(1960年・東映)
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(スタッフ) 監 督:松田定次 脚 本:小国英雄 撮 影:川崎新太郎 音 楽:富永三郎 (キャスト) 小原庄助 ……大友柳太朗 お光 ……美空ひばり 信姫 ……丘さとみ 松平容保 ……千秋実 駒田主水 ……山形勲 天野忠兵衛……多々良純 甚兵衛 ……薄田研二 井筒屋 ……柳永二郎 長阪将堅 ……戸上城太郎 無私無欲・ケタがはずれたお人好し! ご存じ庄助さんの笑いとスリルの武勇伝!! |
(感 想) 会津の郷士・小原庄助は、家訓である朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、身代は潰したが、爺やの甚兵衛と、その孫娘のお光に慕われて毎日を平和に暮していた。 ある日、藩主・松平容保が庄助の人がらを見込んで、男勝りの妹・信姫の武術指南役として庄助に出仕を命じた。 駒田主水と天野忠兵衛という二人の押しかけ居候を抱える庄助は、お城勤めを承諾するが、庄助には女が近づくと癲癇を起こすという奇病があり、信姫を相手にブザマにひっくりかえってしまう。 女はダメでも化け物なら平気で、下屋敷に出没する一ツ目小僧と三ツ目大入道をこらしめた庄助は、今度は目付として城下に忍び込んでいる幕府方と勤皇方の密偵の探索を命じられ…… 大友はんは、生真面目でバカ正直なキャラクターがよく似合うんだよなァ。 女を見て、ひっくりかえるなんてバカバカしい設定だけど、大友はんだと納得感があるんですよ。 下屋敷にやって来た信姫を化け物と間違え、説教するんですが、これが大友はんらしくていい。 「お前もつまらん者に化けてきたものだな。信姫は自分より文武に劣る夫のもとには嫁に行かぬと言ってスネているそうだが、文といっても紫式部ほど才があるわけでなし、武といっても巴御前とは比較になるまい。そういう中途半端なヤツに限って思い上がるんだ。その思い上がりのために女としての大切なものを失い、カタワ者になっている」 かなり差別的発言だけど、男の気持ちを代弁していると思いますよォ。 |
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信姫は庄助に恋心を抱き、庄助を好きなお光は心配でたまりません。でも庄助の心は、知らず知らずのうちにお光の方にあったんですね。だって、お光に対しては癲癇が起こらなかったのですから。 「女の中で、お光とだけ話しができたのは、女と思っていなかったからでなく、親しく話しができるほど心が通いあっていたのかもしれない」という庄助の言葉に、お光は信姫に対する嫉妬の気持ちがなくなります。 ホントに臭〜い恋物語です。私は、この臭さがたまらなく好きなんですよ ラストの大立回りは、少しバタバタして、大友はんの持ち味の豪快さがカラ回りしている感じです。それでも凡百のテレビ時代劇のチャンバラより格段に優れていますけどね。 最近のコセコセした現実から解放されて、こんな大らかな時代劇を観るのも良いものですよ。 |
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