ランドルフ・スコットの西部劇


『平原の落雷』(1953年/監督:アンドレ・ド・トス)

合衆国に併合される前のテキサスは、悪徳商人バルフォア(ヒュー・サンダース)と徴税役人スタンディッシュ(エライシャ・クック・ジュニア)が結託して農民を苦しめていた。ベン・ウエストマン(チャールズ・マッグロー)は、仲間と彼らの荷馬車を襲う。この地区の警備隊長ポッター大尉(ランドルフ・スコット)は、農民たちに同情的でウエストマン逮捕に消極的だった。砦の司令官チャンドラー大佐は、ウエストマンを逮捕できないのは人員不足と考え、東部からホッジス大尉(レックス・バーカー)を増強する。バルフォアがウエストマンに1000ドルの賞金をかけたところ密告者が現れ、ポッターとホッジスはウエストマン逮捕に向かうが、功をあせったホッジスの失敗によりウエストマンに逃げられてしまう。密告者が殺され、犯人はウエストマンと思われたが……

絞首刑の時間までに証拠を届けねばならない時間との戦いと、それを阻止しようとする相手とも戦わねばならないというラストの決闘は、サスペンス溢れるものになるかと思っていたのですが、意外とアッサリした結果でガッカリです。

ランドルフ・スコットは如何ってことなし。スコットの愛妻(フィリス・カーク)に言い寄るレックス・バーカーが、嫌味な二枚目ぶりを見せて好演しています。それと悪徳商人のヒュー・サンダースが、マカロニ悪役俳優に似たところがあり嬉しくなりました。役名がバルフォアでなく、ファヤルドだったらよかったのにね。

 

『勇者の汚名』(1954年/監督:アンドレ・ド・トス)

ラリー(ランドルフ・スコット)は駅馬車強盗のメラディ(ジェームズ・ミリガン)に殺された妹の復讐のために、駅馬車の護衛となってメラディを捜していた。ある日、駅停にメラディの拳銃を持った男が現れ、護衛役を替わってもらって男の後を追うが、それはメラディの罠だった。メラディの手下のピート(チャールズ・ブロンソン)に捕まったラリーは、メラディが駅馬車を襲い、それを囮に町の保安官を誘き出し、その隙に町を襲う計画を知る。何とか脱出したラリーが町に駆けつけると、町の住人たちから、駅馬車強盗の一味に間違われてしまう。誰にも信用されず、メキシコ人の酒場に立て篭もったラリーは……

プロットは面白いのですが、主人公も悪党もマヌケな行動で目がテンになります。町に戻ってからの展開も、住民個々のキャラクターに時間を割くあまり間延びがしていますね。保安官捕のウエイン・モリスの時間稼ぎが見られる程度で、ヒロインのジョーン・ウエルドンなんて居ても居なくてもいいような存在。

ラストの決闘シーンも弾丸をこめる時間があるくらいモタモタしているので、カッコよく決まらないんですよ。アンドレ・ド・トスはアクション・シーンの演出が下手だなァ。

 

『静かなる対決』(1946年/監督:エドウィン・L・マリン)

南北戦争後のアビリーンの町、牛の集積地として賑っていたが、カウボーイたちによって町の治安は乱れていた。タウンマーシャルのダン・ミッチェル(ランドルフ・スコット)は酒場での拳銃携行を許さず、拳銃騒ぎを起こしたカウボーイたちを町から追い出す。カウボーイのボスのライカーは、今度牛を運んできた時に殺された部下の復讐をするといって、町を立ち去る。町外れには開拓民が移住してきて、農地の開墾をしていた。ダンは農民が増えることによって、町が平和になると考えていたが、酒場を経営するチャーリー(リチャード・ヘイル)はカウボーイたちを客にしていたので、列車強盗のジェット・ヤンガー(ジャック・ランバート)を使って開拓村を襲わせる。ダンはシェリフのブラボ(エドガー・ブキャナン)とジェットを追うが……

原作は、『駅馬車』で有名なアーネスト・ヘイコックスの小説。

酒場の歌手(アン・ヴォーザーク)と主人公の恋、雑貨屋の純情娘(ロンダ・フレミング)と開拓民の青年(ロイド・ブリッジス)との恋、牛の暴走、酒場でのガンファイト、そして無法に対して町民が結束して立ち上がるという良き時代の西部劇です。強烈な問題提起もなければ、映画演出における斬新性もない、ごく普通の西部劇で〜す。

 

 

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