ミュージカル西部劇


『掠奪された七人の花嫁』(1954年/監督:スタンリー・ドーネン)

オレゴンの山奥に住む農夫のアダム・ポンティピー(ハワード・キール)は、妻を探しに町に行き、レストランで働くミリー(ジェーン・パウエル)に一目惚れし、口説いて山へ連れ帰る。アダムには粗野な6人の弟がおり、ミリーはガッカリするが、すぐに気を取り直して弟たちに世間のマナーを教え込む。しかし、弟たちは恋人が欲しくなり、祭りの日に惹かれあった娘たちをさらってくる。峠の道が雪崩で塞がれ、冬の間、彼女たちはミリーと過すことになり……

まさに映画のためのミュージカルです。シネマスコープの画面いっぱいに、若さと生命感と活力があふれ、マイケル・キッドの振付によるダンスが圧倒的迫力で迫ってきます。

ポンティピーの6人の弟が6人の娘と踊り、6人の町の若者と奪い合うダンス会から、納屋作り競争における乱闘までの祭りのシーンは横に広いシネスコ効果が最大限に活かされています。ビスタサイズで撮影された別バージョンがDVD特典として付いているのですが、それと見比べることでシネスコ演出の素晴しさがはっきり分かりました。

ハワード・キールやジェーン・パウエルの歌も良いですが、6人の弟に、ラス・タンブリンをはじめとする踊りの名手を揃えたのが、何と言っても成功の要因ですね。彼らの踊りを見ているだけで嬉しくなるので〜す。

 

『ハーヴェイ・ガールズ』(1946年/監督:ジョージ・シドニー)

スーザン(ジュディ・ガーランド)は顔も知らない文通相手と結婚するために西部の町サンドロックへやってくる。初めてあった男(チル・ウィルス)は想像と大違い、アルハンブラ酒場の経営者トレント(ジョン・ボディアク)が代筆していたのだ。婚約を解消したスーザンはハーヴェイ・レストランで働くことにする。ハーヴェイ・レストランは、がらの悪い西部の人たちにきちんとした食事のできる場所を用意していた。スーザンと同僚のウエイトレスたちは、アルハンブラ酒場の女たちと対立関係に入る。スーザンはトレントと対峙するうちに愛し合うようになり……

西部を舞台にしたミュージカル『オクラホマ』が成功したことと、少女スターから本格的ミュージカル・スターとしてジュディ・ガーランドを売り出すためにアーサー・フリードがサミュエル・ホプキンズ・アダムズの小説をミュージカルとして製作したものです。当初は、ラナ・ターナー主演で普通の映画にする予定だったとか。

レイ・ボルジャー、アンジェラ・ランズベリー、シド・チャリシも出演しており、歌も踊りもタップリあるのですが、印象に残るものといえばパーティー場面でのレイ・ボルジャーのタップダンスと、ハーヴェイ・ガールズが列車でサンドロックの町に到着する場面での「アチソン、トペカ、サンタフェ」ぐらいですね。

それにしても二挺拳銃のジュディ・ガーランドが酒場で荒くれ男たちを威嚇するところは可愛かったなァ。

 

 

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