ジョン・ウェインのB級西部劇


『西部地獄街』(1937年/監督:チャールズ・バートン)

デア・ラッド(ジョン・ウェイン)は、従兄弟のトム(ジョニー・マック・ブラウン)を訪ねてモンタナからワイオミングへやってくる。途中で間違えて牛泥棒に加勢したことから、偶然トムと出会う。牛泥棒はトムの牛を狙っていたのだ。誤解がとけてトムの牧場で働きはじめたデアは、トムが親しくしているジュディー(マーシャ・ハント)に心惹かれはじめる。牧童頭となったデアは、牛を売るためにキャトルドライブに出発するが、悪党たちが牛を狙って待ちかまえていた……

ジョン・ウェインがB級西部劇に数多く出演していた時代のもので、これは珍しくパラマウント作品。

キャトルドライブやスタンピードのシーンは、スケールが大きいので別の作品からの使いまわしのような気がします。平凡な内容ですが、スピード感(コマ落しによるものですがね)があって、結構楽しめる西部劇でした。

戦後(1954年)に、配給会社によって『荒野の激斗』と『モンタナの掟』に分割され、2本の短編映画として公開されたそうです。ところがポスターを見ると、第一部「荒野の激斗」、第二部「地獄の町」となっていて、『モンタナの掟』じゃないんだよなァ。

監督がジョン・フッドで、出演者にアラン・ラッドの表示がデカデカとあります。児玉数夫さんによると、アラン・ラッドは原版では端役で出演していたけど、日本公開において編集でカットされたんじゃないかと言っていますね。私が観たDVDも54分の短縮版のようなので、アラン・ラッドを見つけることができませんでした。私は、ポスター作者のインチキ表示のような気がしますが……

 

『西部の熱い風』(1936年/監督:M・V・ライト)

ポニー・エキスプレスのライダーだったジョン・ブレア(ジョン・ウェイン)は、電信の発達でポニー・エキスプレスが廃業することになり、仲間のラリー・アダムズ(レーン・チャンドラー)と駅馬車を始めることにする。ブキャナンの町で、ドレイクからクレセントの町の営業権利を買うが、そこは町長とフォーサイス医師の二人しか住んでいなかった。政府から郵便事業の契約と2万5千ドルの賞金がもらえる郵便レースの申し込みにブキャナンの町に行ったジョンは、東部から父を訪ねてやってきたフォーサイスの娘・バーバラ(フィリス・フレイザー)と知り合う。クレセントの町は、中国人の洗濯屋を町長が連れてきたり、旅をしている開拓民の病気をフォーサイス医師が診たり、電信工事の責任者をジョンが救ったりして大きくなっていき、事業独占を狙うドレイクは手下を使ってジョンに様々な嫌がらせをする。そして、郵便レースが開催され……

ストーリーを追うだけの展開で、物語に深みはありません。ジョンとバーバラの恋愛模様や、ドレイクの手下に射たれたラリーの手術をすることになったフォーサイス医師の過去とかを、もっと掘り下げればドラマチックになったと思うのですけどねェ。

駅馬車を襲ってきたドレイクの手下たちの銃弾を避けるために、馭者のジョンが疾走する馬の間に飛び移って応戦するのは、他の作品では見たことがなく、初めて見た西部劇アクションでした。スタントは、おそらくヤキマ・カヌートでしょうね。

 

 

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