1960年代に活躍してリタイアしていたTVヒーローの復活が80年代にありました。私が知っているだけでも、ベン・ケーシー、ナポレオン・ソロ、ペリー・メイスン、エイモス・バーグが現場に戻ってきましたね。 当然、西部劇の世界でも『ガンスモーク』のマット・ディロン、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』のジム・ウエスト、『保安官ワイアット・アープ』のワイアット・アープがテレビムーヴィで帰ってきました。作品的には凡作の部類になると思うのですが…… |
『帰ってきたガンスモーク』
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Return to Dodge(1987年/監督:ビンセント・マクビティ) 保安官を引退して毛皮ハンターとなっていたマット・ディロン(ジェームス・アーネス)が無法者に襲われて負傷する。ダッジ・シティに担ぎ込まれたマットを看病したのは、ニューオリンズから戻ってきたキティ(アマンダ・ブレイク)だった。その頃、マットの仇敵であるマノン(スティーブ・フォレスト)が刑務所から出所する。マノンと同じ刑務所に入っていたマットの親友ジェイク(アール・ホリマン)は、マノンが命を狙っていること知らせるために刑務所長を人質にして脱獄する。安全な場所にきた時、ジェイクは刑務所長を解放するが、それを陰で見ていたマノンが刑務所長を殺す。マットの傷が癒えた時、若い騎兵隊員が、ジェイクが刑務所長を殺して逃亡していることを知らせに来る。マットはジェイクを捜すためにジェイクの妻子がいるインディアン部落に行くが、ジェイクは去った後で、ジェイクの妻がジェイクを追っている無法者たち連れ去られたことを、ジェイクの娘プレイウォーターから知らされる。ジェイクと会ったマットは、無法者たちからジェイクの妻を救出するが、決闘でジェイクは傷を負って死ぬ。ジェイクからマノンのことを知ったマットは、マノンの家に行き、そこで待っていた保安官のニューリーから、マノンはキティを人質にして酒場で待っていることを知らされる。ダッジ・シティに戻ったマットは…… 『ガンスモーク』は、1952年にラジオ番組として始まり、1955年からテレビに移り、1975年まで20年間放送されたアメリカでは超人気の西部劇でした。日本ではフジテレビの開局とともに始まり、1962年まで放送されています。その後1969年10月から70年6月まで再度放送(カラー新シリーズ)されましたが、『ローハイド』や『ララミー牧場』と比べると日本での人気は今イチでしたね。主演のジェームズ・アーネスが日本人受けしなかったせいでしょう。逆に『ララミー牧場』のロバート・フラーは日本では絶大な人気スター(但し、ブーム時の瞬間的人気)になりましたが、アメリカでは今イチでした。国民性の違いがあるんでしょうね。 この作品の時の、J・アーネスは66歳、A・ブレイクは58歳なんですが、実年齢より老けて見えました。J・アーネスなんか鬘で若作りをしていますが顔の皺は誤魔化せません。A・ブレイクも年齢の割に呂律がまわっていません。そんな姿を見ると、懐かしさより痛々しさを感じるんですよ。無法者相手の銃撃戦や格闘などアクションはガンバッテいましたが、やはり齢相応の役が似合うと思いま〜す。 |
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Wyatt Earp Return to Tombstone(1994年) 人気テレビ西部劇『保安官ワイアット・アープ』のアープ(ヒュー・オブライエン)が1914年のトゥームストンに帰ってきます。墓地で管理人(ハリー・ケリー・ジュニア)と会い、メキシコで牛泥棒をしたオールド・クラントンが銃撃戦で最期を遂げた時のことを思い出します。次にアープが会ったのが町の保安官で、愛用のバントライン・スペシャルについての思い出話ね。 エピタフ新聞社のクラムは、アープがやって来たことを酒場にいるジム・ドッグ・ケリー(ポール・ブリンガー)に知らせます。ケリーはダッジ時代のアープの仕事ぶりと淡いロマンスについて皆に話します。酒場へやってきたアープはトゥームストンの出来事やOKコラルの決闘にいたる経緯を思い起こし、町はずれで無法者(ボー・ホプキンス)に絡まれている若者を助け、OKコラルの決闘について話します。そして、再びトゥームストンに別れをつげ…… ジョニー・キャッシュが歌うテレビ西部劇『保安官ワイアット・アープ』の主題歌が要所要所に流れ、テレビフィルムを回想シーンに使って、思い出を語るだけの作品です。オルジナルのテレビフィルムはモノクロなので、この作品用にカラー処理していましたね。ヒュー・オブライエンだけでなく、ポール・ブリンガーの懐かしい顔も見ることができて、嬉しくなりましたよ。 『保安官ワイアット・アープ』は、日本では1961年9月から64年4月までNTV系列で放送されていますが、アメリカでは55年〜61年に放送され、同時期にスタートしたガンスモーク』と並ぶアダルト・ウエスタン(大人の鑑賞に堪えうる西部劇)の先駆けとなりました。 |
