西部劇ランダム


『追跡』

原題:Pursued(製作:1947年)

監督:ラオール・ウォルシュ、脚本:ナイブン・ブッシュ、撮影:ジェームズ・ウォン・ホー、音楽:マックス・スタイナー

 

メドラ・コラム夫人(ジュディス・アンダーソン)に引きとられた孤児のジェブ・ランド(ロバート・ミッチャム)は、メドラの実子アダム(ジョン・ロドネイ)とソーリー(テレサ・ライト)と共に育てられる。ジェブとソーリーは愛しあうようになるが、ジェブには子供の頃の記憶がなく、何かに追いかけられ狙われているような気がして落ち着かなかった。米西戦争がはじまり、従軍したジェブは英雄となって故郷に帰ってくる。しかし、アダムとは不仲になり……

一般的にニューロティック・ウエスタン(サイコ・ウエスタン)と云われている心理描写に重点をおいた西部劇です。

時おりジェブの脳裏に浮かんでくる銀の拍車のついた黒い靴が、何かに追いかけられ狙われているというトラウマとなっているんですね。ジェブを狙っているのは父や弟を殺した男(ディーン・ジャガー)なんですが、ジェブ一家に対する憎しみが異常で、普通の感覚ではついていけません。ジェブとアダムとの確執は血のなせる業という解釈なのかなァ。

ラオール・ウォルシュの演出テクニックには見るべきものがありますが、内容的には今イチすっきりしませ〜ん。

 

『無頼の谷』

原題:Rancho Notorious(製作:1952年)

監督:フリッツ・ラング、原作:シルビア・リチャーズ、脚色:ダニエル・タラディッシュ、撮影:ハル・モーア、音楽:エミール・ニューマン、歌:ウィリアム・リー

 

二人組の強盗に恋人を殺されたヴァーン(アーサー・ケネディ)は、仲間割れして死にかけている強盗の片割れから、もう一人が「チャカラック」へ逃げ込んだことを知らされる。ヴァーンはその言葉をたよりに旅を続け、フレンチ・フェアモント(メル・ファーラー)という無法者がその場所を知っていることをつきとめる。ヴァーンはフレンチが勾留されている留置所に入り、フレンチと一緒に脱獄する。フレンチはチャカラック牧場へヴァーンを連れていった。チャカラック牧場の女主人はオルター・キーン(マレーネ・ディートリッヒ)といい、無法者たちを匿っては彼らの上前をはねていた。フレンチはオルターの愛人で、チャカラック牧場のボス的存在だったが……

フリッツ・ラングらしい少し捻くれたところのある西部劇です。何しろ主演が善人よりも悪役が似合うアーサー・ケネディですからね。

仇を捜し求める主人公が、チャカラック(正しくはチャック・ア・ラック)という唯一の手がかりからマレーネ・ディートリッヒの存在をつきとめ、彼女の愛人のメル・ファーラーに近づき、仇がいる彼女の牧場にやってくるんですが、手がかりを求めて訊きまわった色々な人物に語らせることによってディートリッヒの人物像を描くというのは面白い趣向です。

この作品の時のディートリッヒの年齢は48歳。伝説の女にふさわしい色気を発散さしていましたね。メル・ファーラーは早射ちガンマンという設定ですが、ダブルアクションの拳銃をブッ放すだけで西部男らしさが全然ありません。ミスキャストだなァ。

ミスキャストといえば、ジャック・イーラムとつるんで背後からファーラーを射とうとする無法者が、子どもの頃の我らがヒーロー『スーパーマン』のジョージ・リーブスでした。『スーパーマン』で人気の出る前の出演作なんですが、『スーパーマン』のイメージが焼きついているので、今見ると全然無法者に見えませ〜ん。

 

 

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