(1958年・東映)
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(スタッフ) 監 督:松村昌治 脚 本:松村昌治 音 楽:万城目正 ※挿入歌 「恋は火のようなものなのね」 by コロムビア・ローズ(中原ひとみの吹替え) 「うかれ燕」 by 福田弓子(丘さとみの吹替え) (キャスト) 三鷹彦四郎……大友柳太朗 松姫……………大川恵子 竹姫……………桜町弘子 梅姫……………丘さとみ 八重……………中原ひとみ 小百合…………雪代敬子 浅岡……………浪花千栄子 松平新七郎……千秋実 安西駿河守……三島雅夫 原野九右衛門…志村喬 尾形主膳………山形勲 山科玄蕃………原健策 沢野兵馬………徳大寺伸 うぐいす娘と青空侍! |
(感 想) 『鳳城の花嫁』に続く、“花嫁シリーズ”第2弾。 鶯城には、松姫、竹姫、梅姫の三人の美しいお姫様がいまして、演じているのが、当時“東映城の三大お姫さま”と呼ばれた、大川恵子、桜町弘子、丘さとみの三人なんですね。もうこれだけで、観る価値は十分あります。 でもって、松姫に将軍からのお声がかりで、松平新七郎との縁談が持ち上がります。城中では、新七郎歓迎のために、竹姫は踊りを、梅姫は歌を、腰元たちと練習しています。こういう愉しさが、最近の時代劇にはないんですよねェ。 しかし、松姫は男嫌いの堅物で、女たらしとの噂のある新七郎とのお見合いなんて願い下げで、顔も合わしたくないと思っているんですね。 この縁談を断って、お家取り潰しになっては大変と、城主・安西駿河守は、家老の九右衛門や次席家老の尾形主膳と相談して、松姫が流行り病に罹ったことにして、城の裏山にある尼寺に隠します。そして、松姫の護衛として、剣をとっては城中一だが、女嫌いの堅物として評判の高い三鷹彦四郎が派遣されます。 なにしろ九右衛門の娘・小百合が言い寄ってきても、盆栽いじりをして適当にあしらう始末。大友はんの生真面目なキャラクターにピッタリ。 |
左:桜町弘子 中:丘さとみ 右:大川恵子 |
そうこうするうちに、新七郎が鶯城にやってきて、歓迎の宴が催されます。この宴ショーは、この作品の最大の見どころですぞ。新七郎でなくとも、竹姫と梅姫の踊りにポッとしますよ。 新七郎は妹姫を気に入るのですが、妹がこんなにキレイなのだから、姉の松姫はもっとキレイだろうと思うんですね。それで、どうしても松姫の顔を見たいと思うんです。 そこで出てくるのが、次席家老の尾形主膳。天守閣の遠眼鏡で、新七郎に松姫を見せようと画策します。主膳は、縁談を壊して安西家を取り潰そうとしている幕府の隠密だったんですよ。そして、隠密仲間の山科玄蕃と、家臣の沢野兵馬に松姫を攫うように命じます。 彦四郎の友人でもあり、八重の恋人でもある兵馬が、主膳一味に加わる動機が弱いのが難点ですね。徳大寺伸だから、悪党一味だと無条件で反応できる人は、東映時代劇をリアルタイムで観続けていた人だけでしょう。 |
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彦四郎には護衛の他に、松姫の腰元・八重と恋人同士の芝居をして、松姫に恋の楽しさを教える役目があり、八重と手をつないでラブシーンを演じます。その様子を覗き見していた松姫が兵馬に攫われ、それに気づいた彦四郎は一味を追いかけます。馬による追跡と、姫を取り返した後のチャンバラ。大友はん、ならではのスケールの大きいアクションです。 馬から落ちた松姫の治療のため、彦四郎は松姫と温泉宿に逗留します。松姫はケガなんかしていないのですが、彦四郎と一緒にいたいが為に、仮病をつかっているんですね。看病をしているうちに、彦四郎も松姫に心が惹かれはじめ…… 一方、新七郎は、偶然、竹姫と梅姫の会話を盗み聞いて、松姫が自分を好いていないことと、竹姫が自分に思いを寄せていることを知り、結婚相手は竹姫に決めます。企てが全て破れた主膳は、帰途につく新七郎の行列を襲うことを計画します。そして、松姫襲撃のおりに、彦四郎に顔を見られ、自分たちの秘密を知りすぎた兵馬を、玄蕃が斬り、崖下に落とします。ところが、都合よく川で釣りをしていた彦四郎が助けるんですな。兵馬から主膳の悪計を聞いた彦四郎は、馬をとばして新七郎の行列へ。そして、主膳一味をバッタ、バッタと斬りまくり…… とにかく、ハッピー、ハッピーな明朗時代劇です。リアリズムなし、芸術性なし、人生哲学なし、考証デタラメ、だけど映画の愉しさはタップリありますよ。 |
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