西部劇関連本


マックス・エヴァンスの世界

『ハイロー・カントリー』(角川文庫)

マックス・エヴァンス:著(鈴木恵:訳)

1999年11月25日 初版発行

 

 先月、映画を観て、『ハイロー・カントリー』の原作を読みたくなりました。

マックス・エヴァンスの小説は、映画以上に西部劇への郷愁をかきたてるものでした。荒野に生きる昔かたぎの男たち。彼らのいずれもが個性的で、愛すべき存在でした。エヴァンス自身も12歳の時には牧場で働いており、10代後半にはニューメキシコ州の北東部にあるユニオン・カウンティで牧場経営をしているんですよ。『ハイロー・カントリー』の世界は、エヴァンスの世界でもあったような気がします。

 『ハイロー・カントリー』は、サム・ペキンパーの手で脚本化(第1稿)されましたが、結局日の目を見ませんでした。しかし、『ハイロー・カントリー』の第15章に書かれている狩りの部分は、1963年にペキンパーが監督したTVムーヴィ『ルーザーズ』で使用しています。

『ルーザーズ』はテレビ・ドラマの中でも名作中の名作と見なされ、ゴールデン・タイムに5回も再放送されました。このことは、エヴァンスが著した『ケーブル・ホーグの男たち』に記載されていま〜す。

 

『ケーブル・ホーグの男たち』(めるくまーる)

マックス・エヴァンス:著(原田眞人:訳)

1991年6月20日 初版第1刷発行

1991年7月25日 初版第2刷発行

 

 『ケーブル・ホーグの男たち』は、ペキンパーの西部劇『砂漠の流れ者』の撮影ドキュメントなんだ。エヴァンスは、駅馬車馭者の助手ウエッブの役で出演しているが、撮影期間中ずっとペキンパーと一緒にいて、ペキンパーはもとより、出演者やスタッフの生の姿をレポートしている。『砂漠の流れ者』の鑑賞の手引きとなるだけでなく、ペキンパーについて語った良質のノンフィクションとなっている。ペキンパー・ファンには必携のお薦め本ですよ。

 エヴァンスが作家として有名になったのは、彼の3冊目の小説である『ランダース』が映画化されたからである。バート・ケネディ監督、ヘンリー・フォンダ、グレン・フォードが出演した現代西部劇で、1965年に日本でも公開された。また、TVシリーズにもなり、『カウボーイ野郎』の題名で1969年にNET(現テレビ朝日)で放映されている。どちらも私は未見なので、詳しい内容は知らない。

 

 

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