シリアル西部劇


『ゾロ・ライズ・アゲイン』(1937年/監督:ウィリアム・ウィットニー&ジョン・イングリッシュ)

ナショナル銀行の頭取マルデン(ノア・ビアリー)は、無法者のエル・ロボ(リチャード・アレクサンダー)を使ってメキシコ鉄道の乗っ取りを企てていた。エル・ロボに社長のベガが殺され、メキシコ開発に心血を注ぐ会社幹部のフィリップ(リード・オウズ)とジョイス(ヘレン・クリスティン)の兄妹は、鉄道を守るためにベガの甥でゾロの曾孫にあたるジェームズ(ジョン・キャロル)をアメリカから呼ぶ。しかし、ジェームズは争い事が嫌いな臆病者だった。エル・ロボは暴力で脅すべく、鉄道を襲うが、ゾロと名乗る仮面の男が現れ、追っ払われる。ゾロの正体はジェームズで、それを知っているのは従僕のレナルド(ダンカン・レナルド)だけだった。ジェームズはエル・ロボの背後にいる黒幕をつきとめるために、ゾロとなって戦いを開始する……

12編からなるシリアル(連続活劇)を編集して、一本(166分)にしたものです。悪党たちの襲撃をゾロに変装して撃退という、同じパターンの繰り返しで物語が展開するのは仕方ないことですね。

“ゾロもの”はシリアル西部劇のヒーローとして何本か作られており、これもその1本です。登場人物の格好はウエスタンスタイルですが、飛行機や大型トレーラーが出てきたりして、時代設定ははっきりしません。これもB級西部劇の特徴なんですけどね。

悪役でノア・ビアリーが出演していますが、西部劇の傍役でお馴染みのノア・ビアリー・ジュニアのお父さんで〜す。

 

『サン・オブ・ゾロ』(1947年/監督:スペンサー・ベネット&フレッド・ブランノン)

南北戦争が終り、ジェフ・スチュアート(ジョージ・ターナー)が故郷の町に戻ってくる。町は悪徳役人(判事とシェリフ)に支配されており、住民たちは重税に苦しんでいた。ジェフは郵便局で働くケイト(ペギー・スチュアート)を味方にして改革に乗り出すが、悪党たちは法を盾にさまざまな妨害を行なう。ジェフは悪人たちの妨害に対して、謎の覆面ライダー(ゾロ)となって、正義の銃をふるう。そして、彼らの背後に謎の黒幕がいることがわかり……

13篇からなるシリアル(連続活劇)を編集して、一本(153分)にしたものです。1篇の長さがわからないので、どの程度カットされているのかわかりませんが、物語の展開に支障は感じません。ただ同じパターンの繰り返しで、飽きてきますけどね。

ジェフが悪法に対して、合法的な改革を実行しようとすると、悪党たちがジェフに協力する仲間を襲う。そこへジェフがゾロとなって現れ、悪党たちを蹴散らす。ゾロも何度かピンチになるが、相手の一瞬のスキをついて形勢逆転。

つまり、これの繰り返しなんですよ。テレビ西部劇を続けて何本も観るようなものです。

ところで、「ゾロの息子」となっているのは、亡くなった父親がゾロで、ジェフが父の形見のゾロの衣装をつけて活躍するからで〜す。

 

 

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