西部劇クラシックDVD


「The Westerns 名作コレクション」と銘打った5枚組DVDボックスが、定価の半額でネット・オークションに出品されており、『拳銃無宿』以外は未見だったこともあり、入札したら競争者がなく落札できました。

画像がよくないことは、知人から聞いて知っていましたが、確かにビデオ並で、DVDのメリットは出ていませんでしたね。おまけに内容も……

 

『惨劇の砂漠』(1931年/監督:ハワード・ヒギン)

ウィリアム・ボイドとクラーク・ゲーブル

ホルブロックとキャメロンは親友同士だったが、砂漠で拾った赤ん坊をホルブロックが育てることになったことから仲たがいする。

赤ん坊は成長してりっぱな若者(ウィリアム・ボイド)となり、キャメロンの娘(ヘレン・トゥエルブトリース)と愛し合うようになる。

二人は、ホルブロックとキャメロンを昔の親友同士に戻すべく腐心するが、キャメロンの鉱山を狙う流れ者のランス(クラーク・ゲーブル)に邪魔され……

 ウィリアム・ボイド主演とあったので、てっきりホパロング・キャシディかと思って期待したのですが、違っていました。

内容的には派手な射ち合いもなく、退屈な作品。ヒロインもそれほどの美人じゃないし。おまけに、オリジナル原盤が痛んでいるせいか、映像もよくありません。

それでもサイレント西部劇のスターだったウィリアム・ファーナムや、若き日のクラーク・ゲーブルを見ることができたので是としましょう。

 

『カリフォルニアの星のもと』(1948年/監督:ウィリアム・ウィットニー)

映画スターのロイ・ロジャースが、自分の牧場へ帰ってくる。悪辣な家畜業者が野生馬を乱獲している現場を目撃したロイは、彼らから野生馬を救出する。逆恨みした悪党たちは、ロイの愛馬トリッガーを盗もうと画策し……

子供と動物に優しいロイ・ロジャースのお子様ウエスタン。

サンズ・オブ・ザ・パイオニアズをバックに自慢のノドをたっぷり聴かせてくれ、投げ縄の妙手も見せてくれます。それに、名犬トランプがトリッガー以上の演技を見せてくれ、犬好きには嬉しくなります。

だけど、お金を出してまで観たいとは思わないなァ。テレビの普及で、この手のB級西部劇が消えていったのは当然でしょうね。

 

『開拓者』(1936年/監督:B・リーブス・イーソン)

見張り番が殺され、ダムの水門が壊されて苦境に陥っている開拓者の町へ、ジーン・オートリーが牛を売りにやってくる。

開拓者の娘(フランシス・グラント)と仲良くなったオートリーは、相棒のスマイリー・バーネットとダムの見張り番になることを志願するが……

ジーン・オートリーは、主題歌として使われている「レッド・リバー・バレー」を歌うだけだし、名馬チャンピオンも見せ場なし。

DVD化するだけの価値ある作品とは、とうてい思えませんねェ。

 

『サンダウナーズ』(1950年/監督:ジョージ・テンプルトン)

トム・クラウド(ロバート・スターリング)は、弟のジェフと父親が残した牧場を営んでいた。ある日、ウィチタ・キッドと呼ばれている無法者の兄ジェームズ(ロバート・プレストン)が帰ってきて、牧場を手伝いはじめる。しかし、ジェームズのやり方は強引で周囲に波風を立てるものだった。ジェフがジェームズに感化されるのを危惧したトムは、ジェームズが保安官を殺すにおよんで、対決することを決意する……

内容的には面白みのない西部劇ですが、『荒野の決闘』のキャシー・ダウンズが出演していたのが嬉しかったですね。トムにほのかな想いを寄せる人妻役で、クレメンタインとは違った美しさがありました。

それにしても彼女、作品にめぐまれていないんですよねェ。私が彼女を見た作品となると、他には『戦慄!プルトニウム人間』だけだもんなァ。

DVDジャケットの解説には、彼女のことについて一言もふれておらず、ジャック・イーラム、チル・ウィルスといった西部劇では馴染みの連中が出演しているのですが、それについても言及していません。おまけに、ロバート・プレストンとロバート・スターリングの役名を間違えているし、フレッド・ジンネマンの『サンダウナーズ』を、この作品のリメイクなどと誤ったことまで書いています。西部劇を知っている人に解説を書かせて欲しいですね。

キャシー・ダウンズ

 

『拳銃無宿』(1946年/監督:ジェームズ・E・グラント)

左:ジョン・ウェイン

中:ハリー・ケリー

右:ゲイル・ラッセル

ラレド・スティーブンス(ブルース・キャボット)との土地争いで傷を負って逃げてきたクワート・エバンス(ジョン・ウェイン)は、クエーカー教徒のウォース一家に助けられる。娘のペニー(ゲイル・ラッセル)はクワートに心惹かれ、クワートもペニーを愛するようになる。ウォース一家のために水問題を解決したクワートは、宿敵スティーブンスが牛泥棒しているのを妨害する。ペニーのために、拳銃をすて家庭の人になる決意をしたクワートだったが、ペニーと一緒にいるところをスティーブンス一味に襲われ……

無法者が信仰厚い一家の清純な娘に愛され、拳銃家業から足を洗う物語。

オープニングのモニュメントバレーをバックにした追跡シーンや、牛のスタンピード、酒場での乱闘など、西部劇らしいシーンは盛り込まれていますが、内容は平凡です。

「男は銃で殺すが、女は目で殺す」のセリフがあるように、ヒロインのゲイル・ラッセルの魅力が全てですね。当時の西部劇ファンは、『荒野の決闘』のキャシー・ダウンズと、このゲイル・ラッセルに痺れたそうですよ。

駅馬車強盗の犯人を捜しにきた連邦保安官役のハリー・ケリーと、ペニーの母親役のアイリーン・リッチがいい味を出していました。

 

 

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