懐かしのB級SF映画


『深海の軍紳』(1965年/監督:ジャック・ターナー)

ヴィンセント・プライス

鉱山技師の水死体が海岸に打ち上げられ、その死因を調べるためにタブ・ハンターが、海沿いの断崖の上に建つ屋敷を訪れる。屋敷に住むスーザン・ハートはハンターと仲良くなるが、ハートは謎の半魚人に拉致される。ハンターは屋敷の秘密の抜け道を見つけ、ヴィンセント・プライスが支配する海底都市にたどり着くが……

1950年代から60年代前半におけるB級ホラー映画においてヴィンセント・プライスの存在は大きいですね。どうしようもない駄作が、それなりに鑑賞に耐えるのは、名優プライスの演技に負うところが多いんですよ。

ハマー・ホラーのクリストファー・リーやピーター・カッシングと比べると、一般的に認知度が低いのですが、最近再評価されてきたようで嬉しいことです。

スーザン・ハート

この作品には、私の記憶に残っている俳優が二人出演していまして、タブ・ハンターとスーザン・ハートです。

タブ・ハンターは、『くたばれ!ヤンキース』で、グエン・バードンの誘惑を受けるたくましき二枚目ぶりが印象的だったのですが、後の作品はダイコン演技が目立つB級作品(この作品もそうですが)ばっかり。二枚目だけでは、一流になれないということか。

スーザン・ハートは、『ビキニマシン』(ヴィンセント・プライスがマッド・サイエンティストで主演)で、見事なプロポーションを見せてくれました。感受性の強い高校時代に観たので、すぐに名前を覚え、記憶に残っているんですね。IMDbで出演作品を調べたら、60年代にビーチ物に出演した後、後年はポルノまがい作品ばかりに出演しているんですよ。プロポーションだけでは一流になれないということか。

 

『蝿男の逆襲』(1959年/監督:エドワード・バーンズ)

『蝿男の恐怖』の続編。前作で実験により蝿男となった為、愛妻の手によってプレス機で自ら圧殺した科学者の息子が、父の研究を引き継いで物質電送機を完成させる。しかし、その研究を狙う悪党によって彼自身も父と同じような蝿男になってしまうが……

蝿男の造形や人間蝿は、既に前作でお目にかかっているのでショック度は薄れています。その分、新しいアイデアによるショック演出が必要なのですが、人とモルモットとの合体シーンがある程度で、他には何もない。凡作ですね。

ヴィンセント・プライスが息子の伯父役で前作に続いて出演。息子役のブレッド・ハルゼーは、後年、モンゴメリー・フォードの名でマカロニ・ウエスタンの『野獣、暁に死す』に主演していま〜す。

 

『蝿男の呪い』(1965年/監督:ドン・シャープ)

ブライアン・ドンレビー

これって、シリーズなのかなァ。祖父が蝿男で悲劇的な死をとげ(『蝿男の恐怖』)、父は蝿男になっても、蝿と人間に分離することに成功する(『蝿男の逆襲』)が、息子は蝿の遺伝子を受け継いだために、急激に老齢化していく。

父親がブライアン・ドンレビーで、ブレット・ハルゼーと同じ人物ということになるんですね。でもって、相変わらず物質電送機の研究をしており、屋敷には実験で失敗して怪物となった助手が閉じ込められている。警察に追われて、モントリオールからロンドンへ物質電送機を使って逃げようとしたら、ロンドン側の電送機が壊されていて、ドンレビーは何処にいったのでしょう。

蝿男は出てきませんが、三世代に渡って物質電送機を研究した科学者一家の悲劇で〜す。

 

世紀の謎 空飛ぶ円盤地球を襲撃す』(1956年/監督:フレッド・F・シアーズ)

異星人が地球を侵略する典型的なB級SF。

突然、空飛ぶ円盤がやってきて、のっぺらぼうの宇宙服をつけた異星人が、近づいてきた軍人をアッというまに消し去ります。この辺の特撮はチャチなのですが、円盤からの破壊光線で爆破される建物や、軍の科学者が発明した新兵器(これもチャチ)で円盤がグラつきながら墜落するシーンは、レイ・ハリーハウゼンらしく当時としては素晴らしい特撮技術ですね。

現在の技術と比較すると可愛いものですが、アナクロニズム的な可笑しさを愉しむことができました。

ちなみに、暴風雨や洪水のシーンは、ニュース映画からの使いまわしで〜す。

 

『地球の静止する日』(1951年/監督:ロバート・ワイズ)

宇宙船がワシントンに着陸し、宇宙連合の使者クラトウ(マイケル・レニー)が現れる。彼は警備の兵士に撃たれて負傷し入院するが、病院から逃げ出す。宇宙の平和を脅かす核開発を中止させるために、全世界の電力を30分とめてしまうが……

メッセージ性の強い、特撮よりもドラマ重視のSF映画。流石ロバート・ワイズで、サスペンス溢れるドラマ展開は最後まで緊迫感があります。

画像のような煽情的なシーンはありませんよ。ロボットは出てきますが、動いている時は少なく、動いても2〜3人の兵士を相手にするだけで大人しいものです。

マイケル・レニーを助ける未亡人役でA級スターのパトリシア・ニールが出演していましたが、今イチ冴えません。ゲーリー・クーパーとの恋の破局があった頃の作品なんですかね?

 

『水爆と深海の怪物』(1955年/監督:ロバート・ゴードン)

マシューズ艦長(ケネス・トビー)が指揮するテスト航海中の原子力潜水艦が、海中で謎の物体と接触し船体を損傷する。船体から放射能と生物の細胞が発見され、カーター博士(ドナルド・カーティス)とジョイス教授(フェイス・ドマーク)が調査すると、水爆実験のためにミンダナオ海溝から出現した巨大タコであることが判明する。巨大タコは貨物船を襲い、オレゴン海岸に現れる。サンフランシスコに非常警戒が敷かれるが……

主演はこの手のB級SF映画でお馴染みのケネス・トビーです。

日本で公開された時は45分の短縮版でしたが、BS2で放映されたのは完全版でした。タコの出現シーンが、サスペンスがあって結構見応えがありましたね。

サンフランシスコの象徴である金門橋をタコが破壊する筋書きを聞いて市は協力を拒否、群集シーンは合成映像で対応したそうです。この特撮を担当したのがレイ・ハリーハウゼンで、資金不足でタコの足が6本になったとか……

 

 

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