忍者秘帖・梟の城

(1963年・東映)


(スタッフ)

監 督:工藤栄一

原 作:司馬遼太郎

脚 本:池田一朗(隆慶一郎) 

撮 影:鷲尾元也

 

(キャスト)

葛篭重蔵 ………… 大友柳太朗

小萩   ………… 高千穂ひづる

風間五平 ………… 大木実

木さる  ………… 本間千代子

摩利洞玄 ………… 戸上城太郎

下柘植次郎左衛門……原 健作

雲太郎  ………… 河原崎長一郎

 

風が騒ぐ! 雲が乱れる!
         地獄をめざして進む忍者の群れ!!

 

(感 想)

1960年代初めに忍者ブームがありました。小説、マンガ、映画、テレビの世界で、いろいろな忍者が活躍しました。

映画においては、1962年に山本薩夫監督の『忍びの者』(主演:市川雷蔵)が忍者の世界をリアルに描いて評判となり、その後の忍者映画に大きな影響を与えました。

『梟の城』は司馬遼太郎の小説を映画化したものですが、小説の方は『忍びの者』(原作は村上知義の小説)よりも早く発表されています。『梟の城』が映画化されることになったのは、『忍びの者』がヒットしたからでしょうね。

信長の伊賀攻めで、秀吉軍に両親と妹を殺された葛篭重蔵は、秀吉の命を狙うが果たせないままに10年が過ぎていた。そこへ師匠の下柘植次郎左衛門が訪れ、個人としてでなく組織としての秀吉暗殺を勧められる。重蔵は忍者の仕事として秀吉暗殺を引き受ける。 次郎左衛門を雇ったのは堺の豪商・今井宗久だが、その背後には徳川家康がいるらしい。指定された場所へ行くと宗久の使いという小萩が待っていた。小萩は宗久の養女となって、家康の動静を探る甲賀の忍者だった。重蔵は小萩がくノ一であることを見破るが、互いに惹かれ合うものを感じていた。重蔵と同じく次郎左衛門の門弟だった風間五平は、伊賀の掟を破り、栄達を求めて京都奉行に仕えていた。そして、甲賀忍者の摩利洞玄と協力して、重蔵たちの行く手を阻む……

篠田正浩監督がリメイクした作品と比べると、CGでは味わえない本物のチャンバラ世界がありますね。ただ、内容的にはいろいろ不満があります。

昔、映画館で観た時には、それまでの東映時代劇の舞踊的チャンバラと違うリアリズム・チャンバラに驚き、リアリズム忍者に驚いたものですが、あらためてビデオで観ると、昔の驚きがないんですよ。特に忍者同士の戦いは、『忍びの者』よりこちらを先に観たこともあって、メチャ凄かった印象が残っているのですが……。

大友柳太朗や戸上城太郎の立回りは年季が入っているだけに見応えはありますが、忍者の殺陣としては少し重い気がします。それにしても戸上城太郎のワイヤー・アクションにはビックリ。あのデカイのが飛ぶんですからね。(笑)

脚本面では、五平の変節を憎む許婚者の木さるの扱いが原作と異なってハッピー・エンドとなっており、忍者世界の非情さと反比例して軽すぎる感じがします。本間千代子では仕方ないかなあ。

何やかや云っても、舞踊チャンバラからリアリズム・チャンバラへ移行する過度期の作品として、忍者+集団時代劇の傑作『十七人の忍者』に継がる先駆的作品として、もっと注目されてよい作品であることには間違いありません。

 

 

 

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