管理にする必要があると感じたロイは、町民たちの支持もあって国会議員に立候補する。水利会社が立てた対立候補に勝ち、国会議員になったロイは法案成立のために大物議員に現場視察にきてもらうが……

歌で選挙活動するところがロイらしいところで、馬が疾駆するシーンはあまりなく、西部劇らしさのない作品です。相棒兼コメディリリーフとしてスマイリー・バーネットが出演していますが、面白さは今イチね。ロイと同じようなカウボーイ姿で人気を集めようとして失敗する対立候補の方が面白かったで〜す。

 

『テキサス・ムーン』(1946年/監督:ウィリアム・ホイットニー)

カウボーイ(牛飼い)とシープマン(羊飼い)が対立する土地の境界線で、シープマンの牧場主の射殺死体が見つかる。シープマンたちは、犯人はカウボーイと決めつけるが、犯罪捜査のためにロイ・ロジャースがやってくる。ロイは牧場主の娘ジル(デイル・エバンス)に会い、互いに惹かれあう。ジルの自動車が暴走し、ロイがジルを助けるが、自動車には細工がされており、牧場内部に犯人がいることをロイは推理するが……

西部劇といっても、自動車に細工して事故と見せかけたりするのは現代的ですね。相手役のデイル・エバンスは、ロイ夫人ね。この時はまだ結婚していなかったのかな。

 

『アイダホ』(1943年/監督:ジョゼフ・ケーン)

児童養護施設を運営する判事が、環境浄化のために賭博禁止を町の議会にかけようとするが、賭博場の女経営者は判事の過去の秘密をかぎつける。判事には銀行強盗の前科があり、女経営者は部下に命じて同じ手口で銀行を襲わせる。判事から相談をうけた警備隊のロイ・ロジャースは判事を助けようとするが、判事は一味に捕まり、鉱山の給与強盗にされようとするが……

ロイが真相を究明して判事を救うという西部劇ですが、女経営者の手下が禁酒法時代のギャングみたいで違和感ありです。ロイも相棒のスマイリー・バーネットも、あまり見せ場がありませんでした。出来の悪い作品で〜す。

 

『南方の勝鬨』(1937年/監督:ジョゼフ・ケーン)

南北戦争が終り、ロイ・ロジャースは戦友のギャビーに誘われて、ギャビーが母から相続した権利の半分を持っている牧場で働くことにする。牧場にきてみると、共同経営者は戦時中に恥をかかした北軍の大佐だった。大佐は町の軍制官となり、騎兵隊の派遣を要請するが、やってきたのは脱走兵の部隊だった。そうとは知らぬ大佐は……

悪党の部下が大佐を利用して町を牛耳ろうするのを、ロイが真相を見抜いてやっつけるので〜す。自動車の出てこないまともな西部劇で、それなりに楽しめました。

 

『カウボーイ・キング』(1943年/監督:ジョゼフ・ケーン)

ロイ・ロジャースはロデオのスターだが、州知事に頼まれてテロ組織探索の秘密捜査官となる。殺された捜査官の残した言葉「メリーを追え」を手がかりに、テント・ショーのメリー一座に潜入する。一座は何者かの指令で破壊活動をしており、ロイと相棒のフロッグ(スマイリー・バーネット)は黒幕をつきとめようとするが……

ロデオチャンピオンのロイ・ロジャースが、テントショーを隠れ蓑にしている組織に自慢の喉で潜入するのね。だけど、正体がすぐにバレ、ロイを殺そうとした悪党は、逆にロイによって捕まるという他愛ない物語です。西部劇らしいところは全然ありません。鏡を使って交通事故を起こさせるというのは、ミステリーに使えそうですね。

 

ジーン・オートリー

『爆進騎兵隊』(1937年/監督:ジョゼフ・ケーン)

ジーン・オートリーが牧童頭をしている牧場のオーナーがなくなり、牧場を売るために英国からオーナーの息子がやってくる。しかし、牧場とオートリーを好きになった息子は牧場を売るのを止める。牧場に金を貸していたジム・ニールは、牧場を手に入れるために60日以内に全額返済するように難題をふっかける。オートリーは牧場内にいる野生馬を調教して騎兵隊に売ることにする。そして、馬の入札を賭けて騎兵隊主催の競馬レースに挑む。

騎兵隊といってもラフライダーなんですけどね。内容はロイ西部劇と大同小異です。相棒のスマイリー・バーネットが後ろ向きに馬に乗って、前を行く馬の砂塵を防ぐのは面白いと思いました。画像は、ジーン・オートリーとスマイリー・バーネット。

 

テックス・リッター

『テキサスは大騒ぎ』(1937年/監督:ロバート・N・ブラッドベリ)

弟の仇を捜しているロデオチャンピオンのテックス(テックス・リッター)は、ロデオが開催される町に向かう途中で駅馬車強盗をしようしている悪党たちをやっつける。その馬車にはロデオの不正事件の秘密捜査官キャロライン(リタ・ヘイワース)が乗っていた。テックスは踊り子として不正組織に潜入しているキャロラインに惹かれ、彼女もテックスの銃とロデオの腕前にほれ込む。保安官たちがロデオ大会の警備で出かけ、町の保安が手薄になっている銀行を悪党たちが襲撃するが……

テックス・リッターといえば「ハイ・ヌーン」などのヒット曲で有名な歌手ですが、シンギングカウボーイだったのです。ロデオシーンは記録映画からの使いまわしのような気がしますね。インディアンが大勢出てくるので、バッファロー・ビルのワイルド・ウエスト・ショーの実写フィルムじゃないかなァ。それと、デビュー間もない頃のリタが見られたので満足で〜す。

 

 

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