『美空ひばりのラッキー百万円娘』(1949年・新東宝/監督:斎藤寅次郎)
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美空ひばりの映画出演第2作目。公開当時の題名は『びっくり五人男』です。 孤児のひばりが、古川ロッパ、花菱アチャコ、横山エンタツ、川田晴久、木戸新太郎に親切にされて、戦地から引きあげてきた父と巡り会うまでの、笑いあり涙ありの物語。 本来は、お涙ちょうだいのシーンなのに、ひばりのあまりにも臭い演技に笑ってしまいましたよ。自然にリアクションできるのが名子役なんですが、ひばりは生意気に芝居しているんです。つまり、子役の演技じゃないんですね。もって生まれた才能ですかねェ。 それと、歌は巧さね。岡晴夫の「憧れのハワイ航路」や、笠置シズ子の「ジャングル・ブギ」なんかを歌っているのですが、とても12歳の少女の歌唱じゃないですよ。 こんな天才を子に持つと、母親が付きっきりになるのも無理はない。 |
『二人の瞳』(1952年・大映/監督:仲木繁夫)
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休暇を利用して日本に駐在している父親のところへやって来たアメリカの少女(マーガレット・オブライエン)と、浮浪生活をしている日本の少女(美空ひばり)の友情物語です。 当時の世相を反映した浮浪児ものだが、内容はどうってことのない凡作。ひばりの歌を聴くだけで満足しましょう。挿入歌の「夢は天国」は良いですよ。 日米天才少女の競演ということで話題になりましたが、ひばりの存在感ばかりが目立って、成長したマーガレット・オブライエンは全く魅力なし。天才子役も“ただの人”になっていましたよォ。 |
『歌え!青春、はりきり娘』(1955年・東宝/監督:杉江敏男)
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ひばりソックリの新米バスガールが、別れた両親(藤原鎌足と清川虹子)の仲を元に戻すという他愛ないお話です。 音痴の主人公がひばりにレッスンを受けて、歌が上手くなって先輩のバスガール(寿美花代)と運転手(小泉博)の結婚式で披露すると、「わあ〜、ひばりソックリ!」と同僚たちが拍手喝采。本人だから当り前で〜す。 バスの初乗りが10円。回数券を百円札で買うシーンがあったのですが、百円札の肖像画は板垣退助でしたっけ? バスがエンコ(死語かな)して、牽引車が来るまで、恋人同士のバスガールと運転手が仲良くデュエット。ノンビリした時代でした。 |
『娘の中の娘』(1958年・東映/監督:佐伯清)
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母を亡くした後、父(山村聰)と弟(小野透)の世話をしてきた娘(美空ひばり)が会社勤めをするようになり、父の再婚や、自分の恋をめぐって他愛ない話が展開します。 ひばりが実によくできた娘で、父親の恋を祝福し、父親の恋に悩む弟を説得するんですな。普通は娘の方が悩むのと違うかなァ。 高倉健は、大学時代はラグビー部のキャプテンだったという男らしい男で、友人の恋の悩みを解決してやり、ひばりを巡って、大学時代からのライバルでもある恋敵とラグビーの試合で決着をつけま〜す。 会社の屋上でフラフープをしていたり、都電が走っていたりと、懐古趣味を満喫することができました。それと、当時は商社の部長クラスで、住込みの女中(お手伝いさん)を雇っていたんですねェ。 ひばりと高倉健のデュエットも聴けて満足、満足なのだ。 |