西部劇関連本


西部小説

『コヨーテの風』(ハヤカワ文庫)

ピーター・ボーエン:著(中津悠:訳)

1996年5月31日 第1刷発行

 

モンタナを舞台としたミステリー。西部劇タッチなのがうれしいです。

主人公が「フランス系を中心とするヨーロッパ人と北米インディアンとの混血から生じた先住民族」である“メティス”と称されるアメリカのマイノリティというのが、この作品を特徴付けていいます。

“メティス”の存在は、ゲーリー・クーパーの西部劇『北西騎馬警官隊』(セシル・B・デミル監督)で知っていましたが、その子孫たちが現在でも“メティス”として、独自の民族意識を持ち続けていることは知りませんでした。本書に始まるガブリエル・デュプレ・シリーズは、3作まで書き継がれているので、翻訳されたら読みたいですねェ。

 

『平原に狼を見たか』(新潮文庫)

ダン・オブライエン:著(小林宏明:訳)

1992年9月25日 第1刷発行

 

 家畜を襲う野獣が狼と噂され、調査と退治のために、サウスダコタのブラックヒルに伝説の老ハンターがやってくる。

一方、弟を殺し、金を奪った男への復讐のために、ベトナム帰りの若者もこの町にやってくる。この二人の行動が、ムダのないストーリー展開で並行して描かれ、一気に読んでしまいました。

背景となる西部の風物が見事に描写されており、西部劇ファンとしてはこたえられない作品でしたよ。

 

『サンタマリア特命隊』(河出文庫)

ジャック・ヒギンス:著(安達昭雄:訳)

1985年9月5日 第1刷発行

 

 50円コーナーで見つけた本。

革命終結直後の混乱しているメキシコを舞台にした冒険小説。J・ヒギンズの出世作(発表時はジェイムズ・グレアム名義)となった作品だけあって、たたみかけるアクションの連続は、読んでいて飽きさせません。

神父姿のロバート・ミッチャムがトムプソン軽機関銃を構えた映画ポスターの記憶があったので読んだのですが、小説はアイルランド革命戦士の一人称で書かれており、映画と小説では主人公が違うようですね。

メキシコ革命を背景にした『夕陽のギャングたち』や、『ビバ!マリア』にもアイルランド革命戦士が登場しますが、当時アイルランドを追われた連中は、メキシコに流れてきたみたいですね。

 

『モヒカン族の最後(上下巻)』(ハヤカワ文庫) 

ジェイムズ・フェニモア・クーパー:著(犬飼和雄:訳)

1993年2月15日 第1刷発行

 

 映画では見知っていまたが、原作を読むのは今回が初めて。

『モヒカン族の最後』は、1823年〜41年にかけて発表された“革脚絆物語”五部作の第2作目にあたります。他の作品が殆ど知られていないところをみると、この作品が抜きん出ているんでしょうね。

最近の小説に比べると、説明的な会話が多く、スピード感に欠けますが、それを補ってあまりある魅力があります。それは、白人世界からインディアンを描いているのでなく、インディアン世界から彼ら自身を描いていることです。それも善対悪というステロタイプの物語でなく、インアディアン独自の世界観の中で描いているのが素晴らしいです。悪の代表・ヒューロン族のマグワの行動にも一理あり、白人の犠牲者ともいえなくはないんですから。

 

『開拓者たち(上下巻)』(岩波文庫)

 ジェイムズ・フェニモア・クーパー:著(村山淳彦:訳)

 上巻 2002年6月16日 初版発行

 下巻 2002年7月16日 初版発行

 

『開拓者たち』は、1823年から41年にかけて発表された“革脚絆物語”五部作の第一作目にあたりますが、時代的には4シーズン目になります。

“革脚絆物語”を時代順に表記すると、

『ディアスレイヤー』(1841年発表)

時代は、オーストリア王位継承戦争に連動した英仏間の植民地争奪抗争キング・ジョージ戦争(1744〜48年)勃発頃。

『モヒカン族の最後』(1826年発表)

時代は、フレンチ・インディアン戦争(1754〜63年)の最中で、1757年頃。

『バスファインダー』(1840年発表)

時代は、フレンチ・インディアン戦争(1754〜63年)の最中で、1759年頃。

『開拓者たち』(1823年発表)

時代は1793年。

『大草原』(1827年発表)

時代は、ジェファソン大統領によるルイジアナ購入(1803年)の翌年。
と、なっています。

 

読んでいて、独特の味わいはあるのですが、『モヒカン族の最後』でもそうだったように、説明的な会話が多くて、スピード感にかけます。

古典は、先を急がず、じっくり、くつろいだ気分で読むものでしょうね。

 

 

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