マリリン・モンローなのだ


『七年目の浮気』(1955年/監督:ビリー・ワイルダー)

九州の片田舎に出張で行って、ホテルで時間をつぶすにはテレビしかなく、観るとはなしに観たのがBS2で放送していた『七年目の浮気』でした。

福岡だったら、誰かを誘って中洲にくり出すのにねェ。まあ、こんなことでもなければ、近頃この手の映画を観ることはないのですが……。

それと、映画ファンなら常識な、マリリン・モンローの伝説的シーン(地下鉄の通風孔から風がきてスカートが捲くれあがるシーン)や、伝説的セリフ(下着を冷蔵庫に入れておくの、はくとき冷たくていいの)を確認しておくのもいいかと思いましてね。(私、この映画、未見だったんですよ)

 

この映画のモンローは最高ですね。素直で天衣無縫で、バツグンに可愛いいんですよ。それも色っぽさが同居した可愛いらしさ。

植木鉢を落とされても、笑って許しちゃう。彼女にニッコリ笑いかけられたら、主人公のトム・イーエルじゃないがムラーッときますね。

モンローのイメージは、真赤なドレスで、長いシガレットホルダーでタバコをくわえて、モンローウォークで歩くといった、劇中でイーエルが想像したようなセクシーな感じが強いのですが、この映画では可愛らしさを強調した演出になっていたので、かえってエロチシズムをよけいに感じさせてくれましたよ。そこがビリー・ワイルダーの巧さなんでしょうね。

作品的には『お熱いのがお好き』の方が笑いの密度が高いのですが、モンローの魅力では『七年目の浮気』の方へ私は軍配をあげますね。

 

『ノックは無用』(1952年/監督:ロイ・ベーカー)

ホテルの客がパーティーに出席するので子守りとしてネル(マリリン・モンロー)が雇われる。ネルは婚約者を事故で失ってから精神に異常をきたしている。恋人の歌手リン(アン・バンクロフト)と喧嘩してムシャクシャしていたジェド(リチャード・ウィドマーク)は、ネルの媚態にひかれて彼女が子守りをしている部屋を訪れる。ネルはジェドを死んだ恋人と思い込んで、子守りをしている少女がジャマになってくる……

モンローが何するかわからない異常者を演じているのですが、少女に降りかかる恐怖が全然伝わってきません。

ジェニファー・ジェイソン・リーのようなタイプだとピッタリくるのでしょうが、モンローだと可愛すぎます。ハラハラ・ドキドキのないボケたサスペンス映画でした。

 

『百万長者と結婚する方法』(1953年/監督:ジーン・ネグレスコ)

 ニューヨークでモデルをしているシャッツェ(ローレン・バコール)、ロコ(ベティ・グレイブル)、ポーラ(マリリン・モンロー)の3人は、百万長者との結婚を夢見て豪華なマンション暮しをはじめるが、生活資金が底をつきはじめ……

男を外見で判断すると女は幸せになれないよ、と云う映画。

スターランク上位のローレン・バコールが一番良い役ですが、目立っていたのは、何といってもマリリン・モンローで〜す。モンローのド近眼演技は、何度(といっても二度目なのですが)見ても笑えます。

逆に冴えないのがベティ・グレイブル。当初ベティ・グレイブルで予定されていた『紳士は金髪がお好き』が、モンローに変更されたのがわかるような気がします。

モンローって、コメディエンヌとして最高の資質を持っていましたね。

 

『モンキー・ビジネス』(1952年/監督:ハワード・ホークス)

若返りの薬を研究している製薬会社の科学者(ケーリー・グラント)が、檻から抜け出した実験用のチンパンジーが手当たり次第に調合した薬品を誤って飲んで若返るというナンセンス・コメディー。

ホークス信者たるフランスの一部映画評論家には絶賛されているそうですが、「観客を考えると、少しやりすぎだったかもしれない。『僕は戦争花嫁』や『赤ちゃん教育』に比べると、やりすぎたせいでかえって面白さがなくなった気がする」とホークス監督が自ら語っているように、むりやり笑わせようとして、シラケさせていますね。

私としては、ホークス喜劇を観るのが目的でなく、社長秘書役で出演していたマリリン・モンローを観るのが目的だったので満足です。彼女がブレークする前の作品ですが、出ているだけでパッと華やかなシーンになります。グラントの妻役でジンジャー・ロジャースが出演しているけど、全然華やかじゃないんだなァ。ただ、ダンスシーンだけは流石でしたけどね。

 

『ナイアガラ』(1952年/監督:ヘンリー・ハサウェイ)

ナイアガラ瀑布が見えるコテージにレイ(ケイシー・アダムス)とポリー(ジーン・ピータース)が新婚旅行でやってくる。予約していた部屋は、ジョージ(ジョセフ・コットン)とローズ(マリリン・モンロー)のルーミス夫妻が使用していた。夫のジョージが神経衰弱の病気で、ローズがもう少し滞在を希望したので、二人は空いている別の部屋に使うことになる。このことから、二人はルーミス夫妻と親しくなる。ローズは愛人と一緒になるために、ジョージを事故に見せかけて殺す計画をたてていたが……

マリリン・モンローが初めて主演した作品でモンローの魅力が遺憾なく発揮されています。愛人を使って夫を殺そうとする悪女役ですが、未熟な演技で全然悪女に見えません。むしろセクシーな可愛さが際立って、男性ファンを虜にしたのがわかりますね。

ジーン・ピーターズは『革命児サパタ』や『アパッチ』での印象が強かったのですが、きりりとした美貌の白人ではありませんか。ハワード・ヒューズと結婚して引退した為、出演作品が少ないんだよなァ。

ところで、この作品はナイアガラの観光紹介も兼ねていますが、現在は物凄く変わっているでしょうね。

 

 

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