和製ホラー


『吸血髑髏船』(1968年・松竹/監督:松野宏軌)

金塊を積んだ貨物船竜王丸が五人組のギャングに襲われる。船医の西里(西村晃)と新婚旅行中だった依子(松岡きっこ)も他の乗組員と一緒に殺される。それから3年後、依子の妹・冴子(松岡きっこ)は恋人の望月(入川保則)と海で遊んでいて、海中で骸骨を発見する。二人は恐怖のあまり逃げ帰るが、霧の夜に海上を漂う貨物船を見た冴子は誘われるように貨物船へ。蝙蝠が舞う船長室で航海日誌を読んだ冴子は3年前の事件を知る。その日から五人組の江尻(内田朝雄)、小野(山本紀行)、辻(小池朝雄)が不審な死を遂げ、末次(金子信雄)は恐怖に怯えるが……

怪奇映画らしい異様なムードは溢れていますが、物語展開が辻褄のあわないことが多すぎます。下飯坂菊馬と小林久三がシナリオを担当していますが、二人の狙いが噛み合わなかったような気がしますね。

姉の怨霊が妹に乗り移って復讐していく展開だったらスッキリするのですが、西村晃に不気味演技をさせるために無理して話を作っています。ケロイド顔のギャングのボスは整形手術をしたのか思っていたのですが、ケロイド顔を隠すために仮面を被っていたなんでシラケましたよ。『オペラの怪人』のショックを狙った演出かな。

とにかく、ムードだけで作った怪奇映画で〜す。

 

『女優霊』(1995年/監督:中田秀夫)

映画撮影に使うフィルムに撮影したまま現像されなかったフィルムがあり、監督の村井(柳ユーレイ)はそこに映っていた映像に記憶があったんですな。村井はその映像が気になり調べます。村井の撮影現場では奇妙な出来事が相次ぎ、女優(石橋けい)が転落死する事故が発生します。撮影現場は古いスタジオで、フィルムに映っていた女優も転落死しており、怨霊がいたんですよ。

画像は、フィルムに映っていた女優。

低予算映画ですが、坪をおさえた演出で退屈しません。ラストのショック度は思ったほどありませんね。貞子のような怖さがないんです。得体のしれない怨霊という存在は、Jホラーの特質で、突然襲われる恐怖を確立しましたねェ。

 

 

 

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