西部ロマンス小説


『砂塵きらめく果て』(ハーレクイン)

ノーラ・ロバーツ:著(飛田野裕子:訳)

1995年9月1日第1刷発行

 

東部のミッション・スクールを卒業した主人公が父の住むアリゾナの鉱山町にやってきて、ガンマンの男と恋をするロマンス小説ですが、内容は完全に西部小説です。冒頭のガンマン登場シーン(決闘シーン)は映画の『拳銃王』そのまんま。ガンマンがグレゴリー・ペックで、名前をあげるためにガンマンに挑戦するバカ者がリチャード・ジャッケルね。

主人公の乗った駅馬車がアパッチに襲われますが、ガンマンが主人公を救出するんですな。主人公が町に着いた時は、父親は落盤事故で死んでおり、土地と鉱山が遺されます。ガンマンは主人公に東部へ帰るように言いますが、主人公がそこで暮らし始めることになり、ガンマンは古い知りあいを主人公の使用人として世話します。町の有力者である農場主が主人公の鉱山を買いたいと言ってきたことに疑問を持ったガンマンが鉱山を調べると金の鉱脈が見つかります。農場主はそのことを知っており、鉱山を手に入れるために主人公の父も彼によって殺されたんですね。でもって、最後はガンマンと農場主の対決ね。

西部劇でお馴染みのパターンが次々に展開していき、一気に読んでしまいました。

 

『荒野に咲く花』(ハーレクイン・ヒストリカル)

スーザン・マレリー:著(石川園枝:訳)

2001年1月5日初版発行

 

1879年のモンタナが舞台の西部ロマンス小説です。花嫁募集広告でやってきたヒロインが、花婿を仇と狙う男に誘拐されるんですな。男の目的は、留守中に牧場を襲撃され、父親を死に追いやった悪党に復讐するためで、ヒロインの夫となるべく男がその首領なんです。誘拐されたヒロインは、何度も脱出を試みますが失敗し、紳士的な男の態度に真実を知り、愛が芽生えていきます。

どんな不利な状況でも正義を貫く西部男、そんな男の心意気に味方する親友のカウボーイ、土地買占めのために裏で部下を使って悪業を行なう権力者、最後に良心に目覚めて立ち上がる権力者に買収されているアル中の保安官、心優しい娼婦に良識的な医者と、西部劇では定番的なキャラが揃っており、昔のB級西部劇的雰囲気あふれる作品で〜す。

 

『愛燃える平原』(MIRA文庫)

ナーン・ライアン:著(小長光弘美:訳)

2007年3月15日第1刷発行

 

インディアン保留地の美貌の女教師と混血のコマンチ族の族長の恋を描いたロマンス小説です。舞台が1875年のニューメキシコで、コマンチ族にはクアナ・パーカーのような混血酋長が実在しているので、西部小説として読んだのですけどね。保留地司令官の娘が浮気女で、族長を誘惑するのですが相手にされず、乱暴されたと自分に惚れている大尉に告訴するんですな。司令官も副司令官も留守だったので、大尉は娘の言ったことを鵜呑みにして族長を捕らえ拷問します。女教師が族長を救出し、保留地から脱走して愛の逃避行ね。副司令官が事件の真相を究明してメデタシ、メデタシです。

ありふれた設定で目新しいことのない物語ですが、濃密なラブシーンを加えることによって、結構刺激的な作品になっていま〜す。

 

 

 

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