自主映画


 映画は自分たちで作るものという考えのもとに、独立プロよりもっと小さい、もっとアマチュア的な連中が、既成の映画館のルートとは別の、自主的な上映会で上映される映画。大森一樹が1974年に製作した『暗くなるまで待てない!』(残念ながら、私は未見)が、自主映画としては有名ですね。

 大森一樹や石井聰互などが、自主映画作家から商業作家として育ってきています。

 私がこれまで唯一観た自主映画は、三里塚の農民の戦いを描いた小川紳介の『三里塚・第ニ砦の人々』(1971年)なんですが、これは記録映画だからなあ。

 

楽園の彼方・水の女(1999年)

(製 作)
 製作:野田麻子、監督・脚本:渡辺孝明、撮影:原正、音楽:田尻光隆

 出演:清水由美子、風城裕治、高良与一、萩原賢三、坂田雅彦、小原正人

 

(感 想)

 平安末期、朝廷は山の民の支配を企んでいた。それを知った山の民は、朝廷に対抗するため、古代よりの言い伝えを実行することにした。

 それは、汚れを知らない美女の首を神が住む山の清流に捧げ、人間の英知と自然の尊さを併せ持つ女を誕生させることだった。そして、彼女が山の男と結ばれることにより、山の救世主が誕生するのだ。

 選ばれた3人の山の男は、都で一番の美女と噂に高い関白の娘の首を獲ることに成功する。しかし、検非遺使最強の戦士が、関白の命令を受けて、彼らの後を追っていた。

 神が住む山の清流は、美濃の国の奥深い山の中にある。そこは、雪の壁に閉ざされた、人が足を踏み入れたことのない幽玄の世界であった。そして、彼らがそこで見たものは……。

 水から生まれた美女、そして彼女を巡って対決する山の男と検非遺使の役人。真っ白な大雪原を染める真っ赤な鮮血。自然を守る者と破壊する者の戦いが、この映画のテーマと思っていたんですが、ラストは愛の輪廻に変わっており、アレレでした。

 だけど、映画作りというのは大変なんですよね。お金もかかるし……。低予算のつらさが、画面を見ていてよくわかりましたよ。公開もまだ決まっていないようだし、もしかしたら、幻となる貴重な映画を観たのかも……。

 

熊本物語(2002年/監督:三池崇史)

三池崇史が熊本の郷土史を題材に撮った「トンカラリン夢伝説」、「防人たちの唄」、「おんな国衆一揆」の3本からなるオムニバス映画です。

個々の作品は、過去に単独で上映されています。

中央集権に対する地方の反抗が共通のテーマで、地域に密着した内容となっていますね。地方文化はホールのような器を作るのでなく、映画製作のような中身の方が大事で〜す。ハードよりソフトですよ。

 

 

 

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