ブロンソンの西部劇


『大砂塵の男』(1972年/監督:ポール・スタンリー&ジェリー・ホッパー)

ベン・ジャスティン(チャールズ・ブロンソン)は、ワイオミングの牧場地帯で妻子と小さな牧場を始めるが、頑なな態度で他の牧場主と折り合いが悪かった。特に隣家のサチェット(ジョージ・ケネディ)は新参者のジャスティンを馬鹿にし、対立していた。ガース判事(リー・J・コッブ)の牧場の牧童頭バージニアン(ジェームズ・ドルリー)は、二人を仲直りさせるのに苦労している。

その頃。新しく大牧場主となったジョージア・プライス(ロイス・ネットルトン)は、協定を無視して5000頭の牛を買い入れて乗り込んでくる。牧童頭のスピナー(ベン・ジョンスン)が意見すると、ジョージアをクビにしてジョニー・ウエイド(ブライアン・キース)を牧童頭にする。ジョニーは悪どいやり方で牧草地帯を我が物にしようとして、かつて親友だったガース牧場のスティーブ(ゲーリー・クラーク)と決闘して死ぬ。牧場主たちの反発でジョージアは牧場を売って立ち去る。

市場に出すため牛集めが始まり、ジャスティンの牛が伝染病に罹っていることがわかる。ジャスティンは皆に迷惑をかけないために、自分の牛を全て射ち殺す。ジャスティンの勇気に感心したサチェットは自分の種牛をジャスティンに譲り、二人は間にわだかまりが消える。

ポスターだけだとチャールズ・ブロンソン主演の映画のように見えますが、ブロンソンがゲスト出演したテレビ西部劇『バージニアン』のエピソード“The Nobility of Kings”に、ブライアン・キースがゲスト出演した“Duel at Siloh”を加えて編集したものなんですね。

ブルース・リーが活躍するエピソードを編集して劇場版『グリーン・ホーネット』を作ったように、ブロンソンの人気が出てきたので粗製したものです。そのため、物語展開にチグハグなところが多々見受けられ、映画としては満足できるものではありませ〜ん。

 

『決闘!ブーツヒル』(1958年/監督:ジーン・フォウラーJr)

連邦保安官のウェルシュ(チャールズ・ブロンソン)は、お尋ね者のメイナーを見つけて射殺するが、メイナーは町の人間から好かれており、ウェルシュは町中の人間から狙われることになる。お尋ね者の証拠を得るために、町のホテルの滞在したウェルシュは、給仕の女性サリー(フィンタン・メーラー)と愛しあうようになるが……

人を信じられなかった男が、愛を知って頑なだった心を開いていくというヒューマン西部劇です。題名から想像するような決闘シーンはなく、はいっきりいって面白くない作品です。背が低いことから劣等感を持って、人間不信になった主人公というのはチャールズ・ブロンソンらしくていいですけどね。出演者では、ジョン・キャラダインがいい味を出していま〜す。

 

『マードックの拳銃』(1964年/監督:ボリス・サガル)

幌馬車隊の案内人のマードック(チャールズ・ブロンソン)はジェイミー少年(カート・ラッセル)と食料買出しのためにディアボロの町にやってくる。町のホテルでマードックは死んだと思っていた昔の恋人マリア(スーザン・オリバー)に遭い驚く。6年前、マードックはマックリン牧場で働いていたが、そこの長男ランス(ジャン・マーリン)の許婚者だったマリアと愛し合い、二人で牧場を去る時にランスたち三兄弟に待ち伏せされて銃撃戦となり、倒れたマリアを見てマードックは死んだと思い込んでいたのだ。マードックが去った後、マックリン牧場はつぶれ、三兄弟は無法者となってディアボロの町に流れ着き、町を支配していた。マードックは三兄弟と対決することになり……

『荒野の七人』でチャールズ・ブロンソンの名が知れたので劇場公開されたのでしょうが、出演者の顔ぶれはテレビ西部劇のレベルです。ビデオ化されたのはブロンソンと、子役時代のカート・ラッセルが出演していたからでしょうね。内容的には平凡な西部劇で、特筆するところはありませ〜ん。

ブロンソンとスーザン・オリバー

 

『ホワイト・バッファロー』(1977年/監督:J・リー・トンプソン)

1874年、西部に戻る途中の寝台車でワイルド・ビル・ヒコック(チャールズ・ブロンソン)は巨大な白い野牛の夢を見る。カスターの部下と争ったり、無法者と対決した後、旧知のチャーリー(ジャック・ウォーデン)と白い野牛を探しにスー族の聖地に入る。クロウ族と戦っているクレージー・ホース(ウィル・サンプソン)を援護したことから二人に友情が芽生える。クレージー・ホースも娘を殺した白い野牛を探しており……

まず、チャールズ・ブロンソンのワイルド・ビル・ヒコックというのが気に入りません。ヒコックのイメージとあまりにも掛離れていますからね。キム・ノヴァク、スリム・ピケンズ、スチュアート・ホイットマン、クリント・ウォーカー、ジョン・キャラダインといった名の知れたスターが顔を見せていますが、どうでもいいような役で、単なる無駄使いなのが気に入りません。ドスンドスンと走りまわる背丈3メートル・体重1500キロという設定のホワイト・バッファローは、特撮というにはチーピーすぎて気に入りません。監督は冒険アクションでは定評のあるJ・リー・トンプソンで、音楽はジョン・バリーとスタッフも悪くないのですが、西部劇らしい空間的拡がりもなく、魅せる要素のない冒険西部劇で〜す。

 

 

 

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