スペースオペラ


スター・ウォーズ再見

NHKハイビジョンで“スター・ウォーズ”全作品をエピソード順に6夜連続放送。

世界中にスター・ウォーズ・フリークを生み、繰り返し観ているファンの多さは圧倒的ですね。私は、前期3部作(エピソード4〜6)は好きなんですが、後期の3部作(エピソード1〜3)はどうもね。エピソード3は未見のままなので、この機会に観ることにしました。それとクローン・ウォーズもね。

『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』は、エピソード2とエピソード3の間に位置します。CGアニメで製作された付録のようなものです。TVシリーズとして放送されていましたが、これは劇場版ね。

通商連合と共和国の戦争が激化する中、誘拐されたジャバ・ザ・ハットの子ども(ベビー・ハット)をアナキンと弟子(名前忘れた)が救出する物語です。アニメの顔は映画に似せていますが、安っぽさは否めません。話のタネ程度の内容ですね。

『スター・ウォーズ/シスの復讐』は、ダース・ベイダー誕生の物語。何故ダース・ベイダーが鎧に包まれていたのか、遅ればせながらわかりましたよ。それと、レイアとルークが離ればなれに育ったこともね。

後期の3部作(エピソード1〜3)は、前期3部作(エピソード4〜6)の辻褄あわせのために作られた感じで、思ったよりドラマ的厚みがありませんね。エピソード1が必要だったのか疑問です。

SFXのレベルは向上していますが、質感が乏しく薄っぺらな感じもします。ところで、前期3部作の白ヘル兵士はクローンだったんですね。単に黒ヘルが士官で、白ヘルは兵士だと思っていましたよ。せっかく、辻褄あわせをしてくれたので、前期3部作(エピソード4〜6)も観ました。

後期3部作(エピソード1〜3)の方がヨーダの顔の表情などSFX的に優れているのですが、宇宙軍艦・歩行型戦闘車などの質感や、着ぐるみによる宇宙人たちに温もりを感じて好きです。

前期3部作(エピソード4〜6)だけだと、エピソード4が一番まとまりがあり、少し手直しするだけで物語が完成しますね。

劇場で最初観た時に感じた全体的に平板で、ご都合主義的なフィナーレのエピソード6も、エピソード順に連続して観ると感動的でしたよ。エピソード1〜3がないと、ダース・ベイダーの“善”の心が唐突すぎますからね。劇場では観ることができないエピソード順用に編集されたラストの映像も嬉しくなりました。今後、観ることもないと思うので、満足、満足で〜す。

ところで、“スター・ウォーズ”がヒットしたのは、小難しいSFでなく、連続宇宙冒険活劇にしたことでしょうね。連続ものは、“ハリー・ポッター”や“パイレーツ・オブ・カリビアン”などで現在では一般的になりましたが、1977年(日本公開は1978年)に作られた1作目は、リスクが大きかったと思いますよ。

ルーカスは初めにユニヴァーサルへ脚本を持ち込んだのですが断られていますからね。21世紀フォックスがルーカスと脚本料5万ドル・監督料10万ドル+収益の40%で契約したのも、当らないと考えたからなんですね。当ると思っていたら脚本料と監督料を高くして、収益契約は結ばなかったでしょう。

“スター・ウォーズ”を初めて観た時、私は時代劇だと思いましたよ。それも東映時代劇ね。画面の構図からR2−D2とC−3POのコンビは『隠し砦の三悪人』の千秋実と藤原釜足に例えられますが、チビとノッポのイメージは私からすると堺駿二と渡辺篤の東映凸凹コンビです。ルーク=中村錦之助、レイア=高千穂ひづる、ハン・ソロ=大友柳太朗、チューバッカ=岸井明、オビ・ワン=山形勲、ヨーダ=大河内伝次郎、ダース・ベイダー=月形龍之介といったところですかね。他にもカルリシアン=加賀邦男、ボバ・フェット=原健作、ジャバ・ザ・ハット=上田吉二朗なのだよォ。

 

『アバター』(2009年/監督:ジェームズ・キャメロン)

最新映像技術を駆使した話題作だったので、やっぱり観ておかないとね。テレビの2D画面でも3Dを感じさせる臨場感がありましたよ。とにかく画像が綺麗です。シネスコが登場した時は、ロングショットによる横拡がりを活かす構図が多かったですが、3Dは奥行きを感じさせる構図が多くなりますね。3Dテレビの普及を考えて、これからはシネスコサイズでの映画は少なくなるんじゃないかな。

内容は、稀少鉱石を得るために自然豊かな星にやってきた人類と、自然と暮している原住民との戦いを描いたSFアクションです。白人とインディアンとの戦いを描いた西部劇と同じですよ。違っているのは、悪い奴は環境破壊する人類ということですかね。この前観た『パブリック・エネミーズ』では目立たなかったスティーブン・ラングが、ムキムキ・マッチョマンの悪軍人で、CG原住民を相手に大暴れ。主役のサム・ワーシントンより存在感がありました。

それにしても、ジェームズ・キャメロンの映画作りは、豪華スペクタクルの巨匠と云われたセシル・B・デミルに似たところがありますね。役者の細かな演技なんて二の次で、映像の面白さを追求した娯楽大作で〜す。

 

『アバター・オブ・マーズ』(2009年/監督:マーク・アトキンス)

原作はエドガー・ライス・バロ−ズの『火星のプリンセス』で、原題もそのままでした。ところが邦題は、ヒット商品便乗のような訳の分からないものになっています。『火星のプリンセス』は世界的に有名なSF冒険小説の古典ですが、邦題を考えた人は、そんなことは知らないんだろうなァ。

米特殊部隊のジョン・カーター(アントニオ・サバト・ジュニア)は、アラブテロの襲撃にあって重傷を負い、軍の体外離脱実験で分身が火星に送り込まれます。彼はそこで火星人同士の戦争に巻き込まれ、地球人そっくりの美しき火星女王デジャー・ソリス(トレーシー・ローズ)を助けて火星人絶滅の危機を救うのです。

原作は元南軍の英雄ジョン・カーターがアパッチ族の襲撃を受けて洞窟に逃げ込み、異次元スリップして火星にやってくるんですが、物語展開は原作に則していますね。だけど、絶世の美女であるデジャー・ソリスがとうのたったトレーシー・ローズでは侘しくなります。大気製造工場が町工場に毛の生えた程度の規模だし、チーピーさの目立つトホホ作品で〜す。

 

 

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