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続ミスターウエストの奇妙な冒険(1980年/監督:バート・ケネディー) 引退して役者をしていたアーティマス・ゴードン(ロス・マーチン)とメキシコ娘に追っかけられていたジェームズ・ウエスト(ロバート・コンラッド)がアメリカ情報部のマローン長官(ヘンリー・モーガン)に召集される。マッド・サイエンティストのアルバート・パラダイン二世(ジョナサン・ウィンターズ)が企んでいる計画を調べ、彼の野望を阻止するためだった。二人はネバダの砂漠にあるパラダインの賭博場に乗り込む。パラダインは、世界征服のために世界中で戦争を起こそうと考え、世界平和会議に集まる各国代表を爆殺しようとしていた…… バート・ケネディーらしい、ギャグ満載のコメディ西部劇です。透明人間になる新兵器など、悪ノリ的なところもあるのですが、バカバカしい笑いは嫌いじゃないので大いに楽しめました。何でもかんでも詰め込んだ、ウィル・スミスなど一流俳優によるA級作品的『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(1999年/監督:バリー・ソネンフェルド)より、B級テイストに溢れたこの作品の方が私は好きですね。 『ワイルド・ワイルド・ウエスト』は、アメリカでは1965年〜69年に放送され、日本でも『0088/ワイルド・ウエスト』の題名で、フジテレビ系列で1965年に放送されました。西部劇ブームは過去のものとなり、ジャンルとしての魅力がなくなっていたので、当時ブームだったスパイ・アクション風の題名にしたのでしょう。政府直属の“隠密ガンマン”が、時代の先端をいく装備・新兵器がセットされた蒸気機関車の本部から出動し、悪の組織を粉砕するウエスタン調007、というのが謳い文句でしたからね。だけど、どっちつかずで、日本ではヒットしませんでしたねェ。 |
『ボナンザの子どもたち』
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『ボナンザ・リターンズ』(1993年/監督:ジェリー・ジェームソン) 1905年のポンデローサを舞台にした、ベン・カートライトが死んだ後の孫たちの物語ね。牧童頭のブロンク(ベン・ジョンスン)がベンの遺言でポンデローサの管理を任されているのですが、悪名高い鉱山主のブランデンバーグ(ディーン・ストックウェル)がポンデローサの土地買収に乗り出し、ベンの孫たちがポンデローサに帰ってきます。 長男のアダムの息子アダムJrは病気で寝ている父の代わりにカリフォルニアから、事故で死んだホスの息子ジョッシュは父を訪ねて(母親はホスが死んだとは知らず、捨てられたと思って行方をくらましていた)、米西戦争で死んだジョーの息子ベンジ(『ボナンザ』でジョー役だったマイケル・ランドンの息子マイケル・ランドン・Jr)と娘サラはボストンから(母親は牧場生活になじめず子どもを連れてジョーと別居)、ポンデローサに集まるんですな。 最初はポンデローサ売却を考えていた孫たちは、ポンデローサの自然に触れ、ブランデンバーグの乱開発計画を知って、ポンデローサを守るために立ち上がり、カートライト一家が一致団結することになるのです。 『新ボナンザ・カートライト一家の絆』(1995年/監督:マーク・ティンカー) 孫たちは全員ポンデローサで暮らしており、傷を負ったフランク・ジェームス(レナード・ニモイ)を助けます。フランク・ジェームスは親友のブロンクを訪ねてきたのですが、ピンカートン探偵局のシリンゴに狙われているんですな。シリンゴは有名な無法者を殺すことを生きがいとしており、シリンゴが雇った殺し屋集団とカートライト一家の戦いとなります。シリンゴは実在の人物なのですが、ここでは性格異常者として描かれていましたね。 父親的存在のブロンクの他に、牧童のジェイコブ(リチャード・ラウンドトリー)とコックのバックシュート(ジャック・イーラム)が孫たちの相談相手として両作品に登場しています。ちなみに、マイケル・ランドン・Jrの他に『ボナンザ』でホス役だったダン・ブロッカーの息子ダーク・ブロッカーが新聞記者役で出演していますよ。ダーク・ブロッカーは太っていないので、ホスの息子のジョッシュ役はブライアン・レックナーね。孫たちのキャラは父親のキャラに似せており、『ボナンザ』を知る年代には楽しめる作品で〜す。 |