右門捕物帖・まぼろし灯篭の女

(1961年・東映)


(スタッフ)

監 督:工藤栄一

原 作:佐々木味津三

脚 本:鈴木兵吾

撮 影:吉田貞次

音 楽:鈴木静一

 

(キャスト) 

右門   ……大友柳太朗

伝六   ……堺駿二

敬四郎 ……進藤英太郎

神尾元勝……黒川弥太郎

奈美   ……青山京子

静    ……桜町弘子

平岩和泉……水島道太郎

甲斐達也……平幹二郎

南雲堂 ……沢村宗之助

笠井久平……里見浩太郎

ふみ  ……北条喜久

櫛巻お由……丘さとみ

 

大江戸白夜が殺人舞台!
      藩金紛失をめぐって大友右門の名推理!!

 

(物 語)

 備前弥一郎という浪人が、手拭に包んだ石で殺されるという事件が発生する。弥一郎の妻・奈美と妹・静、それに通りかかった易者の南雲堂が、現場から逃げ出す職人風の男を目撃していた。弥一郎は掛川藩の侍だったが、三月前に藩金1万両が盗まれ、その責任をとって浪人となっており、右門は掛川藩の江戸家老・平岩和泉から、犯人は藩から逃亡した甲斐達也だと聞かされる。そして、その職人風の男こそ甲斐達也だったが……

 

(感 想)

右門の後輩同心の笠井久平とふみの恋模様や、右門にベタ惚れの女スリ・櫛巻お由のサイドストーリーが物語の半分ぐらいの比重を占め、謎解きはたいしたことありません。例によって悪党たちが何もしなければ証拠がないのに、勝手に動き回って墓穴を掘るのですから。

丘さとみは、暗いキャラクターより明るいキャラクターの方が似合いますね。この作品では持ち味が出ていたと思います。

大友右門は駄洒落などを言ったりして、少し喋りすぎ。セリフに難のある大友はんを喋らせてどうするんだ。“奉行所に勤めてから半年間、誰とも口をきかなかった”という原作のキャラクターが、脚本で活かされていません。

だけど、所作はキレイですよ。十手を構えた時の形が決まっています。アラカン右門の十手より大友右門の十手の方が長いので、見映えがするんですね。腰に差している時の物は、普通サイズなので、立回りやアップ用に作られた特注十手のような気がします。

時代考証も間違いが多いのですが、娯楽映画なので、それは是としましょう。例えば、あば敬が手柄を立てて、与力に出世することを考えているのですが、同心から与力になることは身分制度上、絶対にありえません。でも、あば敬の行動は、サラリーマン社会で生きている私たちにとって、嫌味な上司ということで共感できるキャラクターなっているんですね。

進藤英太郎のあば敬は、愛すべき憎まれ役として、“若大将シリーズ”における田中邦衛の青大将と同じくらい、シリーズの魅力の源泉になっていま〜す。

 

 

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