B西部劇スター


カーミット・メイナード

『ダイナマイト・ライダー』(1937年/監督:ハリー・フレイザー)

牧場で金を見つけたボブは、牧場主のフォスターに知らせようとするが、欲に眩んだ牧童仲間に殺される。ボブの持っていた手紙から、兄のジム(カーミット・メイナード)が訪ねてくることを知った悪党たちは、ジムを待ち伏せする。あやうく難を逃れたジムは、老人からフォスターが町外れに住んでいることを教えられる。

フォスターの娘ジェーン(アリアン・アレン)から、ボブは牛泥棒に殺されたことになっているが牛泥棒が現れたのはその時だけだったことと、その後に牧童3人が牧場を買収して金鉱を発見したことを聞いたジムは、その三人が犯人であると目星をつける。

ジムは三人の中で一番気弱な男を問い詰めると、男はジムの馬で逃げ出し、ジムに間違われて仲間に殺されてしまう。悪党たちがジムに仲間を殺されたと保安官に訴えたため、ジムは逮捕される。

老人の助けで留置所から脱走したジムは、金を独り占めしようとしている悪党たちを仲間割れさせる。そして、残った一人に悪事の全てを告白書に書かせ、弟の仇を討つのだった。

弟の死に不審を持った元騎馬警官の兄が、事件の真相を暴き、悪党退治をするB級西部劇です。B級映画というと、私もそうなんですが、一般的に低予算映画の意味合いで使っていますが、それに上映時間が1時間前後という条件を加えないと正しくないようです。この作品の上映時間は56分で正統的B西部劇です。

主演のカーミット・メイナードは騎馬警官を主人公にしたB西部劇で活躍しました。1933年のロデオチャンピオンで、乗馬は御手のもの。愛馬ロッキーに乗り、颯爽とした追いかけシーンを見せてくれます。演技は二の次ね。

コメディリリーフの老人や、床屋でのコメディ・シーンを盛り込んで、B級西部劇らしい展開(命を狙われたのに、ノンビリ床屋で身だしなみを整えるなんてね)となっています。床屋で楽隊が歌を歌っているシーンなんて初めて見ましたよ。主人公が手をくださなくても、悪はかってに滅びていくので〜す。

別の作品ですが、画像中央がカーミット・メイナード

 

トム・タイラー

『銀の銃弾』(1935年/監督:バーナード・B・レイ)

チコの町へやってきたトム(トム・タイラー)は、無法者にからまれている町長の娘ノラ(ジェーン・レーガン)を助ける。無法者たちは仕返しをしようとトムを待ち伏せするが、逆に撃退されてしまう。町長に保安官になることを要請されたトムは、ノラに惹かれて承諾する。ノラもトムが好きになっており、トムに銀の銃弾のネックレスを贈る。トムは無法者のリーダーであるスリムを逮捕するが、電話連絡のあった連邦保安官の偽者に不意打ちをくらい、脱走されてしまう。無法者たちは銀行襲撃するが、銀行家が彼らの黒幕だった。無法者たちを追ったトムは、銃撃戦で彼らを倒していくが、銃弾がなくなり……

トム・タイラーが睨めば無法者たちは怖気づき、ギブアップ。だけど、アクションはモタモタしていて迫力ありません。銃弾がなくなり、大ピンチとなりますが、最後の一発が題名ね。薬莢つきのネックレスって危なくないかい。

それと、電話(電話が発明されたのが1876年で、翌年にはウエスタンユニオンが電話事業を開始)が出てくるのですが、辺鄙な西部の小さな町にまで普及していたのですかね。B西部劇は大雑把なので〜す。

 

『ペコスの黒騎手』(1937年/監督:サム・カッズマン)

ギルバート牧場を訪ねたトム(トム・タイラー)は、家でギルバートの死体を発見する。娘のアン(ジーン・マーテル)はトムを犯人と間違え、トムは手配される。再度、ギルバート牧場を訪ねたトムは、アンに牧童頭として雇う旨のギルバートからの手紙を見せ容疑をはらすが、保安官を納得させるにはアリバイを証明してくれる薬売りを捜す必要があった。アンに横恋慕している牧童頭のジェスが真犯人で、トムのアリバイ証明する薬売りを捕まえて、逆にトムを犯人とする供述書を書かせようとするが、トムが薬売りを助け出す。ジェスは悪党仲間とギルバート牧場を襲うが……

ノンビリした展開でスリルもサスペンスもありません。保安官が馬でなく、サイレンならして車で駆けつけてきたのにはビックリ。

ヒロインの服装も西部の娘には見えず、現代と西部劇の世界がゴッチャになっています。主人公がカウボーイスタイルなら、それで是なのでしょう。

 

セリフ不要のサイレント時代の西部劇スターが、トーキー時代になって転身したのが演技よりも乗馬などのアクション中心のB西部劇でした。トム・タイラーもその一人で、1930年代に数多くのB西部劇に主演しています。しかし、メジャー作品では悪役ね。『駅馬車』では、ジョン・ウェインに射たれて、酒場に帰ってバタリと倒れる印象深い悪役でしたねェ。

 

ボブ・スチール

『幽霊牧場』(1937年/監督:ロイ・ルビー)

ラリー(ボブ・スチール)は友人の昆虫学者ハートウェル博士を訪ねるが、博士の姪バーバラ(ハーレー・ウッド)の拳銃によって殺されていた。バーバラは保安官に逮捕される。ラリーは真犯人を見つけるために博士の牧場に寝泊りする。不審な人物として、博士のライバル昆虫学者、バーバラに横恋慕してクビになった牧童頭、牧場に呪いがかかっていると脅す養豚業者、そして牧場を買収しようとしていた中華料理店のリー(森田幹)が浮かび上がってくる。ある夜、怪しい物音が……

ミステリータッチの西部劇です。ネタを明かすと、牧場の地下に密入国組織のアジトがあって、養豚業者が国境から中国娘を密入国させ、牧童頭が牧場の見張り、首領がリーで中国娘を売りさばいていたんですな。そのことを知った博士はリーに殺されたという次第。

 

『オクラホマ旋風児』(1930年/監督:ジョン・P・マッカーシー)

巧みな乗馬で追手をまいたジミー(ボブ・スチール)は、サンタマリア牧場に逃げこむ。牧童頭のマーキムはジミーをオクラホマ・サイクロンと呼ばれる無法者と思い、ジミーを利用するためにカウボーイとして雇う。マーキムはブラック・ディアボロと呼ばれる盗賊団の首領で、サンタマリア牧場を隠れ蓑にしていたのだ。ジミーと牧場主の娘カメリータ(リタ・レイ)は惹かれあうが、カメリータに横恋慕しているマーキムは二人が仲良くしているのを心よく思わず、手下を使ってジミーを殺そうとするが……

ジミーの目的が、マーキムに捕まっている父親捜しとは、何じゃこりゃという展開でした。父親はマーキムを追っていた保安官なんですが、殺されずに捕まったままというのは不自然すぎます。主演のボブ・スチールは敏捷な動きを見せてアクションは悪くないのですが、顔が悪いなァ。

 

ボブ・スチールも1930年代にB西部劇で活躍したスターです。小柄で敏捷なので、“ビリー・ザ・キッド”などのキッドもので人気を博したようです。戦後は、メジャー作品の悪役として傍にまわりました。阿部九州男や羅門光三郎といった、戦前は大都や新興などで活躍したチャンバラスターが、戦後は悪役として傍にまわったのと似ていますね。西部劇と時代劇は、関連性があるのだよ。

 

 

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