ノベライズ本


『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(新潮文庫)

ブルース・ベスキ:著(北澤和彦:訳)

1999年11月1日 初版発行

 

アクションの面白さが持ち味の映画をノベライズしても全然面白くありません。

映画では判りづらい心理描写や背景等が表現され、映画を深く理解できるようにするのがノベライゼーションのメリットですからね。

 

『マーヴェリック』(新潮文庫)

マックス・A・コリンズ:著(田村義進:訳)

1994年8月1日 初版発行

 

ノベライズしたコリンズの作家としての力量で、映画を観ていなければ西部小説というよりミステリー小説として楽しめると思います。

観ている人は、ストーリーにプラスαがないので読む必要はありませ〜ん。

 

『ワイアット・アープ』(竹書房文庫)

ダン・ゴードン:著(石田享:訳)

1994年7月14日 初版発行

 

小説としての面白味は欠けますが、意外な優れものです。

映画は演出上、史実から離れたものになっていますが、小説の方はトゥームストン時代に重点を置いて、史実通りに展開します。

映画では、ラストはカーリー・ビルに待伏せを受けたワイアット・アープが反撃してカーリー・ビルを倒し、ジョニー・リンゴーまでがドク・ホリデーに射たれる内容でしたが、小説の方は遭遇戦の扱いになっています。

ジョニー・リンゴーの死も史実にあわせたような内容になっていましたよ。ノベライズというより、史伝といえます。

 

『ジェロニモ』(竹書房文庫)

ロバート・J・コンリー:著(石田享:訳)

1994年5月2日 初版発行

 

イントロダクションとエピローグに史実が語られており、そこだけが価値があります。本文は映画の内容そのものですからね。

イントロダクション部分を中心に小説化したものに、フォレスト・カーターの『ジェロニモ』があります。

 

EAST MEETS WEST(ワニブックス)

岡本喜八:原案、小林弘利:ノベライズ

1995年8月20日 初版発行

 

映画の封切にあわせて発売されたのでしょうが、短期間で上映が打切られたので、あんまり売れていないんじゃないでしょうか。

映画では描かれていなかった、咸臨丸がサンフランシスコに着くまでの主人公二人の行動を描くことにより、人物像が明確になっていますが、映画では表現できない心象部分が巧く小説化できていませんね。

小説として読むには、映画を観て内容を知っているだけに、脚本とは異なる文章力が重要で〜す。

 

『五匹の用心棒』(山王書房)

大藪春彦:編

1967年9月10日 発行

 

『南から来た用心棒』とコンビになっているノベライズ本です。大藪春彦は監修をしているだけで、小説化したのはゴーストライターですね。発売時に購入して所持していたのですが、以前、実家で探したけど見つからず、悔しくて再度ゲット。

ガンマン・シリーズ第一弾とあるのですが、第二弾は発行されていません。マカロニブームが続いていた頃なんですが、本で読もうなんて誰も思わなかったのですかねェ。

 

『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』(小学館文庫)

NAKA雅MURA:著

2007年8月12日 初版発行

 

西部劇は視覚にうったえるガンファイトが見せ場なので、小説ではその魅力が伝わらないですね。その代わり、映画にはなかった言葉遊びは楽しめました。ジェンマならぬジュンマ(純馬)とか、静が打楽器で踊るダンスがホワイビート(白拍子)とかね。

映画と違うのは源平合戦だけでなく薔薇戦争の比重が重いことです。だから、伝説のガンマンが“血まみれ弁天”でなく、“皆殺しのジャンヌ”になっています。映画の脚本は著者と三池監督の共作なので違いが出たのでしょう。映画と合体すれば、ジャンヌとピリンゴの孫がジャンゴなんちゃって……

 

 

トップへ    目次へ